スバル・レガシィツーリングワゴン250S(4AT)【ブリーフテスト】
スバル・レガシィツーリングワゴン250S(4AT) 2001.08.13 試乗記 ……273.3万円 総合評価……★★★★独特の魅力
スバル・レガシィは堅実な道を歩んできたクルマだ。2001年モデルとしての改良も、後部サスペンションアーム付近の、ボディ側取り付け部の強化が主なところ。ターボ車は前部にも同じく強化パーツが組み込まれる。個性的な水平対向エンジンも、細かな改良が加えられて、カタログ上の数字は不変だが低回転域で使いやすくなった。また、歴史の長い4WDシステムのトルク前後配分が見直された。目新しい技術を求めて、ころころ様変わりを繰り返すのではなく、このように、細かな煮詰めを行って、今では完成の域に達している。つまり、ボディの剛性は高いし、サスペンションもしっかりしているし、4WDによる走行性能も安定性の高いものだ。姿勢変化の少ないフラットな乗り心地も秀逸である。水平対向エンジンは、言われるほど重心を低くは感じないものの、ポロポロと個性的な音を発して回る様は独特の魅力をもつ。GM傘下に入って、より独自性を主張するため、スバルマークとして、本来の六連星のマークが全車に復活した。
【概要】 どんなクルマ?
(シリーズ概要)
1998年6月17日に登場した3代目レガシィ。看板モデルたる「ツーリングワゴン」、車高を上げ、SUV的な性格が与えられたワゴン「ランカスター」、そしてスポーティセダン「B4」に大別される。ツーリングワゴンは、ボディサイズを5ナンバー枠にとどめたまま、ホイールベースを20mm延長して室内空間を稼ぎ、ボディ剛性を上げ、リアにマルチリンク式サスペンションを採用したのが新しい。エンジンは、2.5リッターNA(自然吸気)、2リッターターボ、同NAのDOHCとSOHCがラインナップされる。すべて水平対向4気筒だ。駆動方式は、全車4WD。2001年5月22日のビッグマイナーチェンジで、顔つきが変わり、エンジンがリファインを受け、足まわりが強化された。
(グレード概要)
いわゆる2001年モデルから、レガシィツーリングワゴンの2.5リッターモデルは「250S」に一本化された。2.5リッターフラット4は、ビッグマイナーに伴って吸気系がファインチューニングを受け、出力特性と静粛性が改善された。パワーステアリングのアシスト量が変更を受け、据え切り時の操舵感向上が図られたのも新しい。250Sの4WDシステムは「アクティブトルクスプリット4WD」を搭載。通常、前:後=60:40にトルクが配分される。ただし、アンチスピンデバイスたるVDC(Vehicle Dynamics Control)をオプション装備した場合、50:50がベースとなる。
【車内&荷室空間】 乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★
色気はないが機能的で、透過照明によるメーター類が見やすい。ステアリングホイールのグリップは太すぎで無骨。繊細さに欠ける。同様にシフトレバーも大袈裟で「トラック的」。手が大きな人にはいいが……。
(前席)……★★★★
サイズ、形状、ホールド性、いずれも良好。座面の後傾斜角もほどほどで良い。クッションはややゴワゴワした感触あり。もうすこししっとりとしたソフトな部分と、がっしりとした、腰のある剛性感高い骨格が欲しい。
(後席)……★★
形状がやや平板。しかし畳めるタイプのシートとしては仕方のないところ。前席のヘッドレストを抜いてシートバックを倒すと、後席座面とフラットにつながるなど、よく考えられている。ヘッドレストの形状は考慮の余地あり。
(荷室)……★★★★★
サスペンションの張り出しも少なく、荷室は使いやすい。沢山積める広さがある。積む物の形状にもよるが、友人のカメラマンによれば、欧州製の大型ワゴンで積みきれない荷物でも、レガシィワゴンなら積めたこともあるという。
【ドライブフィール】 運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★★
エンジン騒音はやや大きいが、音質は悪くない。加速時のパワーや駆動力は文句ない。2457ccと4気筒エンジンとしては排気量が大きい方だが、回転上昇も高回転域にいたるまで滑らかである。シフトレバーの動きは、長いだけにやや大きく感じる。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★★★
乗り心地はこの手の日本車のなかで一番フラットで快適。多少ゴロゴロした振動はあるが、概ね静粛で洗練されている。硬いばかりでなく、ほどよいロール感を伴う旋回性も自然で安心感がある。
(写真=清水健太)
【テストデータ】
報告者: 笹目二朗
テスト日: 2001年6月22日
テスト車の形態: 広報車
テスト車の年式: 2001年型
テスト車の走行距離: 1576km
タイヤ: (前)205/55R16 89V/(後)同じ(いずれもヨコハマ Advan A-681)
オプション装備: VDC+スポーツパック(リア濃色ガラス+リアスポイラー)+サイドエアバッグ
テスト形態: ロードインプレッション
走行状態: 市街地(2):高速道路(7):山岳路(1)
テスト距離: 331.1km
使用燃料: 40.2リッター
参考燃費: 8.2km/リッター

笹目 二朗
-
BMW 525LiエクスクルーシブMスポーツ(FR/8AT)【試乗記】 2025.10.20 「BMW 525LiエクスクルーシブMスポーツ」と聞いて「ほほう」と思われた方はかなりのカーマニアに違いない。その正体は「5シリーズ セダン」のロングホイールベースモデル。ニッチなこと極まりない商品なのだ。期待と不安の両方を胸にドライブした。
-
スズキ・エブリイJリミテッド(MR/CVT)【試乗記】 2025.10.18 「スズキ・エブリイ」にアウトドアテイストをグッと高めた特別仕様車「Jリミテッド」が登場。ボディーカラーとデカールで“フツーの軽バン”ではないことは伝わると思うが、果たしてその内部はどうなっているのだろうか。400km余りをドライブした印象をお届けする。
-
ホンダN-ONE e:L(FWD)【試乗記】 2025.10.17 「N-VAN e:」に続き登場したホンダのフル電動軽自動車「N-ONE e:」。ガソリン車の「N-ONE」をベースにしつつも電気自動車ならではのクリーンなイメージを強調した内外装や、ライバルをしのぐ295kmの一充電走行距離が特徴だ。その走りやいかに。
-
スバル・ソルテラET-HS プロトタイプ(4WD)/ソルテラET-SS プロトタイプ(FWD)【試乗記】 2025.10.15 スバルとトヨタの協業によって生まれた電気自動車「ソルテラ」と「bZ4X」が、デビューから3年を機に大幅改良。スバル版であるソルテラに試乗し、パワーにドライバビリティー、快適性……と、全方位的に進化したという走りを確かめた。
-
トヨタ・スープラRZ(FR/6MT)【試乗記】 2025.10.14 2019年の熱狂がつい先日のことのようだが、5代目「トヨタ・スープラ」が間もなく生産終了を迎える。寂しさはあるものの、最後の最後まできっちり改良の手を入れ、“完成形”に仕上げて送り出すのが今のトヨタらしいところだ。「RZ」の6段MTモデルを試す。
-
NEW
トヨタ・カローラ クロスGRスポーツ(4WD/CVT)【試乗記】
2025.10.21試乗記「トヨタ・カローラ クロス」のマイナーチェンジに合わせて追加設定された、初のスポーティーグレード「GRスポーツ」に試乗。排気量をアップしたハイブリッドパワートレインや強化されたボディー、そして専用セッティングのリアサスが織りなす走りの印象を報告する。 -
NEW
SUVやミニバンに備わるリアワイパーがセダンに少ないのはなぜ?
2025.10.21あの多田哲哉のクルマQ&ASUVやミニバンではリアウィンドウにワイパーが装着されているのが一般的なのに、セダンでの装着例は非常に少ない。その理由は? トヨタでさまざまな車両を開発してきた多田哲哉さんに聞いた。 -
2025-2026 Winter webCGタイヤセレクション
2025.10.202025-2026 Winter webCGタイヤセレクション<AD>2025-2026 Winterシーズンに注目のタイヤをwebCGが独自にリポート。一年を通して履き替えいらずのオールシーズンタイヤか、それともスノー/アイス性能に磨きをかけ、より進化したスタッドレスタイヤか。最新ラインナップを詳しく紹介する。 -
進化したオールシーズンタイヤ「N-BLUE 4Season 2」の走りを体感
2025.10.202025-2026 Winter webCGタイヤセレクション<AD>欧州・北米に続き、ネクセンの最新オールシーズンタイヤ「N-BLUE 4Season 2(エヌブルー4シーズン2)」が日本にも上陸。進化したその性能は、いかなるものなのか。「ルノー・カングー」に装着したオーナーのロングドライブに同行し、リアルな評価を聞いた。 -
ウインターライフが変わる・広がる ダンロップ「シンクロウェザー」の真価
2025.10.202025-2026 Winter webCGタイヤセレクション<AD>あらゆる路面にシンクロし、四季を通して高い性能を発揮する、ダンロップのオールシーズンタイヤ「シンクロウェザー」。そのウインター性能はどれほどのものか? 横浜、河口湖、八ヶ岳の3拠点生活を送る自動車ヘビーユーザーが、冬の八ヶ岳でその真価に触れた。 -
第321回:私の名前を覚えていますか
2025.10.20カーマニア人間国宝への道清水草一の話題の連載。24年ぶりに復活したホンダの新型「プレリュード」がリバイバルヒットを飛ばすなか、その陰でひっそりと消えていく2ドアクーペがある。今回はスペシャリティークーペについて、カーマニア的に考察した。