第227回:リフトの代わりに「ランクル プラド」でゲレンデへ
「プラドリフト」イベントリポート
2014.02.26
エディターから一言
雪上を自由自在に駆け抜ける
新幹線とバスを乗り継いで、福島県耶麻郡磐梯町の星野リゾート アルツ磐梯スキー場へとやってきた。
とはいっても、ゲレンデにスキーで華麗なラブシュプールを描きに来たわけではない。
「トヨタ・ランドクルーザー プラド」が、スキー場のリフトの代わりにスキーヤーをゲレンデに運ぶというイベント、「プラドリフト」を体験しにやって来たのだ。
このイベント、ランドクルーザー プラドの雪上走行性能を体験すべく行われるもので、アルツ磐梯を訪れたスキー・スノーボード客をプラドに乗せてゲレンデのリフト降り場付近まで送り届け、そこからスキーを楽しんでもらおうという趣向だ。
このリフト体験のほかにもうひとつ、ゲレンデに設けられたバンクやモーグル(コブ斜面)を、プロドライバーが運転するプラドの助手席で体験試乗するという「プラドパーク」というプログラムも用意されている。
一般客が参加するイベントに先駆けてプレス向けに開催された、お披露目会にやって来たというわけだ。
ランドクルーザー プラドはトヨタの本格派SUVとして、世界中で活躍している。
日本国内では頻繁に目にするクルマではないが、正統派オフローダーとして根強い人気を誇っているのはご存じの通りだろう。
ランドクルーザーシリーズは、国内モデルとしては兄貴分の「ランドクルーザー」と、これから体験試乗するランドクルーザー プラドの2本立てだが、日本では2007年にカタログ落ちしたヘビーデューティーモデル「ランドクルーザー70」も、いまだに海外では販売されている。
トヨタにとって、ランドクルーザーシリーズは世界戦略上、重要なモデルなのだ。
探検隊長にでもなった気分
さて、いよいよ体験試乗になるのだが、まずはゲレンデに設けられた不整路をプロドライバーが切り抜けるプラドパークから。
コースは、オリンピックのテレビ中継で見たような凸凹のモーグルや、片方の車輪分だけ雪が盛られたセクションなど、そんじょそこらのなんちゃってSUVなら二の足を踏んでしまいそうなシチュエーション。
けれども「ランドクルーザー プラドTZ-G」は難なくこなしていく。インパネ内の傾斜計はボディーが左に30度傾いていることを示しているが、破綻する様子もなくゲレンデを上へ上へと進んでゆく。
時折、グリップを失った左後輪から「ガガッ」とブレーキ音がする。「アクティブトラクションコントロール」の作動音だ。スリップを検知すると、空転した車輪にブレーキをかけて、グリップしている車輪に駆動力を分配するシステムだ。このおかげで、タイヤが1輪宙に浮いているような状況でも、プラドは確実に前へ進んでいった。
コース頂上で大きく向きを変え、今度は斜面を下ってゆく。車重2トンを超えるプラドが、スキーで直滑降をするにはためらうような斜面を、ゆっくりと進んでいく。「ダウンヒルアシストコントロール」の制御により、車速を5km/hに保っているので、斜面の角度にかかわらず一定のスピードで、まさに「歩む」ように下る。
前後のバンパーが雪をこするほどのアングルに作られたモーグルのコブも、スタックすることなくこなしていく姿は、信頼感の塊のよう。
自分が運転しているわけでもないのに、探検隊長にでもなったかのような気分だった。
この後、特別にコースの一部を私が実際にステアリングを握って走ることができたが、私でも(助手席のプロドライバーの指示に従えば)同様に走らせることができた。運転手の腕よりもクルマの性能が勝っているという印象だ。
地球上で必要とされているクルマ
つづいては「プラドリフト」。本来はスキーやスノーボード客をリフト降り場まで、プラドでゲレンデを駆け上って運ぶというものだが、今回はプレス向けということで、スキーなしで往復ともプラドで送り迎えしてもらうという形になった。
4輪に金属チェーンを履いたプラドの姿は、勇敢そのもの。雪面はやや柔らかめのパウダースノーで、スキーで滑るには最高のコンディションだが、クルマで走るには、スタックの可能性がつきまとう、厳しい状況だ。
そんなゲレンデを、雪上車さながらに力強く駆け上ってゆく。それもけっこうなスピードで。
プラドがゲレンデから、冬期閉鎖中の一般路へと入ると、新雪の抵抗からか、カーブではトラクションが抜けてドリフト状態になる。
私ならついついアクセルを戻してしまいそうな場面だが、プラドはすぐにグリップを回復して、何事もなかったかのように坂道を上ってゆく。これがけっこうスリリングで楽しい。もっとのんびりゆっくり、雪景色を楽しみながら……というのをイメージしただけに、いい意味で裏切られた。
イベントにはプラドの開発責任者である小鑓貞嘉氏も出席し、「プラドは地球上で必要とされているクルマ」であるとコメントしていた。
最近では、スタイリングや高級感を重視したクロスオーバーと呼ばれるジャンルのクルマが人気だが、このランドクルーザー プラドのような、本格派が必要とされる場面も多くあるはずだ。
余談ながら、取材日の翌日は関東甲信地方を中心に記録的な大雪となった日だった。その日、朝家を出て「ああ、プラドがあれば……」と思ったのは、言うまでもない。
(文=工藤考浩)

工藤 考浩
-
第875回:キモは氷上性能! ダンロップの新しいスタッドレスタイヤ「ウインターマックス アイスプロ」を試す 2026.7.1 違いは氷の上で表れる! ダンロップの新しいスタッドレスタイヤ「WINTER MAXX ICE-Pro(ウインターマックス アイスプロ)」に、冬の北海道で試乗。氷上性能を徹底的に追求したという新製品の、パフォーマンスの一端に触れた。
-
第874回:自動運転からワイパーまで! 自動車を支えるメガサプライヤー ボッシュのあくなき挑戦 2026.6.27 世界屈指のメガサプライヤー、ボッシュが開発中の新技術を披露! 市街地での高度な運転支援技術に、日本の方言にも対応した対話型AI、サーキット走行のノウハウを教えてくれるコーチング機能等々……興味深いその中身をリポートする。
-
第873回:ウエット路面に強み ミシュランの新タイヤ「パイロットスポーツ5エナジー」と「プライマシー5エナジー」を試す 2026.6.19 2026年1月29日に導入が発表されたミシュランの新製品「パイロットスポーツ5エナジー」と「プライマシー5エナジー」。これまでの特徴に加え、低燃費性能や耐摩耗性、ウエットグリップ性能のアップをうたう両モデルの走りを、クローズドコースで確かめた。
-
第872回:「フォレスター」がJNCAPで最高評価を獲得! “安全”に対するスバルの不断の取り組みに迫る 2026.6.6 相対速度100km/hの衝突後でも、普通にドアが開く!? 人気のSUV「スバル・フォレスター」が、日本の自動車アセスメントで最高評価を獲得した。安全なクルマづくりを第一とするスバルの取り組みを、群馬製作所で行われた衝突試験デモの様子とともにリポートする。
-
第871回:今年もグリーンヘルは熱かった! ニュルブルクリンク24時間レース観戦記 2026.5.27 “世界一過酷な草レース”として知られ、今年も波乱が巻き起こったニュルブルクリンク24時間レース。F1王者のフェルスタッペンも参戦するとあって、大いに盛り上がったその様子を、世界を飛び回るモータースポーツカメラマンが臨場感満点でリポートする。
-
NEW
ポルシェ911カレラT(後編)
2026.7.19ミスター・スバル 辰己英治の目利きスバルとSTIでクルマの走りを鍛え、モータースポーツにも積極的に取り組んできた辰己英治さん。彼の目に、“スポーツカーの水準器”こと「ポルシェ911」はどのように映ったのだろう? 走りの楽しさを追求した「カレラT」グレードに乗っての印象を聞いた。 -
ホンダCB750ホーネット(6MT)【レビュー】
2026.7.18試乗記ホンダのスポーツネイキッド「CB750ホーネット」が、話題の「E-Clutch」を獲得。ライディングの幅を広げる自動クラッチシステムは、パンチの利いた2気筒のストリートファイターにどんな走りをもたらすのか? その仕上がりを確かめた。 -
人気沸騰「ランクル“FJ”」を手にするもうひとつの方法
2026.7.17サブスク「KINTO」で「ランドクルーザー“FJ”」に乗る<AD>2026年5月に発売されるやオーダーが集中し、受注停止となってしまった「ランドクルーザー“FJ”」。しかし、あきらめるのはまだ早い。“FJ”とのカーライフを実現できる、トヨタの新車サブスクリプションサービス「KINTO」という手段があるのだ。 -
新型「アルピーヌA110」はどんなクルマに? グッドウッドを駆けたテストカーから読み解く
2026.7.17デイリーコラムアルピーヌが次期型「A110」を示唆する「A110フューチャー」を初公開。グッドウッドで走る姿を披露した。そこから分かる未来のA110の姿とは? 電動化がアナウンスされているが、エンジン車の設定はあるのか? 公式発表とテストカーの姿から深掘りする。 -
ベントレー・ベンテイガ スピード(4WD/8AT)【試乗記】
2026.7.17試乗記「ベントレー・ベンテイガ」に最上級グレードの「スピード」が登場。ブランドの在り方をストレートに伝える名称のトップパフォーマンスモデルだが、従来型との最大の違いはその心臓部にV8エンジンが積まれていることだ。およそ不満のあろうはずもないが、最新モデルの仕上がりをリポートする。 -
写真で解説する新型「日産エルグランド」
2026.7.16画像・写真新型「日産エルグランド」は、日本伝統の美をデザインに生かしながら、同社独自の最新技術を組み合わせて“走りのよさ”も徹底追求したという意欲作。その見どころを写真とともに解説する。





























