第201回:スター不在のモーターショー!?
フランクフルトショー取材雑感
2013.09.19
エディターから一言
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コンパクトカーがずらりと並ぶ年があれば、電気自動車やハイブリッド車に埋め尽くされる年もある――モーターショーは、その時代、そのマーケットを映す鏡として機能するものだ。では、今回のフランクフルトショーは、観る者に何を訴えかけてきたか? 話題満載のショーだったが、それをまとめるのは思いのほか難しい。時代が混迷し、その一方で情報の伝達速度は加速する。モーターショーのあり方が、ちょっとずつ変わってきているのかもしれない。
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■全体像が見えにくいメガモーターショー
モーターショーにはいつもトレンドがある。リーマンショックの後には示し合わせたように各社ブースが寂しくなったし、ハイブリッドの波が来たとなれば、どこも一気にコンセプトカーを出してきたしと、会場にいるだけで「今年はこんな感じだな」と、肌感覚で知ることができる。
インターネットで速報が上がる時代に、わざわざ足を運ぶ理由であり動機でありは、まさにそれだ。しかし今年のフランクフルトは何となく、そうした波の立ち方が弱かったような気がしている。
いくつかの潮流は垣間見ることができた。フォルクスワーゲングループは電気自動車やハイブリッドなどの「e-モビリティー」への積極的な姿勢を大々的にアピールしたし、BMWはいよいよ「BMW i」ブランドの本格展開を開始したから、その意味では電動化時代の本格的な幕開けといってもいい。また、メルセデス・ベンツが自動運転を誇らしげに披露したのは、まさに自動車を発明したブランドのプレゼンテーションだけに、感慨深いものがあった。
「ポルシェ918スパイダー」のテクノロジーとスピードには驚かされたし、「ジャガーC-X17」の完成度の高さにも、「レクサスLF-NX」の大胆さにも、ブランドを鼓舞していくぞという勢いを感じた。しかし……。
全体を貫く大きな流れというのが、何となく見えにくかったという感は、やはり否めない。環境もパフォーマンスも、先進国も新興国も、両にらみでいかなければならない。そもそもヨーロッパの経済が目下、危うい状況にある。時代が混迷しているが故に、各メーカーとも違った事情を抱えていたということは言えるだろう。
ショー全体を象徴するようなスターも不在だった。メルセデス・ベンツは「GLAクラス」、BMWは「4シリーズ」、フォルクスワーゲンは「ゴルフ スポーツバン」と、新型車もどれも主役級とは言いにくい。もはやモーターショーが一番の晴れ舞台ではない、ということか。
あるいは、こうしてwebCGを見ている皆さんの方が、ショー全体を俯瞰(ふかん)して見られる分、何らかの潮流を見いだせているのかも? なんて思う。インターネット時代に、それは十分あり得る。要は時代が、モーターショーのあり方が、変わってきているのかもしれない。
(文=島下泰久/写真=ダイムラー、IAA)

島下 泰久
モータージャーナリスト。乗って、書いて、最近ではしゃべる機会も激増中。『間違いだらけのクルマ選び』(草思社)、『クルマの未来で日本はどう戦うのか?』(星海社)など著書多数。YouTubeチャンネル『RIDE NOW』主宰。所有(する不動)車は「ホンダ・ビート」「スバル・サンバー」など。
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