スバル・レガシィツーリングワゴンGT-B Eチューン(5MT)【ブリーフテスト】
スバル・レガシィツーリングワゴンGT-B Eチューン(5MT) 2001.06.26 試乗記 ……295.8万円 総合評価……★★★★運ばないワゴン
目つき鋭く、彫りが深くなったビッグマイナーチェンジ版レガシィツーリングワゴン。フロントの、大きなスバルエンブレムが誇らしげ。単なるフェイスリフトでないことをアピールするため、プレス向けに開かれた試乗会場には、ドライブトレイン&シャシーのカットモデルが飾られた。フロントにはコーナリング時の横力を受け止める「クロスパフォーマンスロッド」、リアにはサブフレームの揺らぎを抑える「サイドパフォーマンスアーム」が追加されたのがわかる。
また、スバル自慢の大小2ツのタービンで構成される「2ステージターボ」は、小さなプライマリー側ターボが形状変更を受け、2000-4500rpmでのトルクを約7%アップしたという。日常での使い勝手を向上し、セカンダリーターボへスムーズにつなぐためである。
最速グレード「GT-B EチューンII」のマニュアルモデルに乗ると、開発陣の気合いがヒシヒシと感じられる。高速スタビリティの高さ、フラットで上質な乗り心地、カーブでの安定感、どれをとっても国際級。「ワゴン界のイチロー」とでもいいましょうか。
ただし、スペックと商品性が直結しないのが、自動車のオモシロクも残酷なところ。スバルは、今後、ハンドリングオタクへの誘いを、振り切ることができるでありましょうか。ワゴンは、スポーティな生活を運ぶクルマではあるが、スポーツカーではない。
【概要】 どんなクルマ?
(シリーズ概要)
1998年6月17日に登場した3代目レガシィ。看板モデルたる「ツーリングワゴン」、車高を上げ、SUV的な性格が与えられたワゴン「ランカスター」、そしてスポーティセダン「B4」に大別される。ツーリングワゴンは、ボディサイズを5ナンバー枠にとどめたまま、ホイールベースを20mm延長して室内空間を稼ぎ、ボディ剛性を上げ、リアにマルチリンク式サスペンションを採用したのが新しい。エンジンは、2.5リッターNA(自然吸気)、2リッターターボ、同NAのDOHCとSOHCがラインナップされる。すべて水平対向4気筒だ。駆動方式は、全車4WD。2001年5月22日のビッグマイナーチェンジで、顔つきが変わり、エンジンがリファインを受け、足まわりが強化された。
(グレード概要)
「GT-B EチューンII」は、大小2ツのタービンを用いた2リッター「2ステージツインターボ」ユニットを搭載した最速グレード。5MT車は280ps、4AT車は260psを発生する。同じエンジンを積む「GT」と比較して、ビルシュタイン製ダンパー(フロント倒立式)、215/45ZR17とひとまわり大きなタイヤ、ホイールを履くのが、「EチューンII」のゆえん。オートマチックトランスミッションは、ゲート式のGTに対し、EチューンIIにはシーケンシャルシフト可能なスポーツシフトが装備される。
【車内&荷室空間】 乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★★
オーソドクスだが、完成されたインパネまわり。キーを捻ると、メーターリング、針、そして数字と表示される「ブラックフェイスメーター」を装備。マイナーチェンジにともなって、スクラッチの入った黒い「ブラックエアラインパネル」が採用された。黒基調の室内はスポーティだが、「地味」と「陰気」の狭間にある。
(前席)……★★★★
荒い織り、細かい織りのファブリックを上手にミックスしたシート。サラッとした手触りがいい。「スポーティバケット」の名に違わず、座面、背面ともしっかりとしたサイドサポートが張り出す。運転席のみ、電動で座面角度の調整が可能だ。
(後席)……★★★
足もと、頭上とも、スペース十分なリアシート。ヘッドレストが上下調整できないのが不満点。中央席にも、ちゃんと天井から延びる3点式シートベルトが備わる。が、こちらのヘッドレストは、まったく高さが足りない。子供用? なお、後席左右とも、ISOFIX対応型チャイルドシート固定用アンカーが備わる。
(荷室)……★★★★
床面最大幅136cm、奥行き107cm、フラットな床面をもつラゲッジルーム。パーセルシェルフまでの高さは40cmとやや浅いのは、荷物を重ねて置くことはあまりない、ということか。その分、フロア3分の2にわたって、前後2カ所に深さ8cmの広い床下収納が用意される。荷物の出し入れに際にひっかからないよう、ハッチゲイトのキャッチはフロアレベルから飛び出さない。キャビンと荷室をわけるバックレスト内蔵型6:4分割カーゴネットを標準で備える。
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【ドライブフィール】 運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★★
外で聞いているほどは感じないが、依然として個性的なビートを打つボクサーターボ。コンプレッサーハウジングや吸気ポートの形状を変更、低中回転域でのトルクを太くして日常の使い勝手に配慮した。大小2ツの過給機のうち、小さいプライマリーターボのコンプレッサーホイールが小型化されて、レスポンス向上と、セカンダリーターボへのスムーズなつながりが図られ、実際、段付きが軽微になった。過給の主役がプライマリーからセカンダリーに移る、4500rpm付近の加速の「踊り場」を、2ステージターボゆえの“演出”と感じていたヒトにはちょっと寂しいかも。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★★★
街なか、高速を問わず、フラットな乗り心地が印象的。日本車離れした、有無をいわさぬスタビリティの高さを誇る。「キング・オブ・雨のハイウェイ」。マイナーチェンジ時に、フロントに横剛性を高める「クロスパフォーマンスロッド」、リアにサブフレームの揺らぎを防ぐ「サイドパフォーマンスアーム」が採用された。まさに盤石の足まわり。また、パワステのアシスト量が変更されて、ステアリングは手応えあるいい重さに。開発陣は、「ちょっと重すぎるかな?」と心配していたが、杞憂でしょう。いままでが軽すぎた。
(写真=河野敦樹)
【テストデータ】
報告者:webCG青木禎之
テスト日:2001年6月15日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2001年型
テスト車の走行距離:2227km
タイヤ:(前)215/45ZZR17/(後)同じ(いずれもブリヂストンPotenza RE010)
オプション装備:スポーティパック(リアドア、リアクォーター、リアゲイト濃色ガラス+ハイマウントストップランプ内蔵ルーフスポイラー)
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(3):高速道路(6):山岳路(1)
テスト距離:212.8km
使用燃料:30.2リッター
参考燃費:7.0km/リッター

青木 禎之
15年ほど勤めた出版社でリストラに遭い、2010年から強制的にフリーランスに。自ら企画し編集もこなすフォトグラファーとして、女性誌『GOLD』、モノ雑誌『Best Gear』、カメラ誌『デジキャパ!』などに寄稿していましたが、いずれも休刊。諸行無常の響きあり。主に「女性とクルマ」をテーマにした写真を手がけています。『webCG』ではライターとして、山野哲也さんの記事の取りまとめをさせていただいております。感謝。
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