ランドローバー・フリーランダー5ドアES(5AT)【試乗記】
『歩留まりよく使えるヒトに』 2001.03.27 試乗記 ランドローバー・フリーランダー5ドアES(5AT) ……335.0万円 ベイビィランドローバーことフリーランダー。小柄なボディから「街乗りヨンク」かと思いきや、さにあらず。老舗ヘヴィーデューティメーカーの“入門用”モデルに、下野康史が乗った。
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岩場もガレ場も
1997年の本国デビューから3年半、やっとATモデルが出て日本に上陸したカジュアルランドローバー。カタチはホンダCR-Vに似ていても、オープンバックの軽快な3ドアモデルがあっても、背筋の正しさはランドローバーそのもの。
CR-VやトヨタRAV4のような2WDモデルの品ぞろえはなし。悪路踏破性能の追求もマジ。昨秋、フランスで開かれた国際試乗会では、イヤってほど岩場やガレ場を走らせたあと、「RAV4やCR-Vにあそこが走れると思うか」と、開発者の質問攻めにあう。同じところを走ったわけじゃないから、わからないと正直に答えたが、彼ら曰く、フリーランダーはあくまで「入門用ランドローバー」だそうだ。
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ナンチャッテ四駆を見下ろす
そのかわり、オンロードでの乗用車的洗練は、国産ライトクロカンには及ばない。2.5リッターV6は、5段ATも含めてローバー75と共通だが、遮音/防振対策は75ほど徹底せず、音も振動もガソリンの6気筒エンジンとしては大きめ。とくにアイドリングでの電動ファンの音は聞こえすぎ。
だから、フルタイム4WDをすこしでも歩留まりよく活用できる人に向く。いわば“自動坂下り装置”のHDC(ヒル・ディセント・コントロール)も、宝の持ち腐れにしておくには惜しい。
周囲をヘイゲイする伝統のコマンドポジションから、国産ナンチャッテ四駆を見下ろすカイカン。高めの価格もちょうどよい。
(文=下野康史/撮影=岡倉禎志/2001年2月)

下野 康史
自動車ライター。「クルマが自動運転になったらいいなあ」なんて思ったことは一度もないのに、なんでこうなるの!? と思っている自動車ライター。近著に『峠狩り』(八重洲出版)、『ポルシェよりフェラーリよりロードバイクが好き』(講談社文庫)。
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