トヨタ・プレミオ 1.8X EXパッケージ 4WD(4AT)【ブリーフテスト】
トヨタ・プレミオ 1.8X EXパッケージ 4WD(4AT) 2002.02.22 試乗記 ……257.4万円 総合評価……★★★目にみえない優しさ
4WD仕様は、今でこそ特別な注目を浴びなくなったが、もともと北国や山間部では常識的なチョイスである。FR(後輪駆動)に比べればFF(前輪駆動)の走破性に優位性が認められる、さらに雪道や雨天など低ミュー路では、やはり4WDのメリットが大きい。4WDの利点はそれだけではない。駆動系のスムーズさは高級な走行フィールを持ち、横風などの外乱に対する安定性も高い。ドライの通常走行においても、ワンランク上の洗練された走りを約束する。
プレミオの4WDシステムは、センターデフにVCU(ビスカスカプリングユニット)を使うシンプルな構造ながら、事実上のフルタイム4WDとしての機能は十分に果たす。昨今の流行りは電子制御デフのように錯覚させるが、あのポルシェ911ターボや911カレラ4がそうであるように、VCUもそう馬鹿にしたものではない。
プレミオ4WDの場合には、もうひとつのオマケがつく。普通のFF車のリア・サスペンションは、半独立のトーションビームだが、4WDの場合は、ディファレンシャルを避ける必要上ダブルウィッシュボーンとなる。つまり独立懸架に格上げされるのだ。より接地性が高く、乗り心地の面で有利なことはいうまでもない。1.8リッターベースモデルでの価格差は21.0万円である。車両重量差110kg。もちろん4WD車が重い。地上高は5mm高くなる。「10・15モード」の燃費は16.0から13.0km/リッターへと悪化する。
【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
プレミオ/アリオンは、2001年12月25日から販売が開始されたトヨタのミディアムセダン。プレミオはコロナ、アリオンはカリーナの後継モデルとなる。グリル上下やドアハンドル、細いモールなどにメッキ調の“光りモノ”を使用したのがプレミオ。アリオンはボディ同色となる。5ナンバー枠内のサイズながら、長いホイールベースによる広いキャビンと豊富なシートアレンジを実現。特にリアシートは、荷室との隔壁をなくすことで、背もたれを大きく後にリクライニングできるようになった。エンジンは、いずれも1.5、1.8、2リッターの3種類。FFのほか、1.8リッターモデルには4WDも用意される。
(グレード概要)
プレミオは排気量によって小さい順に「F」「X」「G」と分けられる。4WDは1.8リッターにしか設定されない。2WDモデルと比較すると、ボディサイズは全高が10mm高く、エンジンは、125ps/6000rpm、16.4kgm/4200rpmと、出力で7ps、トルクは0.7kgm低くなる。一番の違いは、2WDモデルのリアサスペンションがトーションビームなのに対し、4WDモデルはダブルウィッシュボーンとなることだ。
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★
4WDゆえの特別な配慮はない。切り替え式のパートタイム4WDでもないし、デフロックも必要としないから、そうした情報をドライバーに知らせるサインはない。ハンドルはチルト調整(上下)のみで、このクラスならばテレスコピック調整(前後)もできた方が親切だ。ステアリングホイールの中心をずらす、センターオフセットにまだ未練があるのか、微小に残されている。
(前席)……★★★
硬めのシートクッションは、形状、サイズ共にまずまず。アジャスト機構も普通だ。前席からの眺めは、ボンネットがほとんど見えず先端を確認できないが、スカットルは低くそれほど不安感はない。気になったのは、ブレーキを解除する際にもう一度ペダルを踏む、「2度踏み式」のサイドブレーキ。使いにくい。リリース方法をDレンジ開放されるようにするなど、研究の余地あり。
(後席)……★★★
フルフラットになるシートや、荷室とつなげてすこし大きめの荷物を積載できるなど、4ドアセダンながらミニバンの便利さの一部をとりいれた、シートアレンジ機構がプレミオの数少ない「特別」な部分である。フランス人ならば、この形体のまま躊躇せずハッチバックにしてしまうだろうが、そこまでは踏み切れないところが、“数”で勝負しなければならない大メーカーの泣きどころか。とはいえリアシートがリクラインすることや、スキーなどの長尺物を積み込めることは福音。
(荷室)……★★★
FFセダンのトランクとしては、特別に広々としたスペースをもつようには見えないが、リアシートとつなげて使える便利さはある。リッドそのものもバンパーの高さから開き、使い勝手はまずまず。サスペンションの張り出しは大きい方だ。リアシートとつなげる前段階として、きちんと四角いフロア形状にするなど、欧州車に学ぶべき点はまだある。下敷のカーペットやサイドのトリムなども室内色に合わせてある。リッドに内張りがあるのもこのクラスが下限か。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★★
4WDのエンジンは、1.8リッターのみとなる。1ZZ-FEエンジンは、ボア×ストローク=79.0×91.5mmのロングストローク型で、もちろんDOHC4バルブ。FFの132ps/17.3kgm に対して、125ps/16.4kgm にデチューンされる。燃料は共に無鉛レギュラーガスが指定で、リアサスの形式は異なるが、タンク容量は60リッターと変わりなし。スーパーECTと呼ばれる4ATのギア比は同じながら、ファイナルは4.130から4.237へ多少低くされる。これはタイヤサイズが、FFの185/70R14に対して、4WDは195/65R15へとアップされこともあるが、増加した重量への対処なども含まれる。いずれにしても微小範囲の違いでしかなく、直接乗り比べても大差はない。
日常の扱いにおいては、4WDだからといって特別な意識をもつ必要はない。そのうえで、スロットルのオン/オフにまつわる姿勢変化だとか、ちょっと砂利が浮いているところなど、ミューの低い路面で「ザッ!」とホイールスピンさせてしまうとか、スロットル操作を雑に行った場合の下品な挙動とは無縁で、Gに敏感な子女やお年寄りを乗せる場合には目にみえない優しさを発揮する。単純に考えても、トルクが2輪から4輪に分散するので、そうした変動が少ないことは容易に理解されよう。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★★
車輪に対して駆動力のかかり方が優しいことは、乗り心地など快適性にも好影響を与える。残りの2輪にも駆動力が与えられれば、接地性も上がるから、安定性を増す。ということは横風などに対しても、挙動変化やGが少なくなり、スムーズな走行性が得られるから、なかの人間に対する入力も少なくなるわけだ。
操縦安定性に対しても、言うまでもなく4WDのメリットは大きい。駆動能力のアップは安定性に寄与する。このプレミオの場合には、後輪独立懸架ももちろん乗り心地や操縦安定性を向上させている。
性能を絶対値として見た場合に、「FFも4WDもそんなに大きくは変わらないよ」という見方もあるだろう。しかしこれは価値観の違いが大きい。4WDシステムの代わりに、種々のオプションを加えることも可能だ。そうした装備品をとるか、4WDの機能的な能力をとるか、それはユーザーの自由な選択である。ヨンクの魅力を知らなければそれまで。でも一度その良さを知ってしまうと、もう戻れないというハナシもある。
(写真=清水健太)
【テストデータ】
報告者:笹目二朗
テスト日:2002年1月10日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2002年型
テスト車の走行距離:--km
タイヤ:(前)195/65/R15 91S(後)同じ(いずれもブリヂストン B390)
オプション装備:2灯式マルチリフレクターディスチャージヘッドランプ(4.5万円)/DVDボイスナビ付きワイドマルチAVステーション&TVアンテナ&バックガイドモニター(29.9万円)/音声案内付きクリアランスソナー(4.0万円)/スーパーホワイトパールマイカ(3.0万円)
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(6):高速道路(2):山岳路(2)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター
参考燃費:--km/リッター

笹目 二朗
-
ホンダCB750ホーネット(6MT)【レビュー】 2026.7.18 ホンダのスポーツネイキッド「CB750ホーネット」が、話題の「E-Clutch」を獲得。ライディングの幅を広げる自動クラッチシステムは、パンチの利いた2気筒のストリートファイターにどんな走りをもたらすのか? その仕上がりを確かめた。
-
ベントレー・ベンテイガ スピード(4WD/8AT)【試乗記】 2026.7.17 「ベントレー・ベンテイガ」に最上級グレードの「スピード」が登場。ブランドの在り方をストレートに伝える名称のトップパフォーマンスモデルだが、従来型との最大の違いはその心臓部にV8エンジンが積まれていることだ。およそ不満のあろうはずもないが、最新モデルの仕上がりをリポートする。
-
フェラーリ849テスタロッサ スパイダー(4WD/8AT)【海外試乗記】 2026.7.15 歴史ある車名が与えられた「フェラーリ849テスタロッサ」は、従来型から大幅な進化をとげた高性能スポーツカーだ。では、そのオープントップバージョンの走りはどうか? 日本での発売を前に、フェラーリ通として知られる西川 淳が試乗した。
-
ポルシェ・カイエン ターボ エレクトリック(4WD)【試乗記】 2026.7.15 ポルシェ最新の電動ハイパフォーマンスSUV「カイエン エレクトリック」。そのラインナップのなかでも、最高峰に位置するのが「カイエン ターボ エレクトリック」だ。最高出力1156PS、最大トルク1500N・mという、とてつもないパフォーマンスの一端に触れた。
-
プジョー308 GTハイブリッド(FF/6AT)【試乗記】 2026.7.14 マイナーチェンジで内外装がブラッシュアップされた「プジョー308 GTハイブリッド」に試乗。大胆なデザインのフロントフェイスに目を奪われるが、ステランティス自慢の1.2リッター直3マイルドハイブリッドを搭載する最新モデルの仕上がりと走りやいかに。
-
NEW
ポルシェ911カレラT(後編)
2026.7.19ミスター・スバル 辰己英治の目利きスバルとSTIでクルマの走りを鍛え、モータースポーツにも積極的に取り組んできた辰己英治さん。彼の目に、“スポーツカーの水準器”こと「ポルシェ911」はどのように映ったのだろう? 走りの楽しさを追求した「カレラT」グレードに乗っての印象を聞いた。 -
ホンダCB750ホーネット(6MT)【レビュー】
2026.7.18試乗記ホンダのスポーツネイキッド「CB750ホーネット」が、話題の「E-Clutch」を獲得。ライディングの幅を広げる自動クラッチシステムは、パンチの利いた2気筒のストリートファイターにどんな走りをもたらすのか? その仕上がりを確かめた。 -
人気沸騰「ランクル“FJ”」を手にするもうひとつの方法
2026.7.17サブスク「KINTO」で「ランドクルーザー“FJ”」に乗る<AD>2026年5月に発売されるやオーダーが集中し、受注停止となってしまった「ランドクルーザー“FJ”」。しかし、あきらめるのはまだ早い。“FJ”とのカーライフを実現できる、トヨタの新車サブスクリプションサービス「KINTO」という手段があるのだ。 -
新型「アルピーヌA110」はどんなクルマに? グッドウッドを駆けたテストカーから読み解く
2026.7.17デイリーコラムアルピーヌが次期型「A110」を示唆する「A110フューチャー」を初公開。グッドウッドで走る姿を披露した。そこから分かる未来のA110の姿とは? 電動化がアナウンスされているが、エンジン車の設定はあるのか? 公式発表とテストカーの姿から深掘りする。 -
ベントレー・ベンテイガ スピード(4WD/8AT)【試乗記】
2026.7.17試乗記「ベントレー・ベンテイガ」に最上級グレードの「スピード」が登場。ブランドの在り方をストレートに伝える名称のトップパフォーマンスモデルだが、従来型との最大の違いはその心臓部にV8エンジンが積まれていることだ。およそ不満のあろうはずもないが、最新モデルの仕上がりをリポートする。 -
写真で解説する新型「日産エルグランド」
2026.7.16画像・写真新型「日産エルグランド」は、日本伝統の美をデザインに生かしながら、同社独自の最新技術を組み合わせて“走りのよさ”も徹底追求したという意欲作。その見どころを写真とともに解説する。































