ホンダ・ステップワゴンDタイプ(4AT)【試乗記】
『街乗りバンザイ』 2001.04.18 試乗記 ホンダ・ステップワゴンDタイプ……241.8万円
「ボクのバンザイ」「ママのバンザイ」「パパのバンザイ」まとめて“子供を中心とした「家族のバンザイ」”を開発コンセプトにした新型ステップワゴン。2リッター「i-VTEC」を搭載、シートアレンジをさらに煮詰めて2001年4月5日に登場。CG編集部、竹下元太郎がさっそく試乗した。
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「守り」のモデルチェンジ
旧型はモデル末期でも月に7000台以上売れていて(これはすごいことである)、2000年度はデビューから5年目に当たるというのに、乗用車販売ベスト10の10位(約8万台)に入る人気モデルだった。ステップワゴンは、エスティマ(約12万8000台)、オデッセイ(約11万5000台)とともに、日本のミニバン御三家として不動の地位を築いていた。
そういう背景があってのモデルチェンジである。あなたがもし開発責任者だとしたら、果たして誰もがアッと驚くアグレッシブな路線を選ぶだろうか。それとも、最低でもこの販売台数を維持し(=旧型の美点を受け継ぎ)、さらに台数の右肩上がりを狙う(=ネガを徹底的に潰す)作戦を取るだろうか。ホンダは当然、後者を選んだ。
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回転対座もポップアップも
ボディサイズは、全長×全幅×全高がそれぞれ65×0×15mmプラスの、4670×1695×1845mm。もちろん5ナンバー枠に収まっている。そうはいってもこのボディは、「女性が買い物に」というシーンではちょっと大きく、裏路地での取り回しも悪い。
そこでステアリングを切り増していくとロック付近でレシオが速くなるVGR(可変ステアリングレシオ)機構が付いた。これはUターン時で効果が顕著にわかる。「あれっ?」と思うくらい小回りが効く。最小回転半径は5.3mとカタログに記載される。
ところで、これまでは購入時に「回転対座シート」か、2列目が畳める荷室重視の「ポップアップシート」のどちらを選ばなければならなかった。ところが、新型ではその必要はなく、すべての仕様で両方のシートアレンジが可能となった。これだけ取っても旧型オーナーは悔しがるのではないか?
コツさえ飲み込めば、シートを倒し、畳むのは難儀ではないのだが、シートはフルフラット時になるべく真っ平になる形状とされているため、特に3列目の座面は平らで硬く、おまけにリアタイアからの上下方向の揺さぶりとヨー方向の動きが加わり、乗り心地はセカンドシートに負ける。
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洗練度を増した
ニューステップワゴンのエンジンは、ストリームと同じ2リッター直4の「K20A」型のみ。吸気側にVTECと連続可変バルブタイミング機構たるVTCを備えた「i-VTEC」である点も同じ。ただしこちらはリーンバーンではなく、また、最大出力がストリームより6ps高い160psとされる。
スロットルを踏み込むと低速トルクの力強さがやけに印象的だ。ただし、燃料噴射のプログラミングを出足重視にしたいわゆる“非線形スロットル”は使っておらず、低回転域を重視した低速カムのおかげである。一方、高速カムへはわずか2200rpmで切り替わるVTECチューニングが採られる。
基本はストリーム4WDモデルと同じ4段ATのシフトショックはごく軽微。街乗りは確実に洗練度を増した。
気になったのは4500rpmから上でエンジンノイズが少々耳につくようになること。それと高速の脇にある吹流しが真横に向くくらいの風が強い日、高速走行時に横風に煽られると、ヒヤッとするほど直進性が乱されることだ。大事な家族を乗せて走るクルマだからこそ、特に後者はさらなる改良を望んでおきたい。
(文=CG竹下元太郎/写真=小河原 認/2001年4月)

竹下 元太郎
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