トヨタ・ヴェロッサVR25(4AT)【ブリーフテスト】
トヨタ・ヴェロッサVR25(4AT) 2001.09.28 試乗記 ……382.9万円 総合評価……★★★いくつもの疑問符
「マークII」の顧客層が、40から50歳代に上がってしまったことから、30歳代の顧客を開拓すべく企画されたのがヴェロッサ。マークIIのフロントとリアの造作を大胆に変え、足まわりを硬めたのが、その正体だ。販売店から言えば「クレスタ」の後継モデルにあたるが、むしろ「チェイサー」が吸収していたヤングユーザーをどれだけ取り込めるかが、開発のテーマとなっている。
ヴェロッサのラインナップ中、テスト車の「VR25」は、280psの2.5リッター直列6気筒ターボ「1JZ-GTE」ユニットを積む最もスポーティなグレード。「1JZ-GTE」の2000から4500rpmまでの官能的なエンジンフィールにはシビれるが、エンジンに追いつかない足まわり、ホールド性の低いシート、高すぎる着座位置、インパネまわりの視認性など、クルマ全体としてのまとまりにはいくつも疑問符が付く。
ランチア・ディアロゴスのようなフロントマスク、フェンダーのエッジなど、若いモンが飛び付くような刺激的なクルマを造ろうとしたことは理解できるが、このような手法でマークIIとの差異化がどれだけ図れるのかはわからない。
【概要】 どんなクルマ?
(シリーズ概要)
2001年7月6日にリリースされた、トヨタいうところの「エモーショナルセダン」。「ヴェロッサ」とは、イタリア語の「Vero(真実)」と「Rosso(赤)」からの造語である。販売店からは旧マークII3兄弟の「クレスタ」を継ぐモデルとなるが、保守層狙いだったクレスタからクルマの性格が一変したため、ニューネームでの登場となった。ベース車「マークII」に準じたグレード構成をとる。エンジンはすべて直6で、2リッター(4AT)、2.5リッター(5AT)、2.5リッターターボ(4AT/5MT)といったラインナップ。2リッターモデルにのみ、4WDが用意される。
(グレード概要)
「VR25」は、280psターボユニットを搭載するヴェロッサ最速モデル。17インチクロームメッキ調アルミホイールに、前「215/45ZR17」、後「225/45ZR17」と前後異形サイズのタイヤを履く。足まわりは、フロント&リアにアンチロールバーを備える。トラクションコントロールは標準装備。さらにパワステは、NAモデルの「エンジン回転数感応型」に対し「速度感応型」となる。
【車内&室内空間】 乗ってみると?
(インパネ+装備)……★
「エモーショナルかつ高品位なインテリア」と謳われるが、インパネまわりは、小さな面積に重ねられて詰め込まれたメーター類が、見にくく、使いにくい。狭い空間にバラバラの色と素材が使われているため、煩雑な印象。一昔前のスイッチだらけのラジカセのようだ。リポーターには「センスが最悪」に感じられた。「マークIIより若向きに」ということだが、イマドキの若者はこういう造形には拒否反応を起こすのではないか、と思う。
(前席)……★★
「VR25」「V25」には、8WAYのパワーシートが標準で装備される。スライド、リクライニングはもちろん、座面上下、角度の調整が電動でできるが、基本的なシートの取り付け位置が高すぎる。最も低い位置にしても、納得いくドライビングポジションが取れなかった。280psのエンジンを持つこのグレードなら、もっと運転姿勢を下げた方が、スポーティなドライブフィールが得られると思う。シートそのものも、本気で走ると十分に身体をホールドしてくれない。
(後席)……★★
外見からは狭そうだが、後頭部のうしろの空間は確保されている。しかし、サイドウィンドウがやや絞られているためか、側頭部はギリギリ。Cピラー内側、耳のすぐそばに「カーテンシールドエアバッグ」の表示あり。事故の際、これが作動(=爆発)したら鼓膜が破れないか?と不安になった。
(荷室)……★★
狭い。開口部も広くないから、大きな荷物の出し入れはしにくいだろう。大きく張り出したホイールハウス間の空間を有効利用するためか、マークII同様、「ラゲージユーティリティボックス」と呼ばれる物入れが設置される。「ゴルフバック4個が入るスペースを確保しています」(カタログ)ということだが……。
【ドライブフィール】 運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★★
2.5リッターターボ「1JZ-GTE」ユニットはとてもスムーズで、トルキーかつパワフル。高回転域でのパンチはいまひとつだが、とても官能的なエンジンだ。シビれる。いまや風向きの悪い「直6」エンジンだが、ぜひ搭載モデルを広げてほしい。2.5リッターNAモデルには5段ATが奢られるが、テスト車のターボは4段AT。それでもギアチェンジは滑らかだし、ショックもほとんど皆無。優秀だ。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★
車速感応型の「プログレッシブパワーステアリング」を採用するが、全体にアシストが強過ぎる。マークIIより10から15%硬めたという足まわりも、本格的にトバすと、「フワフワ」とさえ感じられる。ソフトで乗り心地は安楽だが、パワフルなエンジンに負けている。
(写真=郡大二郎)
【テストデータ】
報告者:金子浩久
テスト日:2001年7月16日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2001年型
テスト車の走行距離:1688km
タイヤ:(前)215/45ZR17/(後)225/45ZR17(ブリヂストン Potenza RE040)
オプション装備:クルーズコントロール(2.6万円)/トルセンLSD(4.5万円)/盗難防止システム(エンジンイモビライザー=2.0万円)/フロントウィンドウ撥水加工(0.5万円)/間欠リアワイパー(1.3万円)/DVDナビゲーションシステム(27.0万円)/前席サイドエアバッグ+カーテンシールドエアバッグ(8.0万円)
テスト形態:ロードインプレッション
テスト状態:市街地(3):山岳路(7)
テスト距離:--
使用燃料:--
参考燃費:--

-
アウディQ3スポーツバックTFSIクワトロ150kWアドバンスト(4WD)【試乗記】 2026.8.31 フルモデルチェンジした「アウディQ3スポーツバック」に試乗。プラットフォームやパワートレインこそ従来型の改良版ではあるものの、内外装のデザインやインフォテインメント、効率性のすべてにおいて大幅な進化を遂げたという。その仕上がりやいかに。
-
トヨタbZ4XツーリングZ(4WD)【試乗記】 2026.8.29 「トヨタbZ4X」にワゴンのようなロングボディーを持つ「ツーリング」が登場。ただ長くなっただけではなく、今回試した4WDモデルではパワーもアップ。乗り味にも微妙な影響を及ぼしているから見逃せない。経路充電を試しつつ、370km余りをドライブした。
-
BMW 120オリジナル(FF/7AT)【試乗記】 2026.8.25 BMWの主要モデルに新グレードの「オリジナル」が設定された。位置づけとしては新たなエントリーグレードということになるが、BMWらしさを損なうことなく装備を厳選し、価格を抑えたのがポイントだという。「1シリーズ」の「120オリジナル」の仕上がりをリポートする。
-
トライアンフ・スラクストン400(6MT)【レビュー】 2026.8.25 カフェレーサーの本場である、イギリスのトライアンフがリリースした「スラクストン400」。車名のとおり、カジュアルに楽しめる400ccクラスのマシンではあるのだが、その実物からは、エントリーモデルとは思えない本物の香りが漂っていた。
-
スズキeスカイ プロトタイプ(FWD)【試乗記】 2026.8.24 スズキが満を持して世に問う、軽規格の新型電気自動車「eスカイ」。軽乗用車の本質である、生活の足としてのちょうどよい性能を追求したという一台は、どのようなクルマに仕上がっているのか? 2026年秋の正式発表を前に、プロトタイプモデルに試乗した。
-
NEW
新型「三菱パジェロ」の外装・内装を写真でチェックする
2026.9.2画像・写真5年間のブランクを経て、三菱のフラッグシップSUV「パジェロ」がついに復活! 「グランドカリスマ -泰然自若-」をコンセプトにデザインされた本格クロスカントリーモデルは、どのような姿をしているのか? 内外装の詳細を、写真で紹介する。 -
NEW
復活の決め手はこっくりさん!? 新生「三菱パジェロ」誕生の経緯とその狙い
2026.9.2デイリーコラム5年間の沈黙を経て、ついに登場した新型「三菱パジェロ」。スリーダイヤモンドが誇る荒野のフラッグシップは、いかにして復活を遂げたのか? 開発の経緯や内外装デザインの詳細、パワートレインに見るクルマの“狙い”をリポートする。 -
NEW
第127回:新型BMW X5(後編) ―迷走するBMW 結局アナタは“ノイエクラッセ”でなにがしたかったの?―
2026.9.2カーデザイン曼荼羅その姿が明らかとなるや、賛否両論を巻き起こしている新型「BMW X5」。このクルマは既存のBMW製SUVとはなにがちがうのか? そもそもBMWは“ノイエクラッセ・デザイン”になにを託していたのか? カーデザインの識者と、迷走するBMWの明日を探った。 -
NEW
BMW X1 sDrive20iオリジナル(FF/7AT)【試乗記】
2026.9.2試乗記BMWのコンパクトSUV「X1」に新グレードの「オリジナル」が登場。走りの楽しさをはじめとしたBMWらしさをキープしつつ、装備の厳選によって価格抑制を図った新たなエントリーグレードだ。都市部におけるドライバビリティーとユーザービリティーをリポートする。 -
スポーツカーに未来はあるか?
2026.9.1あの多田哲哉のクルマQ&A年々、開発環境が厳しくなるといわれるスポーツカーは、この先も存在しうるのか? トヨタのエンジニアとしてさまざまなスポーツカーを開発してきた多田哲哉さんに“未来のスポーツカー像”を聞いた。 -
トヨタGRヤリスRZ“ハイパフォーマンス”+エアロパフォーマンスパッケージ【試乗記】
2026.9.1試乗記2020年のデビュー以来、間断なく進化を続けてきたコンパクトスポーツの「トヨタGRヤリス」。一般ユーザーの間ではもちろん、コンペティションの世界でもチューニングのかいわいでも光を放つ一台は、2026年モデルでどう進化したのか? その走りを報告する。



















