プジョー5008シエロ(FF/6AT)【ブリーフテスト】
プジョー5008シエロ(FF/6AT) 2013.04.24 試乗記 ……330万円総合評価……★★★★
ミニバン大国・日本に、プジョーが満を持して投入したミドルサイズモデルの「5008」。ファミリーカーの生命線ともいえる使い勝手と、プジョーならではの走りの魅力を検証した。
プジョーが造るとミニバンはこうなる
合法的に7人乗れるかどうかだけでなく、7人が快適にという条件に対しても、どのシートに高齢者が乗っても快適か、という問いに対しても、イエスと答えられる数少ない車だろう。
動力性能では高性能な車はあまたあるが、乗り心地が快適で燃料経済性にすぐれた車は案外少ない。日本の道路では高速道路にはSAがあり一般道には道の駅が完備しており、一度に連続して走る距離は短いから疲れることも少ないのだろうが、ドライバー心理として一気にシューンと走り切りたい人もいるだろう。そんな用途にプジョーのミニバンは最適な一台。太いタイヤを履くスポーツタイプは別として、過去にプジョーの実用車を使ったことのある人が「プジョーの造るミニバンはこうなるだろう」と想像する、その期待を裏切らない上々の出来といえるだろう。
【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
日本市場に初めて導入された、プジョーの3列7シーター。日本発売は2013年2月のことだが、ヨーロッパでは2009年11月に販売を開始しており、累計生産台数はすでに20万台にのぼる。
共通のプラットフォームや1.6リッター直噴ターボエンジンなど、車両の基本は先般まで販売されていた「シトロエンC4ピカソ」に近いものだが、トランスミッションはC4ピカソがロボタイズドMTだったのに対し、こちらはトルコン式の6段ATを採用している。
ボディーサイズは、全長×全幅×全高=4530×1840×1645mm。日本で主流の2リッター箱型ミニバンと比べると、短く、低く、幅広く、「マツダ・プレマシー」や「フォルクスワーゲン・ゴルフトゥーラン」に近いディメンションとなっている。シートは7席すべてを独立してレイアウト。2列目、3列目の収納は床下格納式で、最大で2506リッターのフラットな荷室空間を提供。全席に3点式シートベルトを採用するほか、前席から3列目席まで、すべてのサイドウィンドウをカバーするカーテンエアバッグを標準装備するなど、安全性にも配慮がなされている。
(グレード概要)
ラインナップは「プレミアム」と「シエロ」の2種類。テスト車は上級グレードのシエロで、ディスチャージヘッドライトやパノラミックガラスルーフ、ルーフレール、ヘッドアップディスプレイ、ディスタンスアラートなどを標準装備するほか、ホイールも一回り大きな17インチとなっている。またシエロのみに本革シートの「レザーパッケージ」やリアエンターテインメントシステムの「ビデオパッケージ」がオプション設定されているが、今回のテスト車はいずれも非装着だった。
|
【車内&荷室】乗ってみると?
(インパネ装備)……★★★★
見た目の豪華さはなく、ギラギラ光る要素を好む人には向かないが、ライオンのマークが似合う大型車らしい落ち着きと品格が感じられる。ちょっと邪魔に感じられるほど大きなスペースを占拠するセンターセクションも、余裕ある空間利用デザインとしてなら成功している。電気式駐車ブレーキやヒルスタートアシスト、ヘッドアップディスプレイ、サイドのサンシェード、シートバックに仕込まれたテーブルなど、実用的で便利な装備品も完備している。
|
(前席)……★★★★
車体の上下振幅をほとんど感じないでスーッと水平移動していく走行感覚はプジョーにとって当たり前。どうして他の車がこうできないのか不思議におもう。これこそプジョー積年の技術蓄積の成果。この乗り心地こそ高級感覚そのもの。空間的には、センター部分が大きく、FFなのに横方向ウオークスルーできないのが惜しい。ここが平らなら8人乗りも作れるのに。天井も高く見て感じる空間としては広々としている。
|
(2列目シート)……★★★★
ベンチシートではなく3脚独立しており、それぞれにスライドと2段リクライニングが可能。シート自体は折り畳んでしまえる構造で、クッションの厚みは薄くストローク的にも少なめながら、フラットな車体の乗り心地により長時間座っていても苦にならない。見た目としても、シートのボリュームが小さいことでこの部分の室内空間が広く感じられる。スライドドアでないのが残念。
|
(3列目シート)……★★★
乗り降りのアクセスは面倒ながら、乗り込んでしまえば落ちつける空間。2列目シートを前にセットしてもらえば膝の前にも空間が生じる。薄いクッションは長時間座っていられないだろうと想像されるが、何度も書いているようにプジョーのフラットライドはここでも有利に働き、帰路1時間以上座り続けたが早く降りたいとは思わなかった。3列目を起こし、2列目をフラットにすれば、ピクニックなどを家族で楽しめる空間が生まれる。取り付け剛性もしっかりしている。
|
(荷室)……★★★★
7人フルに乗ってしまうと大きな荷物を置くスペースはほとんどない。大家族向けにはルーフラックが必要か。2、3列目を折り畳むとフラットで広大な2506リッターのスペースが出現する。ダンボール箱に入った商品などを運ぶには最適か。また助手席の背を倒せば、2.76メートルもの長尺物も積める。どのような使い方をするかは自由。可能性として広範囲に対応できる点がいい。フロアは低く使いやすい。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★★
特徴的な強い存在感こそないものの、軽く回って静粛。1600kgの重量に対して156ps、24.5kgmと、パワーおよびトルクも十分。6段ATも滑らかにつながりギア比も順当だが、エンジンブレーキはやや期待薄。下り坂などで2速に減速したいときに、75km/h以下にならないと落とせなかった。今回は都内から箱根を回って都内まで戻る348kmの平均燃費で11.4km/リッターを記録。このボディーで2桁走れば優秀と言える。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★★★
この手の大容量乗用車はヘビーデューティーに造られており、足まわりなどは最大積載条件付近でセットされているのが普通だ。そのためドライバー1人では粗野な乗り味になりがちであるが、そこはプジョーゆえに広範囲で絶妙な味付けがなされている。昔「807」という同種の車があったが、アレはかなり固かったと記憶する。あの当時に比べ「5008」は大きく進化している。ハンドリングもサイズを感じさせない軽快さを備える。
(写真=河野敦樹)
【テストデータ】
報告者:笹目二朗
テスト日:2013年3月13日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2013年型
テスト車の走行距離:1842km
タイヤ:(前)215/50R17(後)同じ(ミシュラン・プライマシーHP)
オプション装備:--
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(3):高速道路(6):山岳路(1)
テスト距離:348.0km
使用燃料:30.5リッター
参考燃費:11.4km/リッター

笹目 二朗
-
ホンダCB750ホーネット(6MT)【レビュー】 2026.7.18 ホンダのスポーツネイキッド「CB750ホーネット」が、話題の「E-Clutch」を獲得。ライディングの幅を広げる自動クラッチシステムは、パンチの利いた2気筒のストリートファイターにどんな走りをもたらすのか? その仕上がりを確かめた。
-
ベントレー・ベンテイガ スピード(4WD/8AT)【試乗記】 2026.7.17 「ベントレー・ベンテイガ」に最上級グレードの「スピード」が登場。ブランドの在り方をストレートに伝える名称のトップパフォーマンスモデルだが、従来型との最大の違いはその心臓部にV8エンジンが積まれていることだ。およそ不満のあろうはずもないが、最新モデルの仕上がりをリポートする。
-
フェラーリ849テスタロッサ スパイダー(4WD/8AT)【海外試乗記】 2026.7.15 歴史ある車名が与えられた「フェラーリ849テスタロッサ」は、従来型から大幅な進化をとげた高性能スポーツカーだ。では、そのオープントップバージョンの走りはどうか? 日本での発売を前に、フェラーリ通として知られる西川 淳が試乗した。
-
ポルシェ・カイエン ターボ エレクトリック(4WD)【試乗記】 2026.7.15 ポルシェ最新の電動ハイパフォーマンスSUV「カイエン エレクトリック」。そのラインナップのなかでも、最高峰に位置するのが「カイエン ターボ エレクトリック」だ。最高出力1156PS、最大トルク1500N・mという、とてつもないパフォーマンスの一端に触れた。
-
プジョー308 GTハイブリッド(FF/6AT)【試乗記】 2026.7.14 マイナーチェンジで内外装がブラッシュアップされた「プジョー308 GTハイブリッド」に試乗。大胆なデザインのフロントフェイスに目を奪われるが、ステランティス自慢の1.2リッター直3マイルドハイブリッドを搭載する最新モデルの仕上がりと走りやいかに。
-
NEW
ポルシェ911カレラT(後編)
2026.7.19ミスター・スバル 辰己英治の目利きスバルとSTIでクルマの走りを鍛え、モータースポーツにも積極的に取り組んできた辰己英治さん。彼の目に、“スポーツカーの水準器”こと「ポルシェ911」はどのように映ったのだろう? 走りの楽しさを追求した「カレラT」グレードに乗っての印象を聞いた。 -
ホンダCB750ホーネット(6MT)【レビュー】
2026.7.18試乗記ホンダのスポーツネイキッド「CB750ホーネット」が、話題の「E-Clutch」を獲得。ライディングの幅を広げる自動クラッチシステムは、パンチの利いた2気筒のストリートファイターにどんな走りをもたらすのか? その仕上がりを確かめた。 -
人気沸騰「ランクル“FJ”」を手にするもうひとつの方法
2026.7.17サブスク「KINTO」で「ランドクルーザー“FJ”」に乗る<AD>2026年5月に発売されるやオーダーが集中し、受注停止となってしまった「ランドクルーザー“FJ”」。しかし、あきらめるのはまだ早い。“FJ”とのカーライフを実現できる、トヨタの新車サブスクリプションサービス「KINTO」という手段があるのだ。 -
新型「アルピーヌA110」はどんなクルマに? グッドウッドを駆けたテストカーから読み解く
2026.7.17デイリーコラムアルピーヌが次期型「A110」を示唆する「A110フューチャー」を初公開。グッドウッドで走る姿を披露した。そこから分かる未来のA110の姿とは? 電動化がアナウンスされているが、エンジン車の設定はあるのか? 公式発表とテストカーの姿から深掘りする。 -
ベントレー・ベンテイガ スピード(4WD/8AT)【試乗記】
2026.7.17試乗記「ベントレー・ベンテイガ」に最上級グレードの「スピード」が登場。ブランドの在り方をストレートに伝える名称のトップパフォーマンスモデルだが、従来型との最大の違いはその心臓部にV8エンジンが積まれていることだ。およそ不満のあろうはずもないが、最新モデルの仕上がりをリポートする。 -
写真で解説する新型「日産エルグランド」
2026.7.16画像・写真新型「日産エルグランド」は、日本伝統の美をデザインに生かしながら、同社独自の最新技術を組み合わせて“走りのよさ”も徹底追求したという意欲作。その見どころを写真とともに解説する。
































