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ホンダ・フィットe:HEV RS 無限パーツ装着車(FF)/ホンダ・ステップワゴンe:HEVスパーダ プレミアムライン 無限パーツ装着車(FF)/トヨタC-HR AP4 RAATタイランドラリーチャンピオンシップ2022 RC2 4WDクラス優勝車(4WD/5MT)/TRDハイラックス デザートレーススペック(クラス7)(4WD/6AT)

クルマ道楽の伝道師 2022.12.02 試乗記 山田 弘樹 NISMO、STI、TRD、無限と、メーカー直系のワークスチューナーが一堂に会して合同試乗会を開催! まずは無限が持ち込んだデビューしたての「フィットRS」「ステップワゴン」の用品装着車と、世界をまたにかけて活躍するTRDのラリーカーの走りを報告する。

「フィット」に17インチなんてアリ!?

年に一度のメーカーワークスによるチューンドカー試乗会。トップバッターとして紹介するのは、ホンダのワークスとなる「無限」だ。彼らは今回、登場したてのフィットRSとステップワゴンを、早速ファインチューンしてきた。

フィットのマイナーチェンジとともに登場した、走りのグレードRS。これにまず無限は、既存のフィット用エアロパーツとRS専用のフロントアンダースポイラー、リアアンダースポイラーを組み合わせてきた。そのカラーリングは、フロントグリルと前後のアンダースポイラーが赤く塗られており、ホワイトのボディーカラーと組み合わせると“タイプR”をイメージさせるのが面白い。

一方、動的なチューニングは17インチホイールのみだった。とはいえ登場したばかりのフィットRSは足まわりのファインチューンがセリングポイントのひとつだからして、それをいきなり換えてしまうのはもったいない、というのもうなずける。ただ17インチという大径ホイールの装着は、見た目ばかりでむしろ走りをスポイルしないか? とちょっとだけ心配した。

そもそもフィットRSの足まわりは、フロントサスペンションの剛性がノーマルよりもソフトになっていることがひとつの大きな特徴だ。これによってステアリングの切り始めに、割と早めにロールが起きる。しかし本格的なロールが起こる領域では、減衰力を高めたダンパーがそのスピードを抑え、さらに剛性を高めたスタビライザーが、横方向の荷重をしっかりと支える。対してリアサスペンションは、伸び側をほどよく規制して車体の浮き上がりを抑えている。よって、操舵感はヒラリと軽快だが、全体としては挙動が安定している。こういうキャラクターである。

そんな、バネレートに頼らない姿勢づくりが信条のRSに、サイド剛性(つまり縦バネ)が強くなる17インチの40偏平タイヤを付けたら、それこそ本末転倒では? しかし、それはいらぬ心配だった。これがきちんと“フィット”していたのだ。

無限はホンダ車のアフターパーツ開発やモータースポーツ活動を行うM-TECのブランド。レースにも積極的で、2022年のスーパーフォーミュラではドライバーとチームの両タイトルを獲得している。
無限はホンダ車のアフターパーツ開発やモータースポーツ活動を行うM-TECのブランド。レースにも積極的で、2022年のスーパーフォーミュラではドライバーとチームの両タイトルを獲得している。拡大
2022年10月発売の「フィットe:HEV RS」にも、早くも用品を用意。現状はドレスアップパーツが主で、目下パッドやローター、ホースといったブレーキ関係の用品も開発しているという。
2022年10月発売の「フィットe:HEV RS」にも、早くも用品を用意。現状はドレスアップパーツが主で、目下パッドやローター、ホースといったブレーキ関係の用品も開発しているという。拡大
試乗車はインテリアにもしっかり無限の用品が装着されていた。写真は赤いスポーツマットと、「無限」のロゴ入りスカッフプレート。
試乗車はインテリアにもしっかり無限の用品が装着されていた。写真は赤いスポーツマットと、「無限」のロゴ入りスカッフプレート。拡大
フロントアンダースポイラーやリアアンダースポイラーといった外装パーツについては、「RS」用と「ベーシック」「ホーム」「リュクス」用でデザインをつくり分けている。
フロントアンダースポイラーやリアアンダースポイラーといった外装パーツについては、「RS」用と「ベーシック」「ホーム」「リュクス」用でデザインをつくり分けている。拡大
ホンダ フィット の中古車

見た目だけでなく走りにも確かな効果がある

ブレーキングでは制動Gの立ち上がりが明確で、ペダルリリースからステアにかけての動きも違和感がないどころか、よりシャープさが増している。曲がり込んだコーナーでも最後まで操舵感が途切れず、そこからアクセルを踏み込むと、瞬時にトラクションがかかる。205幅のグリップも、持て余している感じはない。

狙いどおりに17インチ化のメリットを得ることができたのは、この「MDE」ホイールが、一本あたり1.7kgも純正ホイールより軽くつくられていたからだろう。またスピニング加工されたリムの剛性がレスポンスに反映されているのだと無限のエンジニアは教えてくれた。

マイナーチェンジで14PSほど出力が向上したモーター(123PS)とこのシャシーの組み合わせは、今回試乗したクルマのなかで一番走りがいがあった。決してパワフルとは言いがたいが、すこぶるリニアなハイブリッドシステム「e:HEV」のおかげで、まったく退屈しないのだ。走り込むほどに、ドライビングを突き詰めていける楽しさがある。

今回、無限は比較試乗車として、同じ17インチホイールを履かせた前期モデルを持ち込んでいた。例えば走り好きのAカメラマンなどからは、RSはコーナーで切れ込み過ぎて、「フロントサスがシッカリしているぶんだけ前期型のほうが安心してコーナーへ入っていけた」という意見もあった。

ともあれ、フィットに待望のRSが追加され、その走りを軽量アルミホイールがさらに高めていたという事実は、オーナーやオーナー予備軍にとって朗報だろう。無限スタッフによれば一般道での乗り心地にも違和感がなかったというから、ファインチューンの第一歩として軽量高剛性な17インチホイールを選ぶのは、どうやら見た目だけでなく、走りの面でもアリのようである。

ツインリンクもてぎの南コースを疾走する、「フィットe:HEV RS」の用品装着車。「動的な部分に関する変更点は17インチホイールだけ」とのことだったが、標準車との違いは明白だった。
ツインリンクもてぎの南コースを疾走する、「フィットe:HEV RS」の用品装着車。「動的な部分に関する変更点は17インチホイールだけ」とのことだったが、標準車との違いは明白だった。拡大
17インチアルミホイールの「MDE」。鋳造ながら、リムにスピニング加工を施すことで剛性を高めつつ、スポークの裏側にアンダーカットを施すなどして重量を軽減。ベース車の16インチホイールと比べると、サイズが拡大しているにもかかわらず一本につき1.7kgの軽量化を実現している。
17インチアルミホイールの「MDE」。鋳造ながら、リムにスピニング加工を施すことで剛性を高めつつ、スポークの裏側にアンダーカットを施すなどして重量を軽減。ベース車の16インチホイールと比べると、サイズが拡大しているにもかかわらず一本につき1.7kgの軽量化を実現している。拡大
ちなみに「フィットe:HEV RS」用の空力パーツを装着すると、標準車よりフロントバンパーで50mm、サイドシルで40mm、リアバンパーで25mm、耐地上高が下がる。装着後は縁石や輪止めなどに注意しよう。
ちなみに「フィットe:HEV RS」用の空力パーツを装着すると、標準車よりフロントバンパーで50mm、サイドシルで40mm、リアバンパーで25mm、耐地上高が下がる。装着後は縁石や輪止めなどに注意しよう。拡大
ベース車よりシャープな挙動となっていた「フィットe:HEV RS」の無限用品装着車。試乗コースがタイトだったこともあり、今回の取材で最も走りを楽しめた一台だった。
ベース車よりシャープな挙動となっていた「フィットe:HEV RS」の無限用品装着車。試乗コースがタイトだったこともあり、今回の取材で最も走りを楽しめた一台だった。拡大

ハイブリッドカーでもマフラーを楽しめる

2022年5月に登場したばかりの新型ステップワゴンには、「MY Fast STEP WGN」(マイ ファスト ステップワゴン)をコンセプトとしたエアロパーツ一式と、ホイールとパフォーマンスダンパー、そしてスポーツサイレンサーが装着されていた。

純正の16インチ、もしくは17インチに対して18インチというのは……というのはもう言うまい。フィットRSと同じく、アルミホイールの性能がこれを解決してくれていた。10本スポーク基調の「MDW」は、純正の17インチに対して一本あたり2kgも軽い。そしてこれがバネ下の動きをスポイルすることなく、コーナリングGを高めてくれていた。加えて前後に追加されたパフォーマンスダンパーも、その操舵感に連続性を与えているはずだが、これについてはもう少し荒れた路面のほうが実感しやすいと感じた。

ちなみに現在、無限はステップワゴン用の純正形状サスキットを開発中。車高を下げても運転支援システム「ホンダセンシング」を誤作動させることなく、走りと見た目をスタイルアップできる仕様を目指しているというから、そちらも期待である。

話を今回の試乗に戻すと、「スポーツサイレンサー」も興味深いパーツだった。ご存じのとおりe:HEVは、エンジンをそのほとんどの領域で発電機として使う。つまりマフラーで排気レスポンスを上げても(厳密には充電効率が上がる可能性はあるかもしれないが)モーターの出力向上には寄与しないのだが、ユーザーにはニーズがあるという。理由はまず、バンパーからのぞくその見た目。よって無限は、テールパイプの素材にチタンを用い、スタイリッシュなデュアルタイプで仕上げている。

肝心なサウンドは控えめで、室内ではあまり意識できないほどだったが、外から聞いてみると確かに踏み始めにおいて低音がほどよく効いており、これが室内ではこもらないのも評価できるポイントだと思えた。ちなみにスポーツサイレンサーは、テールの形状からだろう、リアアンダースポイラーとの同時装着が必須になる。またe:HEV、ガソリン車ともにFF車のみの設定となる。

「ステップワゴン」については、今回取材した各パーツに加え、現在サスペンションキットも開発中。「減衰は固定式で、気持ちよく走れるサスを目指す」とのことだった。
「ステップワゴン」については、今回取材した各パーツに加え、現在サスペンションキットも開発中。「減衰は固定式で、気持ちよく走れるサスを目指す」とのことだった。拡大
現行「ステップワゴン」のホイールサイズは16インチと17インチの2種類で、後者が用意されるのは最上級モデルの「スパーダ プレミアムライン」のみ。「MDW」はそれよりさらに大きな18インチとなるが、一本につき2kgの軽量化を果たしている。
現行「ステップワゴン」のホイールサイズは16インチと17インチの2種類で、後者が用意されるのは最上級モデルの「スパーダ プレミアムライン」のみ。「MDW」はそれよりさらに大きな18インチとなるが、一本につき2kgの軽量化を果たしている。拡大
前後のボディー底部に装着されるパフォーマンスダンパー。車体の振動吸収に効果があるほか、車体の余計な動きを排除することで旋回時の頭の入りをよくし、修正舵を減らす効果もあるとのことだ。
前後のボディー底部に装着されるパフォーマンスダンパー。車体の振動吸収に効果があるほか、車体の余計な動きを排除することで旋回時の頭の入りをよくし、修正舵を減らす効果もあるとのことだ。拡大
チタン製のデュアルフィニッシャーが目を引くスポーツサイレンサー。古くさい爆音ではなく、低音の効いたスポーティーなサウンドを奏でる。装着したら、ぜひ窓を開けてドライブしてみよう。
チタン製のデュアルフィニッシャーが目を引くスポーツサイレンサー。古くさい爆音ではなく、低音の効いたスポーティーなサウンドを奏でる。装着したら、ぜひ窓を開けてドライブしてみよう。拡大

アジア地域でのラリーに注力するTRD

TRDは前回(2021年)に引き続き、自社製作した2台のラリーカーを持ち込んだ。一台は2020年に、アメリカで最も歴史のあるオフロードレース「MINT400」でクラス7準優勝を飾った「TRDハイラックス デザートレーススペック」。そしてもう一台は、2022年に「RTTAタイランドラリーチャンピオンシップ」でシリーズチャンピオンを獲得した「C-HR AP4」である。

TRDがこの2台を持ち込んだ理由は、もちろん彼らがラリー活動を、それもアジア地域で特に積極的に行っているからだが、まずはこの2台のラリーカーの豪快さや楽しさをもっと広めたいというピュアな気持ちもあるのだという。

C-HRでラリーというのは日本ではなじみがないが、これを製作したのは「アジアで何かラリーカーを走らせよう!」というアイデアが先にあってのことだったとか。タイにあるTCD ASIA(トヨタカスタマイジング&ディベロップメント アジア)の現地スタッフたちと、「それなら現地生産しているC-HRを使ってタイ初のFIA公認車両をつくろう」となったのだという。

もちろんハイラックスもアジアのラリーで活躍しており、タイで11月21日から26日にかけて開催された「アジアクロスカントリーラリー2022」では総合2位。今回ドライバーを務めた塙 郁夫選手も、主要コンポーネントを共有する「フォーチュナー」で堂々の総合3位に入っている。(ちなみに1位は、復活を遂げた三菱ラリーアートの「トライトン」だった)

さて今回は、この2台がツインリンクもてぎ南コースの裏側にある林道を疾走。助手席に同乗するかたちで、筆者もその走りを味わうことができた。

カスタマースポーツを含めモータースポーツに積極的なTRDは、2台のラリーカーを持ち込んだ。ドライバーは塙 郁夫選手(写真向かって左)と新堀忠光選手(同右)という、現役のラリーストが務めた。
カスタマースポーツを含めモータースポーツに積極的なTRDは、2台のラリーカーを持ち込んだ。ドライバーは塙 郁夫選手(写真向かって左)と新堀忠光選手(同右)という、現役のラリーストが務めた。拡大
日本屈指のラリーコンストラクターであるクスコレーシングが製作した「C-HR AP4」。日本ではラリーのイメージが薄いC-HRだが、海外ではクスコレーシングの手になるラリーカーが、アジアパシフィック、ニュージーランド、中国……と、さまざまな地域で活躍している。
日本屈指のラリーコンストラクターであるクスコレーシングが製作した「C-HR AP4」。日本ではラリーのイメージが薄いC-HRだが、海外ではクスコレーシングの手になるラリーカーが、アジアパシフィック、ニュージーランド、中国……と、さまざまな地域で活躍している。拡大
“がらんどう”にロールケージを張り巡らせた車内は、(当然ながら)まさに競技車両といった趣。サイドブレーキと並んで屹立(きつりつ)するシフトレバーからも分かるとおり、5段のトランスミッションはシーケンシャルタイプで、オランダのDrenth(ドレンス)製のユニットが搭載される。
“がらんどう”にロールケージを張り巡らせた車内は、(当然ながら)まさに競技車両といった趣。サイドブレーキと並んで屹立(きつりつ)するシフトレバーからも分かるとおり、5段のトランスミッションはシーケンシャルタイプで、オランダのDrenth(ドレンス)製のユニットが搭載される。拡大
「TRDハイラックス デザートレーススペック」は、ハイラックスのスマートキャブをベースとしたオフロードレースの競技車両だ。
「TRDハイラックス デザートレーススペック」は、ハイラックスのスマートキャブをベースとしたオフロードレースの競技車両だ。拡大

ベースが「C-HR」とは信じられない

最初に乗ったのはC-HR AP4だったが、こちらについては基がC-HRであることがにわかには信じられないくらい、ピュアなスピードラリーカーに仕上がっていた。

ベースにはC-HRのボディーを使い、エンジンには「トヨタ・クラウン」や「レクサスIS」などでおなじみの2リッター直列4気筒ターボ「8AR」を搭載。ここにDrenth製5段シーケンシャルトランスミッションを組み合わせて駆動方式を直結四駆としたその車重は、FIA規定のロールケージや安全装備を組み合わせた状態で空車重量が1350kgとなかなか軽量だ。

最高出力272PS/4400-5500rpm、最大トルク480N・m/2400-3600rpmというアウトプットは、数字的には驚くほどではないが、そのトルクを余すことなく4輪に伝えるトラクション性能の高さは強烈。なによりグラベルロードをあのC-HRが縦横無尽にドリフトしながら駆け抜けるそのギャップが、最高にエキサイティングだ。クスコ製のラリー用サスペンションはストロークと剛性のバランスが絶妙で、バネ下でタイヤを細かく上下動させながらもハンドリングはキビキビとレスポンシブに見えた。

普段はクロスカントリーラリーが主戦場の新堀忠光選手は、このC-HRの印象を「運転の仕方が全然違います。普段は車体をもたせるために横Gを抑えながらドライブしているのですが、スピードラリーカーはコーナーも攻めるようにつくられているから、その差がすごい大きいですね」と語った。ちょっと謙遜気味に話していたが、左足ブレーキを巧みに使いながら狭い砂利道を全開で走り、素早いギアチェンジとともに向きを変えていくその走りは、やはりプロフェッショナルのラリーストである。そして筆者もこの走りに気分を盛り立てられて、「C-HRをドライブしてみたい!」と素直に思った。

ドライブトレインは完全につくり変えられており、駆動システムにはクスコ自製の、前後駆動力配分5:5の“直結四駆”を採用している。
ドライブトレインは完全につくり変えられており、駆動システムにはクスコ自製の、前後駆動力配分5:5の“直結四駆”を採用している。拡大
パワーユニットには「8AR-FTS」をベースとした競技用エンジンを搭載。リストリクターを取り外すと、294PS(216kW)の最高出力を発生する。
パワーユニットには「8AR-FTS」をベースとした競技用エンジンを搭載。リストリクターを取り外すと、294PS(216kW)の最高出力を発生する。拡大
サスペンションは当然ながら、前後ともにクスコレーシングの特注仕様。助手席インプレとしては、悪路で柔軟にタイヤを動かすしなやかさと、四肢をガっと大地に押し付けて路面を離すまいとするたくましさが両存している印象だった。
サスペンションは当然ながら、前後ともにクスコレーシングの特注仕様。助手席インプレとしては、悪路で柔軟にタイヤを動かすしなやかさと、四肢をガっと大地に押し付けて路面を離すまいとするたくましさが両存している印象だった。拡大
特設コースの林道を機敏に走る「C-HR AP4」。そのあまりのカッコよさに、市販モデルのC-HRにもラリーを想起させるグレードがあってもよいのでは? と思ってしまった。
特設コースの林道を機敏に走る「C-HR AP4」。そのあまりのカッコよさに、市販モデルのC-HRにもラリーを想起させるグレードがあってもよいのでは? と思ってしまった。拡大

遊びのスケールがデカすぎる

コンパクトなC-HR AP4から乗り換えたハイラックスは、ワイルドなラグジュアリー感がとても印象的だった。

横に乗った印象は見た目のとおりで、その大きなボディーとストロークフルな足まわりから、乗り心地がかなりいい。一方で、このガタイ(空車重量1981kg)に対してエンジンは2リッターの直列4気筒ターボだから、パワー感はC-HRほどにはない。最高出力は407PS/6000rpm、最大トルクは500N・m/4000-4400rpmにまで高められているのだが、絶対的な排気量が小さいので常にアクセルは全開! そのエキゾーストノートはターボにもかかわらず乾いたさく裂音が心地よく、なんだか「ハチロク」や「シルビア」に乗っているような気持ちになった。

それを塙選手に伝えると、「アメリカで言えばハイラックスって中型ピックアップだから、まさにハチロクとかシルビア、『シビック タイプR』なんですよ」と教えてくれた。そしてこれがフルサイズの「タンドラ」とか「フォードF-150」になると、「スープラ」や「GT-R」になるのだという。「アメリカでピックアップは、スポーツカー並みかそれ以上に人気があります。そしてみんな、これでコースをガンガン走る。だからパーツも豊富に用意されているんですよ」

ちなみにこのハイラックスは、「プレランナー」と呼ばれるユーザーにとっては憧れの仕様なのだという。プレランナーとはスピードラリーで言うところのレッキ仕様で、これでコースを試走して本番に備える。そして競技中は、メカニックがプレランナーを運転してオフロードレースに帯同するのだという。

「レースコースもガンガン走れる仕様で、なおかつエアコンや快適装備も付いている。だからみんなプレランナー仕様を目指して、チューニングをするわけです」

いやはやハイラックスがハチロク扱いとは驚きだが、なんだかおおらかで夢がある。そしてこのワイルドさや楽しさこそが、TRDがわれわれに伝えたかったことなのだと感じた。

参考までにお伝えすると、今回のC-HRの車両製作費は、ざっと見積もってイニシャルで1500万円ほどだという。金額的には高額ではあるけれど、FIA公認のラリーカーをここまでの内容で1台つくり上げることを考えると、これはむしろ安いといえるだろう。

一方、ハイラックスの車両製作費は聞きそびれてしまったが、前回取材した2.8リッターディーゼルターボ車のときは「全日本ラリーに出場するとしたら、むしろ乗用車ベースよりもコストはかからないだろう」と言っていた。なんせ車体がタフであり、純正のATが頑丈だから壊れないのだ。もちろん望めばこのクラス7仕様のハイラックスも、TRDで製作してもらうことが可能だ。(後編へ続く)

(文=山田弘樹/写真=荒川正幸/編集=堀田剛資)

林道を豪快に走るオフロードレース仕様の「ハイラックス」。レギュレーションの違いもあり、サスペンションには2021年に持参した「トヨタ・ハイラックス タッツフィンクデザートレースEX4クラス優勝車両」のおよそ2倍(!)ものトラベル量があるという。
林道を豪快に走るオフロードレース仕様の「ハイラックス」。レギュレーションの違いもあり、サスペンションには2021年に持参した「トヨタ・ハイラックス タッツフィンクデザートレースEX4クラス優勝車両」のおよそ2倍(!)ものトラベル量があるという。拡大
巨大な別体タンクが設けられたフロントサスペンション。伸び側、縮み側はもちろん、収縮のスピードに応じても減衰特性の設定が可能となっている。
巨大な別体タンクが設けられたフロントサスペンション。伸び側、縮み側はもちろん、収縮のスピードに応じても減衰特性の設定が可能となっている。拡大
タイヤはLT285/75R17サイズのヨコハマ製マッドテレイン。塙氏いわく「これほど大きなタイヤでオフロードを全開走行していると、直結四駆では壊れてしまう。このクルマでは前後駆動力配分4:6のトルセン式フルタイム4WDを使っている」とのことだった。
タイヤはLT285/75R17サイズのヨコハマ製マッドテレイン。塙氏いわく「これほど大きなタイヤでオフロードを全開走行していると、直結四駆では壊れてしまう。このクルマでは前後駆動力配分4:6のトルセン式フルタイム4WDを使っている」とのことだった。拡大
ボディーについてはキャビンを除き、鋼管で独自にフレームを製作。400PSオーバーのエンジンに組み合わされるのは、市販車ベースのトルコン式6段AT(!)だが、専用のロックアップ制御により、高い耐久性と素早い変速を両立していた。
ボディーについてはキャビンを除き、鋼管で独自にフレームを製作。400PSオーバーのエンジンに組み合わされるのは、市販車ベースのトルコン式6段AT(!)だが、専用のロックアップ制御により、高い耐久性と素早い変速を両立していた。拡大
日本でも、北海道で「XCRスプリントカップ」が開催されるなど、クロスカントリー車によるオフロードレースが盛り上がりをみせている。2023年も、年6戦、うち2戦を全日本ラリー選手権と共催するかたちで開催されるという。
日本でも、北海道で「XCRスプリントカップ」が開催されるなど、クロスカントリー車によるオフロードレースが盛り上がりをみせている。2023年も、年6戦、うち2戦を全日本ラリー選手権と共催するかたちで開催されるという。拡大
ホンダ・フィットe:HEV RS 無限パーツ装着車
ホンダ・フィットe:HEV RS 無限パーツ装着車拡大
 
2022ワークスチューニンググループ合同試乗会(前編:無限/TRD編)【試乗記】の画像拡大
 
2022ワークスチューニンググループ合同試乗会(前編:無限/TRD編)【試乗記】の画像拡大
 
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テスト車のデータ

ホンダ・フィットe:HEV RS 無限パーツ装着車

ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4080×1695×1540mm
ホイールベース:2530mm
車重:1210kg
駆動方式:FF
エンジン:1.5リッター直4 DOHC 16バルブ
モーター:交流同期電動機
トランスミッション:CVT
エンジン最高出力:106PS(78kW)/6000-6400rpm
エンジン最大トルク:127N・m(13.0kgf・m)/4500-5000rpm
モーター最高出力:123PS(90kW)/3500-8000rpm
モーター最大トルク:253N・m(25.8kgf・m)/0-3000rpm
タイヤ:(前)205/40R17 84W/(後)205/40R17 84W(ブリヂストン・ポテンザ アドレナリンRE004)
燃費:27.2km/リッター(WLTCモード)
価格:234万6300円/テスト車=--円
装着部品:フロントアンダースポイラーfor RS<カラード仕上げ>(8万2500円)/サイドスポイラーfor RS<カラード仕上げ>(6万0500円)/リアアンダースポイラーfor RS<カラード仕上げ>(10万4500円)/フロントグリルガーニッシュ<カラード仕上げ>(5万5000円)/カーボンテールゲートガーニッシュ(8万5800円)/カーボンドアミラーカバー(4万4000円)/エンジントリートメントオイルMT105<200ml>(5280円)/エンジンパフォーマンスオイルMS-S<SAE 0W-20、1リッターボトル>(3080円×4本)/ハイパフォーマンスオイルエレメント(2860円)/ハイプレッシャーラジエーターキャップ(2970円)/アルミホイール「MDE」<17×7J インセット+60>(5万3900円×4本)/ホイールナット&ロックセット(8360円)/ベンチレーテッドバイザー<フロント/リア4枚セット、無限エンブレム付き>(2万3100円)/フェンダーデカール<無限ロゴ入り、左右2枚セット>(6600円)/ドアサイドデカール<無限ロゴ入り、左右4枚セット>(1万4300円)/テールゲートデカール<無限ロゴ入り>(5500円)/カーボンナンバープレートガーニッシュ<リア用>(2万2000円)/ナンバープレートボルト<2個入り>(2530円×2セット)/ハイドロフィリックLEDミラー(3万8500円)/無限メタルロゴエンブレム(7480円)/ドアハンドルプロテクター(3080円×2セット)/ドアリフレクションフィルム<フロント/リアドア用1台分セット>(1万6500円)/ヘキサゴンオイルフィラーキャップ(9350円)/ハイパフォーマンスブレーキフルード<500ml>(3300円×2本)/リザーバータンクカバー(2200円)/スポーツマット<レッド、1台分>(2万7500円)/スポーツラゲッジマット<レッド>(1万4300円)/パワースイッチ<e:HEV車用、無限ロゴ入り>(1万3200円)/ドアインナープロテクター<フロントドア左右セット>(1万1000円)/スカッフプレート<1台分4枚セット>(1万5400円)/カーボンルームミラーカバー(1万9800円)

テスト車の年式:2022年型
テスト開始時の走行距離:1324km
テスト形態:トラックインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター(レギュラーガソリン)
参考燃費:--km/リッター

ホンダ・ステップワゴンe:HEVスパーダ プレミアムライン 無限パーツ装着車
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ホンダ・ステップワゴンe:HEVスパーダ プレミアムライン 無限パーツ装着車

ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4830×1750×1845mm
ホイールベース:2890mm
車重:1840kg
駆動方式:FF
エンジン:2リッター直4 DOHC 16バルブ
モーター:交流同期電動機
エンジン最高出力:145PS(107kW)/6200rpm
エンジン最大トルク:175N・m(17.8kgf・m)/3500rpm
モーター最高出力:184PS(135kW)/5000-6000rpm
モーター最大トルク:315N・m(31.2kgf・m)/0-2000rpm
タイヤ:(前)225/45R18 95W/(後)225/45R18 95W(ブリヂストン・レグノGRV II)
燃費:19.5km/リッター(WLTCモード)
価格:384万6700円/テスト車=--円
装着部品:フロントアンダースポイラー<カラード仕上げ>(9万3500円)/サイドガーニッシュ<カラード仕上げ>(13万2000円)/リアアンダースポイラー<カラード仕上げ、無限スポーツサイレンサー同時装着車用>(8万2500円)/フロントグリルガーニッシュ<ブラック塗装仕上げ>(4万9500円)/リアバンパーステップデカール(2万4200円)/ドアミラーカバー<ブラック塗装仕上げ>(3万9600円)/ハイドロフィリックLEDミラー(4万8400円)/ベンチレーテッドバイザー<フロント/リア4枚セット>(3万0800円)/スポーツサイレンサー(20万3500円)/ハイパフォーマンスオイルMS-S<SAE 0W-20、1リッターボトル>(3080円×4本)/ハイパフォーマンスラジエーターキャップ(2970円)/ハイパフォーマンスオイルエレメント(2860円)/アルミホイール「MDW」<18×7.5J インセット40>(5万2800円×4本)/ホイールナット&ロックセット(9680円)/パフォーマンスダンパー<前後セット>(14万3000円)/ハイパフォーマンスブレーキフルード<500ml>(3300円×2本)/リザーバータンクカバー(2200円)/スポーツマット<レッド、1台分セット>(5万9400円)/スポーツラゲッジマット<レッド>(2万6400円)/スカッフプレート<無限ロゴ入り、フロント左右2枚セット>(1万3200円)/ヘキサゴンオイルフィラーキャップ<シャンパンゴールド>(9350円)/ドアハンドルプロテクター<カーボン調>(3080円)/無限メタルロゴエンブレム(7480円)/カーボンナンバープレートガーニッシュ フロント用(2万2000円)/カーボンナンバープレートガーニッシュ リア用(2万2000円)/フロントグリルガーニッシュ取付ボルトキット(4180円)/ナンバープレートボルト(2530円)/サイドデカール<1セット2枚入り>(6600円)

テスト車の年式:2022年型
テスト開始時の走行距離:5334km
テスト形態:トラックインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター(レギュラーガソリン)
参考燃費:--km/リッター

トヨタC-HR AP4 RAATタイランドラリーチャンピオンシップ2022 RC2 4WDクラス優勝車
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2022ワークスチューニンググループ合同試乗会(前編:無限/TRD編)【試乗記】の画像拡大
 
2022ワークスチューニンググループ合同試乗会(前編:無限/TRD編)【試乗記】の画像拡大
「C-HR AP4」のドライバーを務めた新堀忠光選手。
「C-HR AP4」のドライバーを務めた新堀忠光選手。拡大

トヨタC-HR AP4 RAATタイランドラリーチャンピオンシップ2022 RC2 4WDクラス優勝車
(ベース車:トヨタC-HR)

ボディーサイズ:全長×全幅×全高=--×--×--mm
ホイールベース:--mm
車重:1350kg
駆動方式:4WD
エンジン:2リッター直4 DOHC 16バルブ ターボ
トランスミッション:5段シーケンシャルMT
最高出力:272PS(200kW)/4400-5600rpm
最大トルク:480N・m(48.9kgf・m)/2400-3600rpm
タイヤ:(前)205/65R15 94Q/(後)205/65R15 94Q(ヨコハマ・アドバンA053)
燃費:--km/リッター
価格:--円/テスト車=--円
装着部品:--

テスト車の年式:--年型
テスト開始時の走行距離:--km
テスト形態:オフロードインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター(ハイオクガソリン)
参考燃費:--km/リッター

TRDハイラックス デザートレーススペック(クラス7)
TRDハイラックス デザートレーススペック(クラス7)拡大
 
2022ワークスチューニンググループ合同試乗会(前編:無限/TRD編)【試乗記】の画像拡大
 
2022ワークスチューニンググループ合同試乗会(前編:無限/TRD編)【試乗記】の画像拡大
「TRDハイラックス デザートレーススペック」のドライバーを務めた塙 郁夫選手。
「TRDハイラックス デザートレーススペック」のドライバーを務めた塙 郁夫選手。拡大

TRDハイラックス デザートレーススペック(クラス7)
(ベース車:トヨタ・ハイラックス レボ スマートキャブ)

ボディーサイズ:全長×全幅×全高=5389×1788×2085mm
ホイールベース:3210mm
車重:1981kg
駆動方式:4WD
エンジン:2リッター直4 DOHC 16バルブ ターボ
トランスミッション:6段AT
最高出力:407PS(300kW)/6000rpm
最大トルク:500N・m(51.0kgf・m)/4000-4400rpm
タイヤ:(前)LT285/75R17 121/118Q/(後)LT285/75R17 121/118Q(ヨコハマ・ジオランダーM/T G003)
燃費:--km/リッター
価格:--円/テスト車=--円
装着部品:--

テスト車の年式:--年型
テスト開始時の走行距離:--km
テスト形態:オフロードインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター(ハイオクガソリン)
参考燃費:--km/リッター

山田 弘樹

山田 弘樹

モータージャーナリスト。ワンメイクレースやスーパー耐久に参戦経験をもつ、実践派のモータージャーナリスト。動力性能や運動性能、およびそれに関連するメカニズムの批評を得意とする。愛車は1995年式「ポルシェ911カレラ」と1986年式の「トヨタ・スプリンター トレノ」(AE86)。

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