ホンダ・インサイト(5MT)【ブリーフテスト】
ホンダ・インサイト(5MT) 2000.12.09 試乗記 ……210.0万円 総合評価……★★★★違った運転体験
アルミ車体ゆえの超軽量と、空力および回転関係の超・低抵抗。インサイトのウリである低燃費を支えている土台はその2つだ。アシスト用の電気モーターとバッテリーこみでも800kg ちょいなのだから、それらを外した場合は、乾燥重量700kg台も夢ではない。つまりスーパーセブンに大型力士が乗ればいい勝負、という世界なワケで、995ccのガソリンエンジンのみでも活発にかつ経済的に走れない道理はないのである。実際、電池とモーターがただのお荷物でしかない状態でもインサイトはよく走る。
このクルマに関して、たとえば「せっかくのハイブリッドも2人乗りでは意味がない」というような意見がみられるが、ナンセンスだ。そこまでやってこその軽量と低ドラッグ(空気抵抗)なのだから。
「プリウスほど本格的なハイブリッドではない」というような批判も、エコカー的尺度に拘泥しすぎだ。そのデンでいけば、ハイブリッドでもナンでもない純粋なエンジン車はすべてゴミかクズか犯罪的ということになる。
普通のクルマとちょっと(あるいはかなり)違った運転体験をエンジョイできるか否か。評価の高低にかかわる問題は、すべてそこにある。ちなみに、私はけっこう楽しめた。そうでない人もいたが、少なくともイビツではないから試してみてソンはないと思う。たとえばディーラーでチョイ乗りとか。
「ハイブリッド」をひとまず置いて、2人乗りのクルマとしては、とりあえずマツダ・ロードスターをさしおいて薦めるほどのモノではない。けれどS2000よりはオススメ。MR-S と較べたらもっとオススメ。
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【概要】 どんなクルマ?
(シリーズ概要)
1999年9月6日に発表された、トヨタ・プリウスに次ぐ量産ハイブリッドカー。モーターとガソリンエンジンを(考えのうえでは)対等に扱ったプリウスに対し、インサイトは、4気筒のうち1気筒分をモーターに割り振る、というのがコンセプト。当たり前だが、乗車定員5名のハイブリッドファミリーカーと2シータークーペというのが、両者最大の違い。アルミを多用した空力ボディ、実験室から抜け出たかのようなスタイルが、インサイトの魅力だ。
(グレード概要)
インサイトはモノグレード。「ホンダIMAシステム」と呼ばれる1リッターリーンバーンVTECユニット+モーターがパワーソース。トランスミッションは、CVTか5MT。いずれも、条件が合えば停車時にエンジンを切る「アイドルストップ機能」を搭載。フルオートエアコン、パワーウィンドウ、電動ミラー、UVカットガラスなど、快適装備も充実。省エネカーとはいえ、ガマンを強いられない。オプションで、ナビゲーションシステムが用意される。
【車内&荷室空間】 乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★★
新時代モノらしさをもっと強調してくるかと思いきや、全体の造形や色使いはむしろ古典的。あるいは控えめ。それだけに違和感がない。「プリウスのような新しい提案がない」という批判は可能だが、乗る身になってみればこちらのほうがはるかに安心できる。
(前席)……★★★★
軽量化のためもあってか(おそらく)専用設計。300km ほど走ったが、どこといって局所的な疲労や苦痛は感じなかった。調整箇所も前後スライドとリクラインのみで特に凝ったつくりともみえないが、かけ心地は優秀といっていい。なお、着座姿勢はかなりスポーツカー風。具体的には座面の位置が低い。ハンドルその他との位置関係も良好。気分出るなあ。
(荷室)……★
……なのかナンなのか。普通なら後席がある部分はバッテリーの置き場所になっている。で、その天井が荷室のフロアとなって、ツライチの床面を実現。広さ(というか面積)はともかく、荷物を置くための空間として実用性ははなはだ低い。フタを開ければ、幅65cm、奥行き40cm、深さ30cmの収納スペースが用意されてはいるが……。画商がデカいキャンバスを運ぶにはいいかも。
【ドライブフィール】 運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★★
以前乗ったAT仕様と較べると、トルコン--文字どおりトルク増幅装置である--の介入がないぶん電気モーターのアシスト量も含めた動力のコントロールは非常にやりやすい。アシストが入る際のトルク変化もまあ自然。普段からスロットルの微妙な操作を気に掛けている人、スムーズにクルマを走らせることに喜びを見いだすドライバーにとっては、手応えのあるクルマだ。といって別にトリッキーな特性では全然ない。
それと、エンジン自体の音や振動の質が非常にいい。簡単にいってエンスー。あるいはS2000風。でも音量音圧はしっかり抑えこまれている。だから全開状態を続けることもぜんぜん苦痛でない。平然と可。さすがホンダ、なのか。MTはシフトの感触も嬉しい。
気になる燃費は、メーター表示で20km/リッター超を記録。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★
旋回時のクルマの動きは、乗ったことはないが前2輪+後1輪の3輪車を思わせる。エアロ性能優先で狭められた後ろのトレッドがその要因か。後輪の横力の立ち上がりが遅く、かつ緩慢な印象。「あ、曲がるのぉ?」という感じでおっとりついてくるような。あるいは引っ張られてくるような。
省燃費タイヤ+アルミ車体ゆえか、ロードノイズや乗り心地はボソボソ/ゴワゴワ系。人によっては、反力がフリクションに負けている、独特のステアリングフィールに違和感を覚えるかもしれない。たとえば直進時のセルフアライニングトルク(ほっといても真っ直ぐに戻る力)の弱さとか。
(写真=河野敦樹)
【テストデータ】
報告者: 森 慶太
テスト日: 2000年11月7日
テスト車の形態: 広報車
テスト車の年式: 1999年型
テスト車の走行距離: --
タイヤ: (前)165/65R14 79S/(後)同じ(いずれもブリヂストンB391)
オプション装備: --
テスト形態: ロードインプレッション
走行状態:市街地(3):高速道路(6):山岳路(1)
テスト距離: --
使用燃料: --
参考燃費: --

森 慶太
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