ホンダ・シビックX(CVT)【ブリーフテスト】
ホンダシビック X(CVT) 2000.12.16 試乗記 ……189.6万円 総合評価……★★★カタチはまるいが尖ってる
いかにも優等生然とした外見に騙されてはいけない。これで結構悪いこともするし裏もかく。現代風解釈のファミリーカーはパッケージを一新、タイヤを四隅に追いやってホイールベースの長さを稼ぎ、フロアを下げ、天井を上げて「外身より大きな中身」を捻出した。その昔、モノコックの説明によく卵の殻が引き合いに出されたものだが、まさしく薄皮一枚のボディは無駄がない。ここまでが「器」としての優等生。
ところが、一旦走り始めると良くも悪くもかつてのシビックそのものだから不思議。乗り心地はやや落ち着きがなく、ハンドリング、それもコーナリングに限ってだが、ホットハッチ顔負けの気持ちよさ。エンジンはCVTと組み合わされてなお、飛ばしてナンボの非日常的セッティングだ。
【概要】 どんなクルマ?
(シリーズ概要)
2000年9月に登場した7代目シビック。ミニバン風に変身した5ドアハッチと、保守的な4ドアセダン「フェリオ」がまずデビュー。MM思想(マン・マキシマム、メカ・ミニマム)を継承したという「スマートコンパクト」が開発テーマ。1.5リッターVTEC「リーンバーン」ユニット(105ps)をメインに据え、1.5VTEC(115ps)、1.5SOHC(105ps)、1.7VTEC(130ps)と、4種類のエンジンをラインナップ。トランスミッションは、5ドアに4ATかCVT、フェリオにはさらに5MTが用意される。FFのほか、4WDもある。
(グレード概要)
「X」はエンジン排気量、装備水準、価格とも最高位に位置するシリーズ中のトップモデル。同内容の4WD版は「X4」。機能面での違いも意外に大きく、特に195/60R15 88H+6JJを装着するタイヤとホイールはこれ以下のグレードよりひとまわり大きく太いのが見逃せない。独自にリアスタビライザーも備える。
【車内&荷室空間】 乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★★
シフターをセンターコンソールに配して手の動きを少なくし、かつジグザグゲイトの採用で、明確にギアチェンジできるよう工夫されたインパネ。節度感とスムーズさに溢れている。日本車には珍しくリモコン式集中ドアロックでテールゲートも同時に施錠/開錠できるのは便利で実用的。
(前席)……★★
余裕たっぷりのヘッドクリアランスと低いフロアが示唆するとおり、外から想像されるより着座位置は高くない。むしろロースタンスといってもいいくらい。シートは平板。特にバックレスト中央が背中とフィットせず、ランバーサポートの備えもないので疲れる。
(後席)……★★★★
全長4.3m級のクルマとしては望外のくつろぎ空間を実現している。脚が組めるレッグスペースの広さと、まるで洗濯機パンのようにフラットで角をきっちり折り込まれたフロアはちょっとしたリムジン級の気持ちよさ。センターアームレストの出っ張りが多少引っ掛かろうと、一応前後移動が可能なウォークスルーは家族持ちに重宝。
(荷室)……★★★
最大床幅130cm、奥行き80cm、パーセルシェルフまでの高さが50cm。後部座席の居住性を重視したためか、ラゲッジスペースはカローラセダンに一歩届かない。後部座席は、ダブルフォールディング可能な分割可倒式で、「X」にはさらにリクライニング機構が付く。
【ドライブフィール】 運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★
意図と反して「スポーティ」寄りな性格が実用的なファミリーカーとしては疑問。せっかくの可変バルブタイミングとハイテクCVTも低速トルクの不足を克服しきれていない。3000rpmまでは「ただの人」。モワッとしていてレスポンスに乏しい。Dレンジ/100km/hは2550rpmに相当するから、高速道路の追い越しでついついシフトレバーに手を伸ばしたくなる。シフターの動き自体は良いが、実際の作動(エンゲージ)は遅れ気味。反面、山道で5000、6000rpmと回してやると際限なく伸びて元気そのもの。チグハグなセッティングの感が免れない。
(乗り心地+ハンドリング)……★★
普通に走っていると速度を問わず「アフタービート的な」突き上げあり。ストロークの後半で急に硬くなる。ところが、飛ばすと一変。油を引いたようにスムーズになる。ステアリングは中心付近の「切れっぱなし感」がのんびりドライブを妨げる。電動パワステは素早い操作に追いつけず、駐車場でも反転する際などに思わぬ重さを露呈。山道は大得意。車高の高いクルマとは思えないロールの少なさと優秀なロードホールディングで速いペースを可能にする。ここでもチグハグ。
(写真=小河原 認)
【テストデータ】
報告者:別冊編集室 道田宣和
テスト日:2000年12月12日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2000年型
テスト車の走行距離:6694km
タイヤ:(前)195/60R15 88H/(後)同じ(いずれもブリヂストンRE88)
オプション装備:ナビゲーションシステム+ディスチャージヘッドライト+フロアカーペットマット=計24.8万円
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(3):高速道路(6):山岳路(1)
テスト距離:269.7km
使用燃料:26.9リッター
参考燃費:10.0km/リッター

道田 宣和
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