プジョー206XT5ドア(4AT)【ブリーフテスト】
プジョー206XT5ドア(4AT) 2001.04.27 試乗記 ……179.0万円 総合評価……★★★ギザギザゲイトのAT車
「初! 本邦におけるプジョー車販売1万台突破!!」(2000年度)の原動力となった206シリーズの、1.4リッターモデルがXTである。日本導入当初、1.6リッターモデルにATが用意されなかったため、全206の7割を占めるウレ筋グレードとなった。かつての205がもっていた“オシャレ”の残像と、WRCチャンピオンカーのベースモデルたる“スポーティ”。日本のユーザーには、圧倒的に前者が訴求力をもつようだ。
ゲンコツのような塊感のあるクルマに乗り込むと、大きめのシボを刻んだダッシュボードの質感、プラスチッキーなセンターコンソール、柔らかいベロア地のシートの座り心地と、いずれも「まあまあ」。乗り心地にも、たとえば上級車種406に見られる“芯のあるしなやかさ”といった特筆事項はない。
ウィークポイントは、都内のストップ&ゴーでスムーズさを欠く4段AT。9つのプログラムから自動的にシフトパターンを選ぶのがジマンだが、セレクトされたシフトプログラムの熟成がいまひとつ。また、赤信号前の減速時に感じる、シフトダウンのショックが大きいのも気になる。
一方、オートマながら積極的にシフターを操作すると、XTは俄然元気なハッチに。ギザギザゲイトは、そのためにある。プジョーのエンジニアは、きっとマニュアルシフトと同じ感覚でATを開発しているのだろう。彼の普段の足は、MT車に違いない。
【概要】 どんなクルマ?
(シリーズ概要)
プジョー206は、1998年にデビューしたハッチバック。106と306に分かれる前の大ヒット作「205」の後継モデルにあたる。3ドア、5ドア、それに電動で開閉可能なハードトップをもつCC(クーペカブリオレ)をラインナップ。日本には、1.4、1.6、2リッターモデルがカタログに載る。
(グレード概要)
1.4リッターモデルは、3、5ドアとも「XT」。1.6リッターモデルは、3ドアがスポーティな「XS」、5ドアが実用的な「XTプレミアム」と性格が分けられる。XTとXTプレミアムとの差異は、後者に標準装備されるフロントフォグランプ、雨滴感知式オートワイパー機能、リアパワーウィンドウが省略され、前席のサイドエアバッグがオプションとなることなど。タイヤもひとまわり細い175/65R14となる。
【車内&荷室空間】 乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★
樹脂然としたインストゥルメントパネルは、値段相応か。シンプルなつくりで、メーター、スイッチ類とも、視認性、使い勝手はいい。ただ、日の光によって、明るいグレーのフェイシアがフロントスクリーンに映りこむのがマイナスポイント。
(前席)……★★★
ベロア地のシートは、なかなかエレガント。“奥様好み”かも。 ただ、座面のあたりは柔らかいが、クッション感が希薄。背もたれのあたりも平板だ。長く運転していると、オシリや上半身をモゾモゾ動かしたくなる。
(後席)……★★
高めの座面で膝を曲げさせ、膝前の空間を広く感じさせる。ルーフに近づくにつれサイドが内側に曲がるタンブルフォームのため、ヒジまわりに較べ、頭まわりは狭い。身長、または座高の高い大人だと、長時間はツラいだろう。
(荷室)……★★★
奥行き70cm、床面最大幅115cm、パーセルシェルフまでの高さ45cmと、ボディの大きさの割に健闘したラゲッジルーム。上下スペースが少なくて済む、トレーリングアーム+トーションバーのリアサスが効いている。
【ドライブフィール】 運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★
実用的だが、ガサついてうるさいエンジン。4段ATは、「ノーマル」「スポーツ」「スノー」の3つのモードを備える。運転状況によって9つのシフトプログラムから最適なものを選択する「オートアクティブ」という学習機能をもつ。といったスペックはともかく、実際の使い勝手には不満が残る。シフトアップしてほしいのに、いつまでもサードを保持したり、ひとたびトップギアに入ると、「いざ」というとき、なかなかギアが落ちなかったり……。まだまだ絶対的なプジョー市場が小さいから、研究不足もやむを得ない?
(乗り心地+ハンドリング)……★★★
前マクファーソンストラット/コイル、後トレーリングアーム/トーションバーという、FF車としてコンベンショナルな(古典的な?)サスペンション形式を採る。乗り心地はフェア。カーブが続く山道では、スロットル操作にリアがアクティブに反応、わかりやすいタックインを楽しめる。
(撮影=難波ケンジ)
【テストデータ】
報告者: webCG青木禎之
テスト日:2001年4月23日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2000年型
テスト車の走行距離:8420km
タイヤ:(前)175/65R14 82T/(後)同じ(いずれもMichelin Energy)
オプション装備:--
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(2):高速道路(6):山岳路(2)
テスト距離:289.7km
使用燃料:26.0リッター
参考燃費:11.1km/リッター

青木 禎之
15年ほど勤めた出版社でリストラに遭い、2010年から強制的にフリーランスに。自ら企画し編集もこなすフォトグラファーとして、女性誌『GOLD』、モノ雑誌『Best Gear』、カメラ誌『デジキャパ!』などに寄稿していましたが、いずれも休刊。諸行無常の響きあり。主に「女性とクルマ」をテーマにした写真を手がけています。『webCG』ではライターとして、山野哲也さんの記事の取りまとめをさせていただいております。感謝。
-
フィアット・グランデパンダ ハイブリッド ラプリマ(FF/6AT)【試乗記】 2026.10.16 欧州を代表するコンパクトカーの一台である「フィアット・パンダ」が第4世代に進化。新たに「グランデパンダ」を名乗り、日本にやってきた。ずばり新型の見どころは車両の随所にちりばめられた初代モデルへのオマージュである。上位グレード「ラプリマ」の仕上がりをリポートする。
-
フィアット500トリノ ハイブリッド(FF/6MT)【試乗記】 2026.10.13 電気自動車からエンジン搭載車へと華麗に変身! 日本では珍しい、4代目「フィアット500」のマイルドハイブリッドモデルに試乗。1リッターの自然吸気エンジンを6段MTで駆るイタリアンコンパクトは、今のクルマが忘れてしまった楽しさに満ちていた。
-
ボルボES90ウルトラ ツインモーター パフォーマンス(4WD)【試乗記】 2026.10.12 ボルボの電気自動車(BEV)「ES90」のトップモデル「ウルトラ ツインモーター パフォーマンス」を駆り、東京から初秋の新潟へ。往復700kmを超えるロングドライブで分かった新型5ドアハッチバックモデルの実力と、BEVで気になる充電環境のリアルな今を報告する。
-
フェラーリ・プロサングエ ハンドリング スペチアーレ仕様(4WD/8AT)【海外試乗記】 2026.10.8 フェラーリの4ドア4シーターモデル「プロサングエ」に、「ハンドリング スペチアーレ」を名乗るスペシャルバージョンが登場。その走りは従来モデルからどのように変わったのか? 跳ね馬の原産国、イタリアで確かめた。
-
トヨタ・ランドクルーザー“FJ”VX(4WD/6AT)【試乗記】 2026.10.7 新たにシリーズに加わった「ランドクルーザー“FJ”」は、ポップな見た目から簡易版のように思われるかもしれないが、その中身は紛れもなく本物であり、道なき道をグイグイと突き進む。これもまた「どこへでも行き、生きて帰ってこられる」を体現する一台である。
-
NEW
三菱eKクロスEV P(FWD)【試乗記】
2026.10.17試乗記三菱の軽乗用電気自動車(EV)「eKクロスEV」が、一部改良でデザインを刷新! 2022年発売の古参の一台は、台頭するライバルをどう迎え撃つのか? 最新モデルと比べても、キラリと光る魅力はあるのか? 軽EVのパイオニアが擁する一台の実力を確かめた。 -
写真で解説する「フィアット・グランデパンダ」
2026.10.16画像・写真ステランティスが「フィアットブランドの大きな柱のひとつとなる重要なモデル」と位置づける「グランデパンダ」が日本上陸。その具体的な見どころを、写真とともに解説する。 -
フィアット・グランデパンダ ハイブリッド ラプリマ(FF/6AT)【試乗記】
2026.10.16試乗記欧州を代表するコンパクトカーの一台である「フィアット・パンダ」が第4世代に進化。新たに「グランデパンダ」を名乗り、日本にやってきた。ずばり新型の見どころは車両の随所にちりばめられた初代モデルへのオマージュである。上位グレード「ラプリマ」の仕上がりをリポートする。 -
スズキの未来を徹底検証! 技術戦略説明会から“10年先のスズキの姿”を夢想する
2026.10.16デイリーコラム年間生産500万台で、Dセグメントまでカバーする巨大メーカーに!? スズキが発表した「10年先を見据えた技術戦略2026」を徹底検証。技術開発に製品開発、インドを核としたグローバル戦略などの中身を通して、「10年先のスズキの姿」を予想した。 -
賢い選択 ――キャデラック「LYRIQ」フラットプランのすゝめ――
2026.10.15投資家も太鼓判! 「キャデラック・リリック」×フラットプランという最適解<AD>クルマが変わり、時代も変われば“持ち方”だって変化する? お金のプロである投資家が、「キャデラック・リリック」の残価保証型リースを勧める理由とは? 夢の「2台持ち」をかなえる、最新電気自動車の賢い選び方を考えた。 -
間もなく正式発表 ミツオカの新型2シータースポーツカー「LA1」を予測する
2026.10.15デイリーコラム光岡自動車が2026年11月26日に正式発表を予定しているアメリカンスタイルの新型2シータースポーツカー「LA1」。現在公開されているLA1の画像とティーザーサイトに掲載された情報から、その特徴を分析する。







