スズキKei Eタイプ(4AT)【ブリーフテスト】
スズキKei Eタイプ(4AT) 2000.12.01 試乗記 ……97.3万円 総合評価……★★★★高さの妥協点
最近の軽乗用車は、ワゴンRをはじめとする背高系が、むしろアタリマエの状況になっている。背高グルマは、運転しては高い視点がまず快感(なのでしょう)。あるいは取りまわしがラク。そして、乗せられては高い天井が快適。乗り降りするときオジギしなくていいからやっぱりラク。そういうことになっている。
反面、重心位置が上がり重量も増えるから、通常型ハッチバックと共用のアシでは確実にツラい。同じくエンジンもツラい。動力だけでなく燃費に関しても。もともと軽自動車はそのへんのキャパシティがギリギリだから、なおさらツラい。高い天井も、走っているかぎりムダにデカい空間としか感じられない。
高さによる利点と難点の最適妥協点として、たとえばこのKei はかなり考えさせられる1台だ。少なくとも実用上、ワゴンR(の、ようなもの)としてはこちらのほうがはるかに気がきいたディメンションになっている。実際乗ってもけっこうゴキゲンだった。
【概要】 どんなクルマ?
(シリーズ概要)
1998年の軽自動車の規格改変で登場したスペシャルティ、Kei。クルマのコンセプトより、もっぱらネーミングのうまさが話題をさらった。当初3ドアだけだったが、すぐに5ドアが追加され、こちらが主流に。3ドア、NAモデルは後にフェードアウトした。2000年10月にマイチェンを受け、「Kei」と「Keiスポーツ」にラインを分け、アルトからの上位車種移行組の受け皿となる。パワーソースは、DOHC、SOHC、2種類のターボユニットと、ツインカムNAユニット。いずれも直列3気筒である。
(グレード概要)
Kei Eタイプは、NAユニットを積むFFモデル。「E」の4WDは、シングルカムターボとなる。同じくターボを搭載する上級グレードが「G」。Gになると、シートベルトの上下調節、電動格納式ドアミラー、助手席下にトレーが付き、前席がランバーサポートを備えたセミバケットタイプになるなど、装備が充実する。
【車内&荷室空間】 乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★★
奥行き上下ともに小ぶりな全体がまずいい。清潔な見た目の印象。いわゆるデザインの遊びがないのもまたいい。ナンの予備知識もなしにパッと乗って細かい操作にナンの迷いもなかったからそれもいい。ラジカセのヘッドユニットのメインダイヤルが大きめにデザインされていて、それも加点要素。
アルト比何10ミリか上がったヒップポイントとの関係で、ステアリングコラムの角度が少し下がり気味に感じられるのが唯一気になる点(アルトと共用のため現状が限界)。このわずかな違和感さえなかったら★★★★★でもよかったぐらいだ。惜しい!
(前席)……★★★★
なんというか、シートらしいシートであるのが嬉しい。座ると表面に近い部分(体感からの推測で30mmほどか?)がプワンとやさしく沈み、そこから段差なしにコシの部分につながっていくクッション特性。床から座面までの高さもしっかり確保されていて疲れない。街中のチョイ乗り程度ですぐに尻がいたくなるシートがはるかに高価なクルマにも珍しくない現状にあって、Kei のそれはかなり優秀。
(後席)……★★★★
いわゆる企画モノ系のクルマだと思っていたので、そのマジメな作りは意外だった。掛け心地は基本的に前席と同じ。つまり悪くない。そして、着座位置は前席よりも確実に高い。天井の高さもそれに対してギリギリのところに設定してあって、やるじゃない。
背もたれのリクライニング機構は端から端まで数えるとたしか7段あって、そのなかのどこだったか忘れたが、前後2段ほどにわたってちゃんと座れるところがある。それより前に倒すと、つまりアップライト側は、「あと○mm」で荷物が積めるか積めないかのときに非常に有効。
(荷室)……★★★
床下収納スペース(実は上げ底)を設けることで、畳んだ後席背もたれとフラットにつなげるタイプ。そのため床は必ずしも低くない。ただ見た目にビンボーくさくないのはいい。後席の背もたれは、ちゃんと分割可倒式だ。
【ドライブフィール】 運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★★
日本の4段ATは概してよくない。5段も大してよくない。というのは昔の3段と比べて。3段の頃は、設計自由度が低かったぶんギア比やトルコンの特性が、マジメに考えられていたのだろう。で、Kei のオートマであるが4段なのにヘンな感じ特になし。スロットル操作とクルマの動きとの連携が自然。エンジン特性もまあ素直。これだったら、MT車でスムーズに走らせようと苦労するよりいい。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★
通常「レガシィ比」でゆったり感3割増のグランドワゴンいやランカスター、とまではいかないが悪くない。スカイラインGT-Rから乗り換えた直後のしばらくは頼りなく感じるかもしれないが、ツッパッたと思ったら突如としてグラッとくる、いわゆる背高系とは確実に違う。要するにコワくない。むしろ、クルマはこのぐらい動いてくれたほうがいい、かな。
【テストデータ】
報告者:森慶太
テスト日:2000年11月2日から4日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2000年型
テスト車の走行距離:1479km
タイヤ:(前)155/80R13 79S/(後)同じ
オプション装備:-
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(6):高速道路(4)
テスト距離:115.3km
使用燃料:12.3リッター
参考燃費:9.4km/リッター

森 慶太
-
トヨタGRヤリスRZ“ハイパフォーマンス”+エアロパフォーマンスパッケージ【試乗記】 2026.9.1 2020年のデビュー以来、間断なく進化を続けてきたコンパクトスポーツの「トヨタGRヤリス」。一般ユーザーの間ではもちろん、コンペティションの世界でもチューニングのかいわいでも光を放つ一台は、2026年モデルでどう進化したのか? その走りを報告する。
-
アウディQ3スポーツバックTFSIクワトロ150kWアドバンスト(4WD)【試乗記】 2026.8.31 フルモデルチェンジした「アウディQ3スポーツバック」に試乗。プラットフォームやパワートレインこそ従来型の改良版ではあるものの、内外装のデザインやインフォテインメント、効率性のすべてにおいて大幅な進化を遂げたという。その仕上がりやいかに。
-
トヨタbZ4XツーリングZ(4WD)【試乗記】 2026.8.29 「トヨタbZ4X」にワゴンのようなロングボディーを持つ「ツーリング」が登場。ただ長くなっただけではなく、今回試した4WDモデルではパワーもアップ。乗り味にも微妙な影響を及ぼしているから見逃せない。経路充電を試しつつ、370km余りをドライブした。
-
BMW 120オリジナル(FF/7AT)【試乗記】 2026.8.25 BMWの主要モデルに新グレードの「オリジナル」が設定された。位置づけとしては新たなエントリーグレードということになるが、BMWらしさを損なうことなく装備を厳選し、価格を抑えたのがポイントだという。「1シリーズ」の「120オリジナル」の仕上がりをリポートする。
-
トライアンフ・スラクストン400(6MT)【レビュー】 2026.8.25 カフェレーサーの本場である、イギリスのトライアンフがリリースした「スラクストン400」。車名のとおり、カジュアルに楽しめる400ccクラスのマシンではあるのだが、その実物からは、エントリーモデルとは思えない本物の香りが漂っていた。
-
NEW
ホンダがコンセプトモデル「アキュラ・ネクセラ ビジョン」を発表 次世代デザインを読み解く
2026.9.3デイリーコラム本田技研工業の米国現地法人アメリカン・ホンダモーターが、アキュラブランドの次世代デザインを示すというコンセプトモデル「ネクセラ ビジョン」を初公開した。バタフライドアを採用するこのスポーツカーは、次世代アキュラの何を表現しているのか。 -
NEW
BMW iX3 50 xDrive Mスポーツ(後編)
2026.9.3あの多田哲哉の自動車放談ワインディングロードで新型「BMW iX3」のステアリングを握った多田哲哉さんは、その走りに感心した様子。どんなところが優れているのか、トヨタのエンジニアの視点で語ってもらおう。 -
NEW
新型「三菱パジェロ」の外装・内装を写真でチェックする
2026.9.2画像・写真5年間のブランクを経て、三菱のフラッグシップSUV「パジェロ」がついに復活! 「グランドカリスマ -泰然自若-」をコンセプトにデザインされた本格クロスカントリーモデルは、どのような姿をしているのか? 内外装の詳細を、写真で紹介する。 -
NEW
復活の決め手はこっくりさん!? 新生「三菱パジェロ」誕生の経緯とその狙い
2026.9.2デイリーコラム5年間の沈黙を経て、ついに登場した新型「三菱パジェロ」。スリーダイヤモンドが誇る荒野のフラッグシップは、いかにして復活を遂げたのか? 開発の経緯や内外装デザインの詳細、パワートレインに見るクルマの“狙い”をリポートする。 -
第127回:新型BMW X5(後編) ―迷走するBMW 結局アナタは“ノイエクラッセ”でなにがしたかったの?―
2026.9.2カーデザイン曼荼羅その姿が明らかとなるや、賛否両論を巻き起こしている新型「BMW X5」。このクルマは既存のBMW製SUVとはなにがちがうのか? そもそもBMWは“ノイエクラッセ・デザイン”になにを託していたのか? カーデザインの識者と、迷走するBMWの明日を探った。 -
BMW X1 sDrive20iオリジナル(FF/7AT)【試乗記】
2026.9.2試乗記BMWのコンパクトSUV「X1」に新グレードの「オリジナル」が登場。走りの楽しさをはじめとしたBMWらしさをキープしつつ、装備の厳選によって価格抑制を図った新たなエントリーグレードだ。都市部におけるドライバビリティーとユーザービリティーをリポートする。






























