スズキ・アルトC2 2WD(3AT)【ブリーフテスト】
スズキ・アルトC2 2WD(3AT) 2001.11.20 試乗記 ……87.3万円 総合評価……★★★★なにより、楽しかった
車体サイズやエンジン等のスペックからして現行の軽自動車中ではもっとも控えめな部類に属する1台であり、それゆえのよさが光っていた。いろいろな意味においてカルく、キャラクターが明快。できることが限られている(たとえばオートマにODがないとか)ために、かえって乗っていて不満をおぼえない。そして、正直ナニより運転が楽しかった。高速巡航も含めて。
昔からの傾向としてスズキの軽はダイハツの軽より車体やアシやモロモロの感触が華奢で(実際に車重が軽かったりもするから、難しくいうとハードウェアのリーン化に対してより積極的だからだろう)、少なくとも今ケースに関してはそれもまたアジだと思った。
C2はいまやすっかりアタリマエになったお面つけかえ仕様だが、くだらないファンシー化は最小限の範囲にとどまっている。このテとしてはかなり垢抜けている。オリジナルのスタイルというか顔面がどこか陰気な感じなので、これだったらむしろベター。
こういうクルマに乗ると、ミニバン軽自動車のアホらしさがよくわかる。そういって悪ければ過剰さがよくわかる。乗用車としてあそこまで背を高くしないとできないようなことは、少なくとも実用上いまの軽自動車にはないのである。むしろ、それによる害のほうが何倍も大きい。といって、ワゴンRが月間3万台とか売れてしまう現状を「ナンセンス」のひとことでかたづけるつもりもないけれど。
【概要】 どんなクルマ?
(シリーズ概要)
1979年に初代がデビュー。装備を徹底的に簡略化することで47万円という低価格を実現し、大ヒット。「ボンバン(ボンネットバン)・ブーム」の火付け役となった。現在のモデルは5代目で、軽自動車の規格改定が実施された98年に登場した。オーソドックスな2ボックスボディは3ドア、5ドアがある。ボディサイズは全長×全幅×全高=3395×1475×1450mm(4WDモデルは全高が5mm高い)、ホイールベース=2360mm。エンジンはすべて直列3気筒DOHCで、リーンバーン仕様やVVT(可変バルブタイミング機構)付きもある。2000年のマイナーチェンジでは、排出ガスのクリーン化、軽量衝撃吸収ボディTECTの採用などが行なわれた。
(グレード概要)
アルトのグレードは、5ドアボディのみの「C2」、「エポ」シリーズの3ドア、5ドアと、バンモデルの「Vs」の3種類。C2は、「ほのぼのとした」外観を演出したという、専用デザインのフロントバンパーとフロントグリルを採用。フロントグリル/バックドアには、1960年代の「SUZUKI」エンブレムを復刻させ、レトロ感を演出した。エンジンは0.66リッター直3DOHC(54ps/6500rpm、6.2kgm/4000rpm)を搭載し、組み合わされるトランスミッションは3ATのみ。駆動方式はFFと4WDが用意される。
【車内&荷室空間】 乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★★
全体から細部にわたるまで、造形はひとことでいってクリーン。ピラーの位置や角度も適切。宿敵ミラと較べるとカウルトップ(ウィンドシールド下縁)は高く、スラントしたボンネットをそれ越しに眺めることは基本的にできない。が、だからといって前方の車両感覚をつかみづらいということもない。2BOX型乗用車の空間構成における定石をキッチリと守り、なおかつ最近のトレンド(全体にさらに背高基調)をもぬかりなくおさえている。
(前席)……★★★
ということで、着座位置はミラの場合よりも高め。少なくとも、床から座面までの高さはあきらかにミラよりある。やはり、いかにもイマふう。運転ポジションに関して違和感はまったくなし。シートそのものも、特に座面サイズが座って大きく感じられて悪くない。
(後席)……★★
絶対的な着座高はまあいいとして、座面の角度が前下がりすぎる。また、背もたれは逆に寝すぎている。しかもどっちも平板。ということで、掛け心地はイマイチ落ち着けない。せっかくの豊かな空間を活かしきれていない。どうやらこれ、スズキのクセのようである。空間はアルトより多少狭いが着座姿勢はいくらかマトモなミラとは、やはりいささか対照的。ギリギリでやってるぶんメーカーの考え方の違いがハッキリ出やすいということか。
(荷室)……★★★
雰囲気としてはライトバン+(容量の点では逆にライトバン−か)。ファンシー仕様とはいえ営業スマイルは最小限。ここにまで気配りはおよんではいないと。
【ドライブフィール】 運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★★
乗る前から楽しみにしていた3段ATはやはり楽しい。低中高の三拍子は人間の生理に心地よい気がするし、むやみやたらとシフトしない(しようがない)のもうるさくなくていい。「でも高速道路じゃねえ……」という人は多い。が、ヘンな話かえって4ATより快適といえなくもない。というのも、走行車線を淡々と走りつづけるのがまったく苦にならないから。ただし、私の場合はそうしなかった。つまり、盛んに右側を走った(都心から小淵沢まで出かける用事があった)。イザやってみたらけっこう楽しかった。けたたましいキックダウンがない(ありえない)こともあって。いいじゃんこれで。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★★
乗って楽しく、そして乗せられて快適。アシの設定もシャシーのガッチリ感も、動力性能や上屋の重さ高さとの関係でいえばまったく不安なし。不満もなし。乗りアジは、ひとことでいうならミラよりフェミニン。優しげ。
(写真=河野敦樹)
【テストデータ】
報告者:森慶太
テスト日:2001年8月24日から27日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2001年型
テスト車の走行距離:--
タイヤ:(前)155/65R13 73S/(後)同じ
オプション装備:--
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(2):高速道路(8)
テスト距離:--
使用燃料:--
参考燃費:--

森 慶太
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