日産シーマ450XV【試乗記】
シーマの印象 2002.10.17 試乗記 日産シーマ450XV日本のモータージャーナリズムの草分け的存在、小林彰太郎。「ジャーナリストは生涯現役」の口ぐせ通り、今日も西へ東へと忙しい。そんな忙中の合間に、『webCG』のために書き下ろしたショートインプレッション。日産のブランニュー・フラッグシップ、シーマについて。
会員コンテンツ「Contributions」より再録。
お断り
ここでは話をハードウェアとしてのシーマに限る。シーマに乗った日は、あいにく早朝雪が降り、箱根のターンパイクをいつものようにガンガン飛ばすことができなかった。いっぽう最大のライバルと目されるセルシオには、八甲田山をめぐるすばらしいルートを存分に走り、ハンドリングも動力性能も限界近くまでテストする機会に恵まれた。だから現在の筆者には、両者を正確に比較評価する資格がないことを、まずお断りしておく。
ひとつだけ残念なこと
シーマはとにかく静かである。初めて乗り込んで、エンジンがかかっているにもかかわらず、もう少しでキーを回すところだった。アイドリングはそれほど静粛で無振動なのである。良質な革とウッドで囲まれた室内の雰囲気は、筆者が毎日乗っているジャガーSタイプによく似ている。大柄な4人が楽に乗れるが、それ以上でも以下でもない。ジャガーと大いに違うのは、細かいコントロール類の使い勝手で、これはシーマが問題なく上である。特にダッシュ中央の集中制御パネルは最小限度のスイッチしかなく、操作も簡単でよい(老人に親切?)。
セルシオに比べ、シーマは「driver's car」の性格がより明確である。サスペンションは全般的にセルシオより硬めで、腰が強く、ステアリング・レスポンスも若干クイックだ。ABSの効き方も的確である。TRC(トラクションコントロール)をテストすべく、雪が数センチ積もった緩い上りで試したら発進できなかった。やはりFRである。むろんTRCをオフにすれば問題ない。
取材したシーマの設計者はSタイプに乗ったことがないというので、2時間ほど貸してあげた。あとで、シーマを100点としたらジャガーは何点かと尋ねたら、85くらいでしょうと答えた。これはフェアな評価だと思う。シーマの、全体にコンサバなスタイリングは好感が持てるが、ひとつだけ残念なのは、その顔つきにどうしてもメルセデスの面 影がダブって見えることだ。もし僕がデザイナーだったら、意識的にM-Bに見えないようにするだろうと、そのデザイナーに話した。
(文=小林彰太郎/写真=河野敦樹/2001年2月)

小林 彰太郎
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