アストン・マーティン ヴァンキッシュ ヴォランテ(FR/6AT)
息づく血統 2013.12.11 試乗記 アストン・マーティンのフラッグシップモデル「ヴァンキッシュ」に、オープンモデルの「ヴォランテ」が加わった。その仕上がり具合はいかに? 米国カリフォルニア州パームスプリングスからの第一報。カーボンボディーのフラッグシップ
12気筒系アストン・マーティンのシリーズ生産モデルのラインナップは、去年から大きく変わった。それ以前は、「DBS」をトップに、「ヴィラージュ」「DB9」とビッグボディー系列が3モデル、それにコンパクトなV8ボディーにV12を収めた「V12ヴァンテージ」が加わるという、合計4車種がカタログモデルとして存在していた。
ところが昨2012年に「ヴァンキッシュ」の名が復活し、そのまったく新しいヴァンキッシュがDBSに代わりトップモデルの座に就いた。その一方で、ヴィラージュは生産中止となり、そのパフォーマンスやデザインの一部を受け継いだ新生DB9が、V12系列のベーシックモデルとして存在感を増している。実際、新しいDB9、ドライビングするとすべての分野でかなり好ましいクルマになっているのを実感できた。それにもうひとつ、V12ヴァンテージの進化版である「V12ヴァンテージS」が今年加わった、というわけだ。
去年デビューしたトップモデルのヴァンキッシュは、573psを発生する高出力版5.9リッターV12エンジンに、トランスアクスル配置のZF製6段ATを組み合わせていて、そのパワートレイン構成からも想像できるように、ハイパフォーマンスと快適性の両方を追い求めた、スーパーGTというべきキャラクターを与えられたクルマである。
それに加えてもうひとつ大きなポイントは、そのボディー材質にある。「One-77」のような超高価な限定モデルを別にすれば、ヴァンキッシュはアストン・マーティンで唯一のフルカーボンファイバー製ボディーを採用しているのだ。とはいえシャシーは従来モデルと同じVH(バーティカル・ホリゾンタル)構造だから、車重がDBSと比べて格段に軽くなっているわけではないが、チーフデザイナーのマレック・ライヒマンによれば、アルミを主体とする従来型のボディーと比べて造形の自由度が大幅に増しているのも、好ましい点だという。
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