第29回:モテキなんかいらない……男に必要なのはV8と爆炎だ! −『ベルフラワー』
2012.06.12 読んでますカー、観てますカー第29回:モテキなんかいらない……男に必要なのはV8と爆炎だ! 『ベルフラワー』
憧れの『マッドマックス2』
世紀末には、なぜか70年代のクルマが似合う。それも、排ガス規制が始まる前のモデルだ。スピードとパワーをこよなく愛するマッチョな男たちにとっては、そこでひとつの時代が終わったのだろう。『マッドマックス2』でメル・ギブソンが演じたマックスが乗っていたのは、「フォード・ファルコン」を改造したモンスターだった。暴力の支配する荒野でサバイブするには、V8エンジンのパワーがどうしても必要なのだ。
映画草創期のオーストラリアでは、派手なバイオレンスシーンを売りにした作品が量産されたが、『マッドマックス』シリーズはその中でも特別だった。第1作では治安が悪化して暴走族が横行する近未来を描き、『マッドマックス2』では世界が完全に崩壊し、暴力のみが支配する荒野が舞台となった。そこでは貴重なガソリンを奪うために簡単に人殺しが行われる。“核戦争後の荒涼たる世界で孤独に戦うヒーロー”像は、映画だけでなく小説や漫画でも多くのフォロワーを生んだ。
今でこそオッサンになってしまったメル・ギブソンだが、デビュー当時の若々しい姿はカッコよかったのだ。憧れてまねする青少年はたくさんいた。そして、30年の時を経てなお熱狂的なオマージュをささげる映画が登場した。『ベルフラワー』は、『マッドマックス2』をこよなく愛する青年が主人公である。ただし、憧れの対象はマックスではなく、悪役のヒューマンガスなのだ。フェイスガードを装着して表情を隠し、いつも半裸で堂々たる肉体を誇示しているマッチョな男である。

鈴木 真人
名古屋出身。女性誌編集者、自動車雑誌『NAVI』の編集長を経て、現在はフリーライターとして活躍中。初めて買ったクルマが「アルファ・ロメオ1600ジュニア」で、以後「ホンダS600」、「ダフ44」などを乗り継ぎ、新車購入経験はなし。好きな小説家は、ドストエフスキー、埴谷雄高。好きな映画監督は、タルコフスキー、小津安二郎。
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