ホンダ・ストリームiS(5AT)【ブリーフテスト】
ホンダ・ストリームiS(5AT) 2000.10.31 試乗記 ……218.3万円 総合評価……★★★美しいルーフラインは誰のため
光のなかからサイドウウィンドウが浮かび上がるTVコマーシャルが印象的なストリーム。ストレッチしたシビックのシャシーに、「ドルフィンフォルム」のボディを載せる。かつての「シビックシャトル」を思うと、たしかに「スタイリッシュミニバン」。
2リッター「i-VTEC」+5ATの新開発ドライブトレインは、スムーズだけれど、ちょっぴりトロい。各所が補強されたボディと硬めの足で、コーナーでも腰砕けなし。よくチェックされたロールは安心感高し。
すっきりした足元の前席。240mmのスライド量を誇る「王様の」2列目シート。シビックゆずりのフラットフロアのおかげで、3列目は……、まァ「責め苦にならない広さ」とはいえましょう。低い座面と迫った天井がうらめしい。美しいルーフラインは誰のため?
【概要】 どんなクルマ?
(シリーズ概要)
2000年10月26日にデビューしたシビックシャトル改め「ストリーム」。シビックのシャシーを100mmストレッチした2720mmのホイールベースに、3列シート、7人乗りの「ドルフィンフォルム」ボディを載せたピープルムーバーである。1.7リッター、2リッターモデルがあり、いずれにもFF、4WD車が用意される。トランスミッションは、4AT(1.7リッター)と同スポーツモード付き(2リッター4WD)、5AT(2リッターFF)の3種類。
(グレード概要)
iSは、ストリームの最上級グレード。iLと比較すると、スポーティグリル、アンダースポイラー類ほか、革巻きステアリングホイール&シフトノブが追加装備される。
【車内&荷室空間】 乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★
ブラックを基調に、ドアの内張やシートのサイドにバックスキン調の生地をあしらった「洒落た」インテリア。センターコンソールの黒いカーボン調パネルも自然にとけこむ。ジグザグゲイト+シーケンシャルモードをもつシフターは、ステアリングホイールから近く、使いやすい。
(前席)……★★★
ザックリした触感の、柔らかく、クッション感の高いシート。座面は角度調整用ダイヤルを備えるが、前後長が短く、体重が後にかかりがちなのが気になる。2リッターモデルは、排ガス浄化用キャタライザーが大きいため、低いセンタートンネルが床を縦貫する。
(2列目シート)……★★★★
ミニバンの特等席。足元、頭上とも文句のないスペース。3列目にヒトをのせるために、前方にスライドさせても、前席の座面下が大きく開いているため、足先を入れることができ、足元の狭さを緩和できる。なぜか前席と同じく、座面が短めなのが減点ポイント。
(3列目シート)……★★
薄型燃料タンクの採用、マフラーの取り回しを工夫することで実現したフラットフロアの恩恵で、実用に耐える3列目シート。とはいえ、座面が低いため、足を折り曲げる必要あり。ヘッドクリアランスもギリギリ。背もたれをリクラインさせても、ルーフラインが下がっているため、あまり逃げられない。伸ばしても後頭部に達しないヘッドレストも不満点。
(荷室)……★
人員運搬が、物品輸送かの二者択一を迫られる荷室。それでも、床面最大幅130cm、奥行き35cm、天井までの高さが80cmあるから、日常の買い物を積むには困らないだろう。3列目シートを畳むと、奥行き105cmのラゲッジスペースが生まれる。
【ドライブフィール】 運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★
2リッター「i-VTEC」は、「低速」「高速」用のカムをもつほか、「低速」カムの位相(角度)を連続的に変化させる機能をもつ。さらに可変吸気システムを合わせ、「省燃費」「排ガスのクリーン化」「出力」をバランスよく満たしたという。新開発の5段ATが組み合わされる。ノイジーではないが、ココロ躍ることもないエンジン。154ps、19.0kgmと、立派なスペックをもつものの、走りはじめの加速が緩慢で、スロットルレスポンスが鈍いのが気になった。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★★
ハッチゲイトが広い開口部となるため、車体後部を中心に、入念に補強が施されたボディ。シビックゆずりのシャシーながら、リアには四角形のビームが吊され路面からの入力をしっかり受けとめる。フロント部では、特に2リッターモデルは頭が重いため、ダンパー取り付け部にガゼットを当てて強化、補強材を横にわたすなど、剛性の確保に意が払われた。視点が高いことをのぞけば、セダンばりのコーナリングを見せるミニバン。乗り心地は、「7人乗り」が考慮されたため、硬い。
(写真=河野敦樹)
【テストデータ】
報告者: web CG 青木禎之
テスト日: 2000年10月30日
テスト車の形態: 広報車
テスト車の年式: 2000年型
テスト車の走行距離: 1177km
タイヤ:(前)195/65R15 91H(後)同じ(いずれもDunlop SP Sport230)
オプション装備: プレミアムサウンドシステム(MDプレイヤー+6連奏CDチェンジャー&ラジオ+7スピーカー)
テスト形態: ロードインプレッション(プレス向け試乗会)
走行状態:市街地(4):山岳路(6)
テスト距離: --
使用燃料: --
参考燃費: --

青木 禎之
15年ほど勤めた出版社でリストラに遭い、2010年から強制的にフリーランスに。自ら企画し編集もこなすフォトグラファーとして、女性誌『GOLD』、モノ雑誌『Best Gear』、カメラ誌『デジキャパ!』などに寄稿していましたが、いずれも休刊。諸行無常の響きあり。主に「女性とクルマ」をテーマにした写真を手がけています。『webCG』ではライターとして、山野哲也さんの記事の取りまとめをさせていただいております。感謝。
-
日産エクストレイルNISMOアドバンストパッケージe-4ORCE(4WD)【試乗記】 2025.12.3 「日産エクストレイル」に追加設定された「NISMO」は、専用のアイテムでコーディネートしたスポーティーな内外装と、レース由来の技術を用いて磨きをかけたホットな走りがセリングポイント。モータースポーツ直系ブランドが手がけた走りの印象を報告する。
-
アウディA6アバントe-tronパフォーマンス(RWD)【試乗記】 2025.12.2 「アウディA6アバントe-tron」は最新の電気自動車専用プラットフォームに大容量の駆動用バッテリーを搭載し、700km超の航続可能距離をうたう新時代のステーションワゴンだ。300km余りをドライブし、最新の充電設備を利用した印象をリポートする。
-
ランボルギーニ・テメラリオ(4WD/8AT)【試乗記】 2025.11.29 「ランボルギーニ・テメラリオ」に試乗。建て付けとしては「ウラカン」の後継ということになるが、アクセルを踏み込んでみれば、そういう枠組みを大きく超えた存在であることが即座に分かる。ランボルギーニが切り開いた未来は、これまで誰も見たことのない世界だ。
-
アルピーヌA110アニバーサリー/A110 GTS/A110 R70【試乗記】 2025.11.27 ライトウェイトスポーツカーの金字塔である「アルピーヌA110」の生産終了が発表された。残された時間が短ければ、台数(生産枠)も少ない。記事を読み終えた方は、金策に走るなり、奥方を説き伏せるなりと、速やかに行動していただければ幸いである。
-
ポルシェ911タルガ4 GTS(4WD/8AT)【試乗記】 2025.11.26 「ポルシェ911」に求められるのは速さだけではない。リアエンジンと水平対向6気筒エンジンが織りなす独特の運転感覚が、人々を引きつけてやまないのだ。ハイブリッド化された「GTS」は、この味わいの面も満たせているのだろうか。「タルガ4」で検証した。
-
NEW
バランスドエンジンってなにがスゴいの? ―誤解されがちな手組み&バランスどりの本当のメリット―
2025.12.5デイリーコラムハイパフォーマンスカーやスポーティーな限定車などの資料で時折目にする、「バランスどりされたエンジン」「手組みのエンジン」という文句。しかしアナタは、その利点を理解していますか? 誤解されがちなバランスドエンジンの、本当のメリットを解説する。 -
NEW
「Modulo 無限 THANKS DAY 2025」の会場から
2025.12.4画像・写真ホンダ車用のカスタムパーツ「Modulo(モデューロ)」を手がけるホンダアクセスと、「無限」を展開するM-TECが、ホンダファン向けのイベント「Modulo 無限 THANKS DAY 2025」を開催。熱気に包まれた会場の様子を写真で紹介する。 -
NEW
「くるままていらいふ カーオーナーミーティングin芝公園」の会場より
2025.12.4画像・写真ソフト99コーポレーションが、完全招待制のオーナーミーティング「くるままていらいふ カーオーナーミーティングin芝公園」を初開催。会場には新旧50台の名車とクルマ愛にあふれたオーナーが集った。イベントの様子を写真で紹介する。 -
NEW
ホンダCR-V e:HEV RSブラックエディション/CR-V e:HEV RSブラックエディション ホンダアクセス用品装着車
2025.12.4画像・写真まもなく日本でも発売される新型「ホンダCR-V」を、早くもホンダアクセスがコーディネート。彼らの手になる「Tough Premium(タフプレミアム)」のアクセサリー装着車を、ベースとなった上級グレード「RSブラックエディション」とともに写真で紹介する。 -
NEW
ホンダCR-V e:HEV RS
2025.12.4画像・写真およそ3年ぶりに、日本でも通常販売されることとなった「ホンダCR-V」。6代目となる新型は、より上質かつ堂々としたアッパーミドルクラスのSUVに進化を遂げていた。世界累計販売1500万台を誇る超人気モデルの姿を、写真で紹介する。 -
アウディがF1マシンのカラーリングを初披露 F1参戦の狙いと戦略を探る
2025.12.4デイリーコラム「2030年のタイトル争い」を目標とするアウディが、2026年シーズンを戦うF1マシンのカラーリングを公開した。これまでに発表されたチーム体制やドライバーからその戦力を分析しつつ、あらためてアウディがF1参戦を決めた理由や背景を考えてみた。






























