第2回:知られざるインフィニティ
2013.09.23 世界のNISSAN、イッキ乗り!世界中の日産車を“味見”できるグローバルイベント「NISSAN 360」。次期「スカイライン」とされる「インフィニティQ50」に続いては、日本では正規販売されていない、インフィニティの2モデルについてリポートする。
インフィニティQ60 IPL
■今となっては愛らしい
そもそも日本では売っておらず親しみが薄いのに加えて、「Q50」の登場と同時に、車名を“Q+2桁数字”あるいはSUVの場合は“QX+2桁数字”へと改めたこともあり、車名を見ても何だかよく分からないインフィニティですが、「Q60」とは日本ではスカイラインになるQ50のクーペ&コンバーチブル版で、要するにスカイラインクーペのこと。
そしてIPLとは「インフィニティ・パフォーマンス・ライン」の意で、エンジンやシャシーに手を入れた高性能版を意味します。
ノーマル比18ps増しの348psのパワーと、強化されたシャシー&ブレーキを持つIPL、走りっぷりはなかなかに勇ましいものがあります。専用のサスペンションとタイヤのおかげで乗り心地は少し硬めで、ロードノイズも盛大に聞こえてくる。そしてアクセルを踏み込めば排気量3.7リッターのVQエンジンがベース車より明らかに豪快な音を立てて、走りの印象を支配するという具合です。
もともとそうではありましたが、Q50が出た今となっては、エンジンの荒っぽさにしても、硬いけど動きがもっさりしていて、かつよく曲がるわけでもないシャシーにしても、走りの味はいよいよ古くさいという印象。とはいえ、洗練され過ぎてちょっと冷たさも感じさせる最新モデルに比べたら、愛らしいという気もするから面白いものです。
(文=島下泰久/写真=日産自動車)
インフィニティQX60
■未知なる高級車
インフィニティには多様なSUVがそろっているんだが、その大半が海外専用車なので、日本でボケーッとしているだけだと情報はなかなか入ってこない。この「QX60」も現地で実車を初めて見て「こんなのもあるんだ」という軽い気持ちで乗った。
フロアはいかにも伝統的なオフローダーらしく高め。室内調度は日本でいうと「フーガ」なみの高級感。乗り心地はとってもよろしく、外界との適度な隔絶感が心地よい。ボディーは堅牢(けんろう)そのもの。3.5リッターV6はけっこうパワフルなのに、操舵(そうだ)感もさすが高級で滑らか。ははーん、これは4WDでも通常時はリア駆動のオンデマンド型かね……。
……なんて、したり顔の試乗を終えて、なにげなくボンネットを開けたら……エンジン横向いてるやんけ!! あわてて調べてみたら、QX60は「ムラーノ」と同じDプラットフォーム。すなわちFFベース。4WDは確かに高度な電子制御型だが、普段は当然ながらフロント駆動がメイン。スミマセン。前言撤回。それにしても恥ずかしすぎる!
いや、FFベースでこれだけ滑らかなステアリングで素直な操縦性ってことは、それだけQX60のデキがいいってことです(言い訳)。
(文=佐野弘宗/写真=webCG)

島下 泰久
モータージャーナリスト。乗って、書いて、最近ではしゃべる機会も激増中。『間違いだらけのクルマ選び』(草思社)、『クルマの未来で日本はどう戦うのか?』(星海社)など著書多数。YouTubeチャンネル『RIDE NOW』主宰。所有(する不動)車は「ホンダ・ビート」「スバル・サンバー」など。
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