スバル・レガシィB4 RS30(4AT)【ブリーフテスト】
スバル・レガシィB4 RS30(4AT) 2002.02.28 試乗記 ……309.3万円 総合評価……★★★道はかすみがち
レガシィシリーズのマイナーチェンジを機に、全車のフロントに大きな六連星(むつらぼし)エンブレムをつけて、スバルのブランドアピールを高めた富士重工。6気筒モデルの拡大で、イメージ向上に加速をつけたい。
スポーティサルーン「B4」にも3リッターフラット6が搭載され「RS30」としてリリースされた。堅実な社風ゆえか、ワゴン/セダンあわせて800台という目標販売台数の少なさからか、4気筒モデルとの外観上の差は小さい。エンブレムと、シブく輝くハイラスター塗装のアルミホイールくらい。
オプションの本革シートは、座面、背面ともサイドサポートが低く、座りやすい。「B4、“ラグジュアリー”方向に振られたのか?」と思いながらキーをひねる。
と、ニューサルーンは、良くも悪くも気筒数を感じさせない。
「EZ30」型フラット6は、4気筒よりわずかに20mm長いだけ。重量は、補器類が嵩むターボユニットと比べ、約6kg増に抑えられた。多気筒モデルにありがちな“頭が重い”感はない。17インチホイールを履きこなすさらに強化されたシャシーとあわせ、「スポーティ」の看板は守られた、と思う。
一方、ニューB4の個性を決定づけるのがエンジンとするならば、全体にパンチに欠けるきらいがある。6シリンダーのボクサーユニットは、6000rpmまで途切れることなくパワーを紡ぎ出し、1490kgのサルーンは、気がつくと驚く速度に達している。アウトプットは十分。スムーズで、静かで、けれども影が薄い。クルマともども。プレミアムサルーンとして、これから熟成が進むのだろう。いまのところ、ハンドリングはいいけれど、進むべき道はかすみがち、ってところか。
【概要】 どんなクルマ?
(シリーズ概要)
看板モデルたる「ツーリングワゴン」に遅れること約半年、1998 年12月21日に登場した4ドアセダン。ツーリングワゴン同様、ボ ディサイズを5ナンバー枠にとどめたままホイールベースを 20mm延長して室内空間を稼いだ。“ファミリー”な側面をバッサ リ切り捨て、スポーティセダンとしての性格を強調。エンジンは すべて水平対向4気筒。当初、2リッターのNA(自然吸気)とタ ーボ、2001年5月22日のビッグマイナーチェンジで2.5リッター NAが加わった。駆動方式は全車4WDだ。
2002年1月21日に、ランカスターに使われる3リッターフラット6が、ツーリングワゴン、B4に搭載され、それぞれ「GT30」「RS30」としてカタログに加わった。トランスミッションは4ATのみ。
(グレード概要)
ツーリングワゴン、B4とも6気筒モデルはモノグレード。HID(高輝度放電式)ロウビームライトを標準装備。アルミホイールは、ハイラスター塗装と呼ばれるシブイ光沢のあるもの。フロントに横剛性の高い倒立式ビルシュタイン製ダンパーが装着される。内装面では、ハンドブレーキリリースボタン、ATシフターまわり、ステアリングホイール中央部にチタン調クローム処理が施される。オプションの本革シートには、座面がフラットで乗降性に優れるローバックタイプが採用された。
【車内&荷室空間】 乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★★
落ち着いた色の木目調パネルは“調”を感じさせない質感の高さ。ステアリングホイール中央部、ATシフターまわりに施されたチタン調クロームメッキと地味にコーディネイトされる。6気筒モデルは、インストゥルメントパネル背面(とフロアマット下面)の防音材を高密度化して、室内の静粛性向上を図った。実際、静かだ。
(前席)……★★★★
乗降性に考慮して、比較的フラットな座面をもつレザーシート。あたりが柔らかくラグジュアリーだが、B4のイメージといまひとつ結びつかない……、というヒトは、標準装備の、スポーツタイプのファブリックシートに座るとホッとするだろう。いずれにせよ、「運転席パワースライド&チルトリフター」が備わる
(後席)……★★★
適度な高さ、たっぷりした長さの座面、やや倒れたバックレストをもち、前席と変わらぬ座り心地が得られる。しかし、全体の居住性には、いま一歩の詰めが必要か。足もとのスペースはじゅうぶんだが、ヘッドクリアランスにやや難あり。天井の長さが足りず、後席乗員の頭半分がリアガラス下に出てしまうのもマイナスポイント。センターシートには3点式シートベルトが付き、ヘッドレストは3つとも別体。それはいいのだが、できれば高さ調整ができるようにしてほしい。
(荷室)……★★★
「ゴルフバッグ4セットが収納できるゆとりの容量」(カタログ)と謳われるラゲッジルーム。床面最大幅137cm、奥行き100cm、高さ45cm。奥に補強材横切るため、完全にフラットなフロアではない。床下には深さ5cmの小物入れあり。後席センターシートを倒せば、トランクスルーも可能だ。
【ドライブフィール】 運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★
ランカスターのフラット6と基本的に同じ「EZ30」ユニット。スムーズに走りだすよう、発進直後はスロットルバタフライの片面だけが混合気を通す工夫が施され(スロットルチャンバー内面部分の「球面形状化」)、アクセルケーブルレバーの形状が変えられた。カムプロフィールも変更を受け、エンジン回転限界が高められた。「高速道路での追い越し加速時に、シフトダウンしやすいように」とのことだが、5段ATさえ装備されれば……。
水平対向6気筒エンジンは、等長排気を実現、「ドコドコドコ……」といういわゆるボクサーサウンドをなくした。かすかにザワめきながら、スムーズに回転をあげる。スペックに不満はない。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★
ターボモデルほどハードではなく、しかしヨンゴーの17インチタイヤをもてあまさない、適度にダンピングの利いた足まわり。街なかで硬すぎず、高速巡航ではフラットな乗り心地を供する。手慣れた「スポーティ」。
前回のマイナーチェンジに引き続き、フロントフレームのクロスメンバー取り付け部、リアサブフレームのブラケットなど、各部が補強された。ハンドリングは、頭が重すぎず、しかし峠で楽しいほど回頭性が高いわけではない。ステアリングは正確だが、クルマの挙動がやや大味な印象。気を抜くと、アンダーステアが顔を出すことがある。4WDシステムは、前:後=45:55を基準とする「VTD-4WD(不変&可変トルク配分電子制御4WD)」。
(写真=清水健太)
【テストデータ】
報告者:webCG青木禎之
テスト日:2002年2月19日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2002年型
テスト車の走行距離:2205km
タイヤ:(前)215/45ZR17(後)同じ(いずれもブリヂストン PotenzaRE040)
オプション装備:本革シート/DVDナビゲーションシステム/マッキントッシュサウンドシステム/リア濃色ガラス
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(4):高速道路(5):山岳路(1)テスト距離:290.9km
使用燃料:45.0リッター
参考燃費:6.5km/リッター

青木 禎之
15年ほど勤めた出版社でリストラに遭い、2010年から強制的にフリーランスに。自ら企画し編集もこなすフォトグラファーとして、女性誌『GOLD』、モノ雑誌『Best Gear』、カメラ誌『デジキャパ!』などに寄稿していましたが、いずれも休刊。諸行無常の響きあり。主に「女性とクルマ」をテーマにした写真を手がけています。『webCG』ではライターとして、山野哲也さんの記事の取りまとめをさせていただいております。感謝。
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