日産、新型「シーマ」の生産工程を公開
2012.04.25 自動車ニュース日産、新型「シーマ」の生産工程を公開
日産自動車は、2012年4月25日に発表された新型「シーマ」について、その生産における品質管理への取り組みを公開した。
■仕上げが違うフラッグシップ
敷地面積約293万平方メートル(=東京ディズニーランド6つ分)、建物面積約83万平方メートルという広大な規模の日産自動車栃木工場。1968年に鋳造部品工場として稼働を始め、翌69年には車軸部品、そして71年に登場した「セドリック/グロリア(230型)」から車両生産も開始。以後、現在に至るまで鋳造、車軸、車両の一貫生産工場として稼働を続けている。
目下生産されている車両は、日産/インフィニティ両ブランドの高級車のみ。逆を言えば、日産/インフィニティの高級車は栃木工場でしか作られない。およそ2年ぶりに復活した日産ブランドの最高級モデルである新型「シーマ」も、当然ながらここで生産されるというわけだ。
この日公開されたのは、最高品質を誇る新型「シーマ」を生み出す特別な工程と、それに携わる「匠(たくみ)」と呼ばれる選ばれた高技能者による作業風景。具体的には、塗装工程における「水研ぎ」、組立工程における「特別点検」、そして品質検査工程における「特別点検」の3つの作業が例として公開された。
塗装工程における「水研ぎ」は、塗膜の平滑性を上げて塗装表面の鮮映性の向上、平たくいえば仕上がりを鏡面に近づけるための作業のひとつで、「シーマ」のみに実施される。「水研ぎ」は、シーマの塗装工程における「下塗り」「中塗り」「ベースコート」「クリアコート」の4工程のうち、2番目の「中塗り」と3番目の「ベースコート」間に行われる。担当するのは高技能者のみで、1台につき2人の作業者がボディーサイドの両側から30分かけて行うという。
組み立て終了後に行う車両の全数点検を、「シーマ」のみ通常の点検ラインから外して行うのが「特別点検」である。内容は作業者が内外装を目で見て、触って確かめる「特別点検チェック」と、ボディーパネルの隙間および段差をデジタル測定器でチェックする「特別点検建て付け」で、1台につき1時間半から2時間かけて入念に行う。
最後に実施される品質検査工程における「特別点検」とは、テストコースにおける試走である。他車種では抜き打ち検査のところ、「シーマ」は全数検査。後席にも点検者が同乗しての2名評価で、周回数も他車種の3周に対して5周となっている。こうした厳しい品質検査をパスした「シーマ」のみが、栃木工場長の直筆サイン入りの「品質検査確認書」を添えて出荷されるのである。
(文と写真=沼田 亨)
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