ダイハツ・コペン アクティブトップ(4AT)【試乗記】
市販化しただけでスゴイ 2002.06.27 試乗記 ダイハツ・コペン アクティブトップ(4AT) ……149.8万円 「スポーツを語らずして、なにが2シーターオープンや!」というワケで誕生したのが、ダイハツが放つ軽の2座スポーツ「コペン」。千葉県で開かれたプレス向け試乗会で、webCG記者が乗った。スポーツを語らずして……
「電動格納式ハードトップを持つ、軽の2シーターオープンを市販しようやないか! と思いまして」。千葉県は幕張で開かれた、ダイハツの新型軽自動車「コペン」のプレス向け試乗会場で、商品企画部の菅嘉殻係長が関西弁で熱く語った。「スポーツを語らずして、なにが2シーターオープンや!」
というワケで誕生したのが、軽スポーツたるコペンである。
「その通りや!」と、東京は飯田橋生まれのリポーターも大いに賛同したのだが、でもなぜ平成不況のこのおりに?
その答えは、「ダイハツのイメージアップのため」だそうです。
とはいえ、制約の多い軽自動車のこと、パフォーマンス至上主義の“リアルスポーツカー”をつくるつもりはなかったという。「軽自動車という枠、64psという最高出力で速さを求めても、普通車には勝てない。40〜80km/hくらいを気持ちよく走れて、身近な存在のクルマにしようと思いました」とは、製品企画部主査の平田博保次長。スポーツカーの間口を拡げ、誰でも運転を楽しむことができるオープンカーが、コペンの目指すところだ。
オリジナルは、1999年の「第33回東京モーターショー」に出品されたショーカー「コペン」。理想主義的にダブルウィッシュボーンだった前後サスペンションは、「ミラターボ」と同じ、フロントがマクファーソンストラット、リアはトーションビーム式トレーリングアームに改められたが、FFレイアウトや「“C”ompact “Open”」由来の名前、デザインもほぼショーカーのままだ。
ボディサイズは、全長×全幅×全高=3395×1475×1245mm。タテヨコは軽自動車サイズながら、最近のハイトワゴンがよく採る1550mmの高さと較べると、全高は30cm以上低い。
拡大
|
拡大
|
ソアラより早い
コペンのウリは、なにはともあれ電動格納式ハードトップ。トヨタ「ソアラ」やメルセデスベンツ「500SL」は、複数個のモーターを組み合わせて(ソアラは12個)開閉する方式のため、パーツ点数が増えてコストがかかるという。
それに対しコペンは1つのモーターで油圧ポンプを作動させ、その圧力を利用して開閉を行う。「高級車は作動時の静粛性を重視するので、モーターを使います」とエンジニア氏。コペンの149.8万円という価格を考えれば、ウィーンというやや骨太な音もいたしかたないでしょう。ちなみに、閉じた状態から完全に開くまでは約20秒。500SLの4秒落ちだが、ソアラを5秒上回る。リッパだ。
電動オープンの「アクティブトップ」のほかに、着脱可能な樹脂製トップを装着する「ディタッチャブルトップ」仕様もラインナップされる。「開発段階で、これは“走り”もイケルということになりまして。電動トップより30kg車重が軽くなりますから」と菅係長。トップを外せばさらに12kg軽くなり、車重は「アクティブ」の830kgとくらべ、788kgまで軽くなる。スイッチひとつでオープン化という“コンビニエンス”を捨てることにはなるが、42kgのダイエットは、元が軽いだけに効果も大きいだろう。よりスポーティにチューンしたサスペンションなどがセットの「スポーツパック」が標準装備(アクティブトップにはオプション)される。「リアルスポーツ」を目指さないとはいえ、やはり欲が出るのが人のサガ。
拡大
|
拡大
|
拡大
|
交差点を曲がるだけでタノシイ
屋根に頭をブツけないように、運転席へ座る。シートはファブリックのスポーツシートで、コシのある適度な硬さと、サイドサポートのホールド感がスポーティ。太いAピラーと目の前に迫るフロントスクリーンの切れ目がドライバーを圧迫するのが、いかにも現代のオープンカーだ。
ブラックで統一された標準のインテリアは、ちょっと素っ気ない印象。そう思う御仁のために、赤いレザーシートとトリムの「レザーパック」オプションが設定される。オープン時の見た目も華やかなので、リポーターはお勧めします。
雨だったので、残念ながら屋根を閉めて走りだした。0.66リッター直4DOHC16バルブ・ターボは、64ps/6000rpmと、660ccクラストップを謳う11.2kgm/3200rpmのアウトプットを誇る。低回転からトルキーで、使いやすいエンジンだ。
間口の広いスポーツカーを目指したせいか、乗り心地はフラットでなかなかのもの。ステアリングホイールの動きにクルマが機敏に反応し、レーンチェンジや交差点を曲がるだけでも楽しい。段差などを通過するとボディがふるえるのは、オープンボディのご愛敬というところだろう。
コペンは「ミゼットII」同様、熟練工のみが集う「エキスパートセンター」という名の大阪にある専用工場で、月1000台しか生産されない(できない)スペシャルモデルでもある。思いを込めて丁寧につくったものは、ユーザーに「持つ悦び」を提供すると、ダイハツは主張する。大量生産のリスクを避けつつ、ハンドメイドのプレミアム性を付与したという、ひねくれた見方もできるが、販売台数の見込めなさそうな(失礼!)2座オープンだから、量産化しただけでスゴイと思う。いまのところ、計画より2〜3倍の受注を受け、工場はフル稼働だそうだ。
(文=webCGオオサワ/写真=郡大二郎/2002年6月)

大澤 俊博
-
ホンダN-ONE e:G(FWD)【試乗記】 2025.12.17 「ホンダN-ONE e:」の一充電走行距離(WLTCモード)は295kmとされている。額面どおりに走れないのは当然ながら、電気自動車にとっては過酷な時期である真冬のロングドライブではどれくらいが目安になるのだろうか。「e:G」グレードの仕上がりとともにリポートする。
-
スバル・クロストレック ツーリング ウィルダネスエディション(4WD/CVT)【試乗記】 2025.12.16 これは、“本気仕様”の日本導入を前にした、観測気球なのか? スバルが数量限定・期間限定で販売した「クロストレック ウィルダネスエディション」に試乗。その強烈なアピアランスと、存外にスマートな走りをリポートする。
-
日産ルークス ハイウェイスターGターボ プロパイロットエディション/ルークスX【試乗記】 2025.12.15 フルモデルチェンジで4代目に進化した日産の軽自動車「ルークス」に試乗。「かどまる四角」をモチーフとしたエクステリアデザインや、リビングルームのような心地よさをうたうインテリアの仕上がり、そして姉妹車「三菱デリカミニ」との違いを確かめた。
-
アストンマーティン・ヴァンテージ ロードスター(FR/8AT)【試乗記】 2025.12.13 「アストンマーティン・ヴァンテージ ロードスター」はマイナーチェンジで4リッターV8エンジンのパワーとトルクが大幅に引き上げられた。これをリア2輪で操るある種の危うさこそが、人々を引き付けてやまないのだろう。初冬のワインディングロードでの印象を報告する。
-
BMW iX3 50 xDrive Mスポーツ(4WD)【海外試乗記】 2025.12.12 「ノイエクラッセ」とはBMWの変革を示す旗印である。その第1弾である新型「iX3」からは、内外装の新しさとともに、乗り味やドライバビリティーさえも刷新しようとしていることが伝わってくる。スペインでドライブした第一報をお届けする。
-
NEW
フォルクスワーゲンTロックTDI 4MOTION Rライン ブラックスタイル(4WD/7AT)【試乗記】
2025.12.20試乗記冬の九州・宮崎で、アップデートされた最新世代のディーゼルターボエンジン「2.0 TDI」を積む「フォルクスワーゲンTロック」に試乗。混雑する市街地やアップダウンの激しい海沿いのワインディングロード、そして高速道路まで、南国の地を巡った走りの印象と燃費を報告する。 -
NEW
失敗できない新型「CX-5」 勝手な心配を全部聞き尽くす!(後編)
2025.12.20小沢コージの勢いまかせ!! リターンズ小沢コージによる新型「マツダCX-5」の開発主査へのインタビュー(後編)。賛否両論のタッチ操作主体のインストゥルメントパネルや気になる価格、「CX-60」との微妙な関係について鋭く切り込みました。 -
NEW
フェラーリ・アマルフィ(FR/8AT)【海外試乗記】
2025.12.19試乗記フェラーリが「グランドツアラーを進化させたスポーツカー」とアピールする、新型FRモデル「アマルフィ」。見た目は先代にあたる「ローマ」とよく似ているが、肝心の中身はどうか? ポルトガルでの初乗りの印象を報告する。 -
NEW
谷口信輝の新車試乗――ポルシェ911カレラT編
2025.12.19webCG Movies「ピュアなドライビングプレジャーが味わえる」とうたわれる「ポルシェ911カレラT」。ワインディングロードで試乗したレーシングドライバー谷口信輝さんは、その走りに何を感じたのか? 動画でリポートします。 -
ディーゼルは本当になくすんですか? 「CX-60」とかぶりませんか? 新型「CX-5」にまつわる疑問を全部聞く!(前編)
2025.12.19小沢コージの勢いまかせ!! リターンズ「CX-60」に後を任せてフェードアウトが既定路線だったのかは分からないが、ともかく「マツダCX-5」の新型が登場した。ディーゼルなしで大丈夫? CX-60とかぶらない? などの疑問を、小沢コージが開発スタッフにズケズケとぶつけてきました。 -
EUが2035年のエンジン車禁止を撤回 聞こえてくる「これまでの苦労はいったい何?」
2025.12.19デイリーコラム欧州連合(EU)欧州委員会が、2035年からのEU域内におけるエンジン車の原則販売禁止計画を撤回。EUの完全BEVシフト崩壊の背景には、何があったのか。欧州自動車メーカーの動きや市場の反応を交えて、イタリアから大矢アキオが報告する。

































