トヨタ・カローラ フィールダー ハイブリッドG(FF/CVT)
日常になじむハイブリッド 2013.10.02 試乗記 「トヨタ・カローラ」シリーズに燃費33.0km/リッターのハイブリッド仕様が登場。トヨタ伝統の定番車種は、ハイブリッドシステムを得てどんなクルマとなったのか。2泊3日の試乗を通して確かめた。空気のような存在感
セールス絶好調という「カローラ フィールダー ハイブリッド」。2013年8月6日の発売後、受注は1カ月で、目標の9倍ちかい2万2000台というからたいしたものだ。たしかに、室内も広く機能性にすぐれ、伝統的なデザインを好む層に強くアピールする内容だ。つまりもくろみどおりに、しっかりとマーケットを広げるのに成功したということだろう。
カローラ フィールダーのパワープラントは、1.5リッターの4気筒ガソリンエンジンに、リダクション機構つきの「THS II」ハイブリッドシステムを組み合わせたもの。システム全体の最高出力は100psとなる。同じエンジンに同じモーターを搭載する「アクア」などと同一のスペックだ。
同時に発表された姉妹車の「カローラ アクシオ」が4ドアセダンであるのに対して、カローラ フィールダーはステーションワゴン。セダン、ハッチバック、ミニバン、さらにトラックまで用意されているトヨタのハイブリッド・ラインナップのなかで、スポーツカーをのぞけば、唯一手つかずで残っていたカテゴリーだ。これまでハイブリッドにとびついてこなかった層をすくいあげるために、保守的な車型は、「プリウスα」より低い200万円台の前半の価格とともに、市場戦略の総仕上げの感がある。
後端がキックアップするサイドウィンドウのグラフィックスなど、微視的にみると、躍動感を生む処理がそこかしこに。欧米のステーションワゴンと比較すると、デザイン的な強い個性にはとぼしく、自動車好きにはものたりなく感じるが、薄い個性も、ハイエースの例にあるように、クルマを道具として考えるひとには、アリかもしれない。
プラットフォームを共有するアクアが文字通り「水」のようにクセのない透明感を持つとしたら、カローラ フィールダーはさしずめ空気だろうか。乗っての印象は、逆説的だが、“印象がない”という言葉がぴったりなように思えたほどだ。