トヨタ・ヴェロッサ(4AT/5AT/5MT)【試乗記】
『つらいキャラクター』 2001.07.12 試乗記 トヨタ・ヴェロッサ ……240.0から337.0万円 プラットフォームを徹底活用するトヨタから、2001年7月6日、またまたマークIIベースのニューモデル登場。“地味め保守派”の「クレスタ」から一新、名前も、イタリア語の「Vero(真実)」と「Rosso(赤)」と合わせた「ヴェロッサ」に変更、エモーショナルセダンを謳う。自動車ジャーナリスト、河村康彦のファーストインプレッション。若々しくハーダー
「ヴェロッサ」は、“ドライビングプレジャーに溢れる高級車”を目指したという。とはいえ、直列6気筒エンジン+FRレイアウトの3ボックスサルーン……と、この時点で「実はマークIIとDNAを共有する一台」という、その“出典”を見破ったヒトも多いだろう。2リッターと2.5リッター、2.5リッターターボのエンジンラインナップ、4輪ダブルウィッシュボーンの足まわり、そして2780mmのホイールベースと、基本骨格に違いはない。では、マークIIとの違いはドコにあるのか?
エクステリアはかなりアグレッシブだ。スタイリングのテーマは「クラウティングフォルム」。インテリアも、マークIIよりは若づくり。シートレイアウトなどは基本的に同じだが、派手な滑り止め模様付きのペダル類や金属調リングを採用した空調吹き出し口など、ディテイルに若々しさが演出される。
動力性能は、絶対的にもフィーリング的にも、マークIIのそれから変わってはいない。けれども、スプリングやダンパーを「マークIIよりもややかためにセットアップすることで」、フットワークはよりスパイシーなテイストを目指している。絶対的にハードではないがマークIIよりは“ハーダー”……それが、ヴェロッサの狙った味付けだ。
メインはNA2.5リッター
「ちょっと若々しく、すこしスポーティに」。そうしたトヨタ開発陣の意図は、走り出した瞬間から感じ取れる。2リッターエンジン(160ps、20.4kgm)を搭載し、最もソフトな脚が与えられた「20」グレードでさえ、サスペンションはマークIIよりハッキリと硬い。
パーキングスピードではパワーステも重めで、予想以上に“硬派”なテイストだ。もちろん、乗り心地が硬めとなることは、あらかじめ納得しておく必要がある。実際に走らせると、静粛性は高く、全般的な快適性は良好だが、高速走行時のフラット感はもうすこし欲しい。
「20」同様の16インチシューズを履いた2.5リッターNAユニット(200ps、25.5kgm)搭載の「25」は、排気量アップと、2リッターモデルより1段多い5段ATを搭載分、加速力の余裕が増す。とはいえ、それ以外の乗り味は「20」同様。2.5リッターストレート6は、「D-4」つまり直噴エンジンとなるが、アクセルレスポンスに不自然さはない。クルージングでは2リッターモデルを凌ぐ好燃費が期待される。これが、シリーズの主力エンジンという位置付けだ。
2.5リッターターボ(280ps、38.5kgm)を搭載した「VR25」の走りのポテンシャルは別格だ。圧倒的な加速力、コーナリング限界の高さなどからして、これはもう“スーパー・スポーツサルーン”と言える。
ただし1速で80km/h、2速では150km/h(!)までスピードが伸びるとなると、その速さは、もはや日本では過剰な感も強い。ヴェロッサは国内専用車種だから、「この性能を世界に問う」という言い訳(?)ができないところが、キャラクター的にはちょっと辛い……。
(文=河村康彦/2001年7月)

河村 康彦
フリーランサー。大学で機械工学を学び、自動車関連出版社に新卒で入社。老舗の自動車専門誌編集部に在籍するも約3年でフリーランスへと転身し、気がつけばそろそろ40年というキャリアを迎える。日々アップデートされる自動車技術に関して深い造詣と興味を持つ。現在の愛車は2013年式「ポルシェ・ケイマンS」と2008年式「スマート・フォーツー」。2001年から16年以上もの間、ドイツでフォルクスワーゲン・ルポGTIを所有し、欧州での取材の足として10万km以上のマイレージを刻んだ。
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