第32回「スポーツチューンに“模範解答”はあるのか?」

2014.01.17 水野和敏的視点

スバルBRZ tSの完成度は次元が違う

「スポーツ」をキーワードに、個性派モデルを見てきた「水野和敏的視点」。最後に、個別のテストでは触れられなかった事柄を拾いつつ、振り返ってみたいと思います。

まず、「BRZ」のSTIバージョンたる「スバルBRZ tS GTパッケージ」(6MT:429万4500円)。これは、「開発者個人の名が特定できるのではないか」と思われるほど、ハッキリした個性を持つチューンドモデルでした。ズバリ、「ニュルブルクリンクのことしか考えてないでしょ!」と言いたくなるクルマ。小さな路面のデコボコはきちんと吸収し、大きな入力には無駄のない足まわり。剛性感があり、正確なステアリング。すばらしいエンジンレスポンス。「スポーツ」の評価を、モータースポーツというベクトルで行った場合、ほかのテスト車とは次元の違う完成度を見せていました。

とはいえ、BRZ tSは一般の市販車です。ただタイムを追求すればいいレースカーと異なり、商品性を持たせないといけない。今回『mobileCG』が用意してくれた上級グレード「GTパッケージ」は、ノーマルtS(6MT:366万4500円)より63万円高い429万4500円。価格差の理由として(?)、足まわりに加えて、RECARO製バケットシートを装着し、トランクからはリアスポイラーが生え、足元はブラック塗装の18インチホイールを履いています。

実際にGTパッケージを購入した方には申し訳ありませんが、リアスポイラーは改善が必要ではないでしょうか? ドライカーボン製でウイングの角度調整ができるということですが、取り付けがヤワで、ちょっと触るとメインプレートがグラグラし、角度が大きく変化してしまいます。200km/h超の世界で、大きな力がかかった時、この剛性と角度調整できることに意味があるのでしょうか。この構造と取り付けで、狙った性能を出せるのか疑問です。

日本の交通事情をふまえ、機能面だけなら、派手なウイングではなく、トランク後端に大きめのリップスポイラーを付けるだけで、十分、空力的な効果があると思いますが……。ただ、それでは地味すぎて、お客さまから60万円超のお金をいただけないということなのでしょうか?

スバルBRZ tS GTパッケージ
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4260×1775×1290mm/ホイールベース:2570mm/車重:1250kg/駆動方式:FR/エンジン:2リッター水平対向4 DOHC 16バルブ/トランスミッション:6段MT/最高出力:200ps/7000rpm/最大トルク:20.9kgm/6400-6600rpm/タイヤ:(前)225/40ZR18/(後)225/40ZR18/価格:429万4500円
スバルBRZ tS GTパッケージ
    ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4260×1775×1290mm/ホイールベース:2570mm/車重:1250kg/駆動方式:FR/エンジン:2リッター水平対向4 DOHC 16バルブ/トランスミッション:6段MT/最高出力:200ps/7000rpm/最大トルク:20.9kgm/6400-6600rpm/タイヤ:(前)225/40ZR18/(後)225/40ZR18/価格:429万4500円 拡大

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