第35回「ホンダ・オデッセイ アブソルートEX」

2014.02.07 水野和敏的視点 水野 和敏

世界に誇れる超低床技術

今回は、「ホンダ・オデッセイ」を俎上(そじょう)に載せましょう。編集部が用意してくれたのは「オデッセイ アブソルートEX」。直噴の2.4リッターを積んだ“走り”志向のオデッセイです。7人乗りのFFモデル。車両本体価格は、358万5000円です。

私の中では、オデッセイは代々「一生懸命に“乗用車”を追いかけてきた」印象があります。そのため、ミニバンといえども、できるだけ車高を抑えてきました。ところが近年、そうしたアプローチがユーザーの期待値とずれ始めてしまった。そこで新型では、背を少し高くして、室内高についてはしっかり確保してきました。「ミニバンの王道」に対して、過不足のない構成としてきたわけです。

世の中、演歌が好きな人がいれば、AKB48のファンもいる。でも、そうした人たちに、演歌でもAKBでもない中途半端なモノを提供したって、買う人はいません。だからニューオデッセイでは、しっかり演歌の方を向けてきた。つまり、志向をより明確にして、わかりやすくしてきたのだと思います。

新型は、これまでの4枚ヒンジドアを諦め、左右のリアにスライドドアを設けました。ミニバンボディーの定番ですね。開発者として「頑張ったな」と思うのは、車高を上げるにあたり、ただルーフを高くするのではなく、フロアを低めることで、車高アップ分以上に室内高を稼いでいること。専用の薄型燃料タンクをつくったり、排気系の取り回しを工夫したりで大変だったでしょうが、ユーザーへの責任をしっかり果たしています。

ミニバンという車型は、世界的に見ても、日本で特殊な人気を博していて、クルマの開発も進んでいます。オデッセイの“超低床プラットフォーム”は、ユーティリティーとドライバビリティーを両立させる手段として、日本が世界に誇ることができる素晴らしい技術のひとつではないかと思います。

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