第50回「BMW M235i クーペ」

2014.05.23 水野和敏的視点

かつては日本車メーカーの十八番だったが……

前回は、BMWの先鋭的未来派モデルというべき「i3」を取り上げました。今回はそれとは対照的に、古典的な成り立ちを持つM235i クーペをテストしてみましょう。今や珍しい3リッターのストレート6を搭載したFRクーペです。

念のため復習しておきますと、以前の「3シリーズ クーペ」が「4シリーズ」と呼ばれるようになったのと同様に、かつての「1シリーズ クーペ」には新たに「2シリーズ」という名称が与えられました。

日本に導入されるのは、2リッター直4ターボエンジンと8段ATを組み合わせた「220i クーペ」の「スポーツ」(457万円)と「Mスポーツ」(481万円)。その上位モデルとして、M235i クーペが用意されます。3リッター直6ターボエンジンとペアを組むのは、3ペダル式6段MT(601万円)と8段AT(615万円)。箱根に持ち込んだのは6段MT車です。

2シリーズ クーペを目の前にして、「要するに、昔の『日産シルビア』の再来だな」という感想を持ちました。バブル時代と前後するように興隆して、いまではすっかり廃れてしまった2ドア・スポーティーカーというジャンル。そこを今、ヨーロッパのメーカーが一生懸命に掘り起こして、新型車として出てきている……。なんとも皮肉なものです。

FRの2ドアスポーツクーペを専用のプラットフォームで作り、世界に提案してみたけれど、台数が出ないために採算が合わず、撤退してしまった日本のメーカー。それに対して、プラットフォームの共用化率を極力高めて「独自の存在」として売り出してきたBMW。

「トヨタ86」にしても、結局は「スバルBRZ」との2ドアクーペというカテゴリー内での共用化にすぎません。出る数が絶対的に多いセダンやSUVシリーズと共用しているBMWと比較すれば、共用化効率には大きな差があります。かつて日本のメーカーが提案したカテゴリーなのに、今になって欧州のブランド車として出てきているわけです。まったく、もったいない!

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