ホンダ・オデッセイ G(7人乗り)プロトタイプ(FF/CVT)/オデッセイ アブソルート EX(7人乗り)プロトタイプ(FF/CVT)
走りのよさはそのままに 2013.10.31 試乗記 見た目も作りも大きく変わった、ホンダのミニバン「オデッセイ」。2種類のプロトタイプに乗って、その仕上がりをチェックした。この形にはワケがある
「ホンダ・オデッセイ/オデッセイ アブソルート」がフルモデルチェンジを受けた。全長を延ばし、背を高く、そして左右リアドアをスライドドアにした。一言でいうと、“普通のミニバン”になった。日本のミニバンマーケットに追いつくため、である。
これまでは、オデッセイといえば4枚ヒンジドア。運転しても、背高感のない乗用車っぽいドライブフィールで、なんというか「ミニバンにまとわりつく生活臭のなさ」が特徴だったように思う。「クリエイティブ・ムーバー(生活創造車)」という不思議な言葉とともに初代が登場したのは、いまをさかのぼること19年(!)の1994年。当時は、「スライドドア=(商用)ワンボックス」というイメージが強かったから、「アコード」のコンポーネンツを活用しなければならない制約を逆手にとったオデッセイのボディー形状に、「この手があったかぁ!」と大いに感心したものだ。ハンドルを握っても、ちょっと大きなステーションワゴンといった運転感覚。「これなら!」と納得した世のオトウサンも多かったのではないだろうか。
望外の(?)ヒット作となり、ホンダの基幹モデルのひとつとなったオデッセイ。順調に代を重ねてきたが、その変調が顕在化したのは、5年前に先代が出たころからだったという。ワル顔で、グッと車高を落としたイメージ。これまで以上に“走り”を強調したモデルだったが、販売は伸び悩んだ。モデルライフ後半では、決してメジャーとはいえない「スバル・エクシーガ」と登録台数のデッドヒートを繰り広げていて、驚いた記憶がある。
いつのまにか、市場が変わっていた。言い換えると、ミニバンマーケットが成熟したのである。ミニバンからミニバンに乗り換える人が増えると、大抵の人は「もっと広い」クルマを求める。背の低いオデッセイは、ツラい。スライドドアのマイナスイメージも、その便利さにユーザーが慣れるにしたがい、消えていった。ヒンジドアのオデッセイは、下手をすると、車種選択の段階で落とされてしまう。新しいオデッセイは、市場をキャッチアップするため、ガラリと変身する必要があったのだ。
“低床”へのこだわり
新型オデッセイ/オデッセイ アブソルートのプレス試乗会は、簡単なテストコースが設けられたクローズドスペースで行われた。駐車場に試乗車が並んでいる。ずいぶん大きく感じられる。今度のオデッセイは、これまでの上級ミニバン「エリシオン」を統合する。大柄なエリシオンに乗っていたユーザーをも納得させる“押し出し”が求められるのだ。
そのため、今回、オデッセイとして初めてホイールベースが延長された。70mm延びた2900mmの長さは、くしくも「エリシオン」と同寸。上に載せるボディーは、全長は先代オデッセイより30mmほど長い4830mm。1800mmの全幅は変わらず(アブソルートは1820mm)、全高は150mm(!)もアップした1695mm(同1685mm)となった。
新型オデッセイがエリシオンを統合したというより、新型エリシオンに、知名度が高いオデッセイの名を与えたという見方もできよう。全長はエリシオンより10mm短く、全高は95mmも低い。けれども、車内の広さは、エリシオンを凌駕(りょうが)する。その秘密が、ホンダが呼ぶところの「超低床プラットフォーム」だ。
室内空間を確保するため、むやみに背を高くしなかったところが、ホンダのエラいところ。天地の“天”を上げると同時に“地”を下げて、室内高を稼いだ。「超低床プラットフォーム」を実現するため、燃料タンクや排気システムは薄型化され、リアサスペンションは、ダブルウィッシュボーンから簡易で省スペースなトーションビーム式となった。さらに骨格となるメンバー類を、縦長の長方形断面から、横長の断面にするほどの徹底ぶり(側面衝突の安全性向上にも貢献する)。床面はググッと低くなり、2列目シートに乗り込む際のステップ高は、従来より60mm低い、地上約300mmになった。子供や、特にお年寄りの方にはありがたいだろう。
ちなみに、燃料タンクは先代比3分の2程度の薄さになった。当然、容量も減っているが、「燃費が向上したので航続距離は変わらない」とのこと。先代オデッセイ アブソルート(FF)のカタログ燃費(JC08モード)は11.0km/リッター。新型のアブソルートEX(FF)は13.6km/リッターである。
乗れば確かにオデッセイ
新型オデッセイのステアリングホイールを握って走り始めれば、なるほど、安定している。その気になれば、破綻におびえることなく、ボディーをロールさせ、タイヤを鳴らして走ることも可能だ。旧型オデッセイはもとより、上級車種エリシオンも、ボディーサイズのわりにハンドリングに優れたクルマだったから、超低床プラットフォームを採用した新型のハンドリングが悪かろうはずがない。
先代オデッセイの、4輪ダブルウィッシュボーンというおごったサスペンションから、前:マクファーソンストラット、後ろ:トーションビームという、スペース効率優先の実用形式になったが、気にするオーナーはまずいないだろう。ショックアブソーバーには、SACHS社製振幅感応ダンパーが採用された。路面の細かい凹凸は緩やかにいなし、大きな入力が入るとグッと踏ん張って安定したハンドリングに寄与する、ぜいたくなデバイスだ。
新旧2台を、例えば峠道などで直接乗り比べるとまた違った感想を抱くかもしれないが、“オデッセイらしい走り”は継承されたのではないか。ことに、10mmローダウンして、強化した足まわりが与えられたニューアブソルートはスポーティーで、「運転の楽しみ」が十分備わっている。
エンジンは、「USアコード」ゆずりの2.4リッター直列4気筒i-VTEC。オデッセイは、ポート噴射(175ps、23.0kgm)、アブソルートは直噴タイプ(FF:190ps、24.2kgm/4WD:185ps、24.0kgm)となる。トランスミッションは、どちらもトルクコンバーター付きのCVTだ。
大きな変貌を遂げた新型オデッセイ/オデッセイ アブソルート。超低床プラットフォームを生かして、“ミニバン界の「フィット」”となることができるでありましょうか?
(文=青木禎之/写真=峰 昌宏)
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テスト車のデータ
ホンダ・オデッセイ G(7人乗り)
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4830×1800×1695mm
ホイールベース:2900mm
車重:1770kg
駆動方式:FF
エンジン:2.4リッター直4 DOHC 16バルブ
トランスミッション:CVT
最高出力:175ps(129kW)/6200rpm
最大トルク:23.0kgm(225Nm)/4000rpm
タイヤ:(前)215/60R16/(後)215/60R16(ダンロップSP SPORT 230)
燃費:13.4km/リッター
価格:281万9000円/テスト車=332万3000円
オプション装備:Cパッケージ(12万6000円)/Hondaインターナビ+リンクアップフリー+ETC車載機(22万500円)/Hondaスマートパーキングアシストシステム+マルチビューカメラシステム(7万3500円)/2列目プレミアムクレードルシート(8万4000円)
※テスト車はプロトタイプ
テスト車の年式:2013年型
テスト車の走行距離:--km
テスト形態:テストコース
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター
参考燃費:--km/リッター
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ホンダ・オデッセイ アブソルート EX(7人乗り)
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4830×1820×1685mm
ホイールベース:2900mm
車重:1830kg
駆動方式:FF
エンジン:2.4リッター直4 DOHC 16バルブ
トランスミッション:CVT
最高出力:190ps(140kW)/6400rpm
最大トルク:24.2kgm(237Nm)/4000rpm
タイヤ:(前)225/45R18/(後)225/45R18(トーヨー・トランパスR30)
燃費:13.6km/リッター
価格:358万5000円/テスト車=365万8500円
オプション装備:Hondaスマートパーキングアシストシステム+マルチビューカメラシステム(7万3500円)
※テスト車はプロトタイプ
テスト車の年式:2013年型
テスト車の走行距離:--km
テスト形態:テストコース
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター
参考燃費:--km/リッター

青木 禎之
15年ほど勤めた出版社でリストラに遭い、2010年から強制的にフリーランスに。自ら企画し編集もこなすフォトグラファーとして、女性誌『GOLD』、モノ雑誌『Best Gear』、カメラ誌『デジキャパ!』などに寄稿していましたが、いずれも休刊。諸行無常の響きあり。主に「女性とクルマ」をテーマにした写真を手がけています。『webCG』ではライターとして、山野哲也さんの記事の取りまとめをさせていただいております。感謝。
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