ボルボV70T-5(5AT)【ブリーフテスト】
ボルボV70T-5(5AT) 2000.10.26 試乗記 ……570.0万円 総合評価……★★★パワフルなお値打ち品
1995年に黄色の850T5-Rが衝撃のデビューを果たしてはや5年。限定モデル「T-5」もすっかり季節モノに。
2000年10月16日に導入されたV70T-5(2001年モデル)は、シーケンシャルシフトが可能なギアトロニック付き5AT、アンチスピンデバイスDSTCを搭載したことが新しい。
2.4Tより50ps増しの250psユニットと硬められた足をもつが、かつての獰猛さは姿を消した。トルクステアに驚くことも、ゴツゴツした乗り心地に眉をひそめることもない。
2001年版の目玉「スポーツモード」は、しかし納車直後以外はほとんど使うまい。むしろ、リアスポイラーと専用17インチアルミホイールが「スポーティ」を主張する。
ノーマルターボ車との価格差は60万円あれど、T5に標準の革内装はノーマルなら30.0万円のセットオプションだから、実質30万円高。50psアップと、400台という希少性ゆえの代価だが、後者の価値は下落がち。
【概要】 どんなクルマ?
(シリーズ概要)
2000年1月のデトロイトショーでデビューした4ドアワゴン。先代V70が、実質上850 のフェイスリフト版だったのに対し、新型は、S80のコンポーネンツを利用する真性ブランニューモデル。日本には、2種類の2.4リッターNAユニット(140psと170ps)と、軽い過給をかけたターボ(200ps)がラインナップされる。4WDモデルもオプションパッケージとして(!)選択可能になった。
(グレード概要)
2000年10月16日に、400台の限定モデルとして日本に導入された2001年型「ハイプレッシャー」ターボモデル。前年モデルとは、スポーツモード付き5段ATとDSTC(ダイナミック・スタビリティ&トラクション・コントロール)が搭載されたことが違う。本革内装、助手席パワーシート、8スピーカーオーディオ、サンルーフなどが標準で装備される。
【車内&荷室空間】 乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★★
ダッシュボード上面に、RTIと呼ばれるナビゲーション(オプション装備)のディスプレイが埋め込まれる。T5に限らず、V70のエアバッグは、衝撃度によって70%かフル膨張かを選ぶ「デュアルモード」となった。
(前席)……★★★
体が柔らかく沈むラグジュアリーなシート。V70シリーズのモデルチェンジに合わせて、追突された時に背もたれが後ろに倒れて首や背骨の負担を減らすプロテクションシステムが採用された。サイドエアバッグを備える。
(後席)……★★★
ダブルフォールディング可能な後席。「インテグレーテッド・チャイルド・クッション」をオプション装備すると、リアシートの座面を上げることができる。なお、側面衝突時には、前後席のウィンドウ部を覆うかたちでイングレータブルカーテンが展開、乗員の頭部を保護、車外に投げ出されることを防ぐ。
(荷室)……★★★
床面最大幅×奥行き=130×110cm。パーセルシェルフまでの高さが40cmと意外に浅いのは、荷物を積み重ねて搭載することはあまりない、と判断したためか。バンパー部との段差がなく、重いモノでも積み込みやすそう。後席を倒せば、奥行き170cmのフラットな荷室が出現する。床下にも収納スペースあり。
【ドライブフィール】 運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★
2.4リッターのターボユニットより、ボアを2mm短くした2.3リッター「ハイプレッシャー」ターボ。スポーティな味付けより、フラットトルクの使いやすさが重視される。なお、 70シリーズには、「PREMAIR(プレムエア)」と呼ばれる、走りながら大気中のオゾンを酸素に変換する触媒付きラジエーターが採用された。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★
2.4Tより強化されたスプリングとスタビライザーでロールを抑える。17インチホイールに「ヨンゴー」タイヤを履くが、乗り心地は犠牲にされない。ただし、油断するとアンダーステアが強く出るハンドリングもノーマル同様。ツアラーとして使うことを要求される。
【テストデータ】
報告者: web CG 青木禎之
テスト日: 2000年10月16日
テスト車の形態: 広報車
テスト車の年式: 2000年型
テスト車の走行距離:737km
タイヤ:(前)225/45R17 91Y(後)同じ(いずれもPirelli P6000)
オプション装備: ファミリーパッケージ(チャイルドクッション+チャイルドロック+リアセンターテーブル=3.5万円)/RTI(ナビゲーションシステム=37.0万円)/助手席エアバッグ(1.0万円)
テスト形態: ロードインプレッション(プレス向け試乗会)
走行状態:市街地(5):山岳路(5)
テスト距離: --
使用燃料: --
参考燃費: --

青木 禎之
15年ほど勤めた出版社でリストラに遭い、2010年から強制的にフリーランスに。自ら企画し編集もこなすフォトグラファーとして、女性誌『GOLD』、モノ雑誌『Best Gear』、カメラ誌『デジキャパ!』などに寄稿していましたが、いずれも休刊。諸行無常の響きあり。主に「女性とクルマ」をテーマにした写真を手がけています。『webCG』ではライターとして、山野哲也さんの記事の取りまとめをさせていただいております。感謝。
-
日産エクストレイルNISMOアドバンストパッケージe-4ORCE(4WD)【試乗記】 2025.12.3 「日産エクストレイル」に追加設定された「NISMO」は、専用のアイテムでコーディネートしたスポーティーな内外装と、レース由来の技術を用いて磨きをかけたホットな走りがセリングポイント。モータースポーツ直系ブランドが手がけた走りの印象を報告する。
-
アウディA6アバントe-tronパフォーマンス(RWD)【試乗記】 2025.12.2 「アウディA6アバントe-tron」は最新の電気自動車専用プラットフォームに大容量の駆動用バッテリーを搭載し、700km超の航続可能距離をうたう新時代のステーションワゴンだ。300km余りをドライブし、最新の充電設備を利用した印象をリポートする。
-
ランボルギーニ・テメラリオ(4WD/8AT)【試乗記】 2025.11.29 「ランボルギーニ・テメラリオ」に試乗。建て付けとしては「ウラカン」の後継ということになるが、アクセルを踏み込んでみれば、そういう枠組みを大きく超えた存在であることが即座に分かる。ランボルギーニが切り開いた未来は、これまで誰も見たことのない世界だ。
-
アルピーヌA110アニバーサリー/A110 GTS/A110 R70【試乗記】 2025.11.27 ライトウェイトスポーツカーの金字塔である「アルピーヌA110」の生産終了が発表された。残された時間が短ければ、台数(生産枠)も少ない。記事を読み終えた方は、金策に走るなり、奥方を説き伏せるなりと、速やかに行動していただければ幸いである。
-
ポルシェ911タルガ4 GTS(4WD/8AT)【試乗記】 2025.11.26 「ポルシェ911」に求められるのは速さだけではない。リアエンジンと水平対向6気筒エンジンが織りなす独特の運転感覚が、人々を引きつけてやまないのだ。ハイブリッド化された「GTS」は、この味わいの面も満たせているのだろうか。「タルガ4」で検証した。
-
NEW
バランスドエンジンってなにがスゴいの? ―誤解されがちな手組み&バランスどりの本当のメリット―
2025.12.5デイリーコラムハイパフォーマンスカーやスポーティーな限定車などの資料で時折目にする、「バランスどりされたエンジン」「手組みのエンジン」という文句。しかしアナタは、その利点を理解していますか? 誤解されがちなバランスドエンジンの、本当のメリットを解説する。 -
NEW
「Modulo 無限 THANKS DAY 2025」の会場から
2025.12.4画像・写真ホンダ車用のカスタムパーツ「Modulo(モデューロ)」を手がけるホンダアクセスと、「無限」を展開するM-TECが、ホンダファン向けのイベント「Modulo 無限 THANKS DAY 2025」を開催。熱気に包まれた会場の様子を写真で紹介する。 -
NEW
「くるままていらいふ カーオーナーミーティングin芝公園」の会場より
2025.12.4画像・写真ソフト99コーポレーションが、完全招待制のオーナーミーティング「くるままていらいふ カーオーナーミーティングin芝公園」を初開催。会場には新旧50台の名車とクルマ愛にあふれたオーナーが集った。イベントの様子を写真で紹介する。 -
NEW
ホンダCR-V e:HEV RSブラックエディション/CR-V e:HEV RSブラックエディション ホンダアクセス用品装着車
2025.12.4画像・写真まもなく日本でも発売される新型「ホンダCR-V」を、早くもホンダアクセスがコーディネート。彼らの手になる「Tough Premium(タフプレミアム)」のアクセサリー装着車を、ベースとなった上級グレード「RSブラックエディション」とともに写真で紹介する。 -
NEW
ホンダCR-V e:HEV RS
2025.12.4画像・写真およそ3年ぶりに、日本でも通常販売されることとなった「ホンダCR-V」。6代目となる新型は、より上質かつ堂々としたアッパーミドルクラスのSUVに進化を遂げていた。世界累計販売1500万台を誇る超人気モデルの姿を、写真で紹介する。 -
アウディがF1マシンのカラーリングを初披露 F1参戦の狙いと戦略を探る
2025.12.4デイリーコラム「2030年のタイトル争い」を目標とするアウディが、2026年シーズンを戦うF1マシンのカラーリングを公開した。これまでに発表されたチーム体制やドライバーからその戦力を分析しつつ、あらためてアウディがF1参戦を決めた理由や背景を考えてみた。






























