【ニューモデル情報】「BMW 2シリーズ クーペ」はマイナーチェンジでデジタル化を推進
若さをキープ 2024.08.01 アウトビルトジャパン マイナーチェンジした「BMW 2シリーズ クーペ」が欧州で発表された。エクステリアの変更は最小限にとどめられているが、インテリアのアップデートとデジタル化の推進がトピック。その変更内容を詳しく紹介する。※この記事は「AUTO BILD JAPAN Web」より転載したものです。
直6の後輪駆動モデルを廃止
BMWは2シリーズ クーペで伝統に焦点を当てている。2021年に発売された第2世代モデルは、2ドアクーペフォルムに小さなキドニーグリル、象徴的なホフマイスターキンク、縦置きエンジン、そしてトップモデルに積まれた直列6気筒エンジンといった古典的な要素で構成されていた。
この伝統的なクーペは、2024年8月に改良アップデート版が発売される。外観の変更、装備の充実に加えてBMWが力を注いだのが、デジタル化だ。ハイパフォーマンスモデル「M2クーペ」に次ぐパワフルなバリエーションである「M240iクーペ」は、全輪駆動に加えて後輪駆動もラインナップしていたが、新たなプライスリストに後輪駆動バージョンの価格は載っていない。
間もなくデリバリーが開始される改良型2シリーズ クーペの価格は、最高出力156PSの「218iクーペ」が4万5300ユーロ(約770万円)で、同374PSの3リッター直6ガソリンターボエンジンの「M240i xDriveクーペ」には6万1900ユーロ(約1055万円)を要求している。48Vマイルドハイブリッドシステムを最高出力190PSの2リッター直4ディーゼルターボに組み合わせた「220dクーペ」は、5万2200ユーロ(約887万円)から、フラッグシップのM2クーペは7万6600ユーロ(約1305万円)という設定である。
「Mスポーツパッケージ」を標準で装備
フェイスリフト以前から、2シリーズ クーペはスポーティーな外観が特徴だった。ワイドなキドニーグリルには必要に応じてルーバーベンチレーションが装備され、大きなエアインテークとレーダーを備えたフロントエプロン、ボンネットのパワードームが目を引いた。
立体的なグラフィックが施された低い位置にあるリアコンビランプも含め、エクステリアデザインに大きな変更はない。グリルやガーニッシュ類のフィニッシュがアップデートされている程度である。
今回のマイナーチェンジで、「Mスポーツパッケージ」が全モデルに標準装備とされた。したがって今後デリバリーされる2シリーズ クーペには、フロントの大型エアインテークやワイドなサイドシル、直立したリフレクターとディフューザーを備えたスタイリッシュなリアエプロンが備わる。エプロン下部とサイドシルは、フェイスリフト前の一部モデルではブラックだったが、これはボディーカラーに変更される。
最上級モデルのM240i xDriveクーペでは、サイドエアインテークにブラックのインサートが入り、フロントスポイラーリップ、リアスポイラー、台形のテールパイプトリムが装備される。これはフェイスリフト前も同様だった。ブラックのエクステリアミラーキャップは、マイナーチェンジを機に採用された新アイテムである。
伝統の直6エンジンは健在
前述のとおり、M240i xDriveクーペは従来型と同じく3リッターの直6ターボエンジンを搭載している。最高出力374PS、最大トルク500N・mという実力で、全輪駆動により0-100km/h加速を4.3秒でこなし、最高速250km/hという優れたパフォーマンスを発揮する。
ほかのグレードは直4エンジンを搭載する。ガソリンエンジンは最高出力156PS、同184PS、同245PSの3種類が設定され、48Vマイルドハイブリッドシステムが備わるディーゼルエンジンは同190PSの1種類となる。これらすべてにZF製8段ATが組み合わされ、エンジンに関係なくMT仕様はなくなった。
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ステアリングホイールが新デザインに
インテリアの変更で最も目立つのが、下部がフラットになった新デザインのステアリングホイールだ。M240i xDriveクーペでは、12時位置の赤いマーキングと「M」を象徴するコントラストステッチが採用されている。ギアセレクター、スタート/ストップボタン、iDriveコントローラーについては、オプションでクリスタル製のアイテムが選択できる。
他の多くのBMW車と同様に、インストゥルメントパネルからエアコンとシートヒーターのボタンがなくなった。2シリーズクーペの最新インテリアでは、タッチまたはボイスコマンドでの操作がメインとなり、デジタル化が推進されている。
12.3インチのメーターパネルと14.9インチのタッチ式インフォテインメントパネルで構成されるカーブドディスプレイは、すでに2022年夏に登場した新型「2シリーズ アクティブツアラー」に導入済みだ。フェイスリフト後のモデルには、アップデートされた最新のBMWオペレーティングシステムOS 8.5が採用される。
標準装備となったMスポーツパッケージのおかげで、ヘッドライニングのカラーはシックな「アンスラサイト」となる。2シリーズ クーペには、ヒーターが内蔵されたセミインテグレーテッドヘッドレスト付きのスポーツシートが標準で装備される。
エクステリアでのトピックは新色の追加
新しいペイントカラーが追加されたのもトピックである。新たに「ファイヤーレッドメタリック」と「スカイスクレイパーグレー」がコンフィギュレーターで選択できるようになった。印象的な淡いブルーの「ザントフォールトブルー」は、M240i xDriveクーペの専用色となる。
18インチホイールが標準装備とされている2シリーズ クーペにおいて、もっとスポーティーでアグレッシブな演出を好むのであれば、オプションで19インチホイールを選ぶことができる。BMWは今回のマイナーチェンジに合わせて、Y字スポークデザインとバイカラー仕上げの「BMW Individualホイール」を含むさまざまな新デザインのアイテムを用意した。
Mモデル専用パッケージも設定
新しい装備パッケージも設定された。「プレミアムパッケージ」には、アダプティブLEDヘッドランプやコンビニエンスアクセス、スマートフォン充電用トレイが含まれる。「イノベーションパッケージ」では、ドライビングアシスタント(追い越しと駐車をモニターする機能を)や3Dディスプレイ付きパーキングアシスタントプラス、そしてヘッドアップディスプレイを含む「BMWライブコックピットプロフェッショナル」など、さまざまな運転支援システムが組み合わされる。
さらに「Mテクノロジーパッケージ」がM240i xDriveクーペにのみ設定されている。このパッケージには、エンジンとインタークーラーの冷却を最適化するシステムのほか、大型のブレーキディスクを採用した「Mスポーツブレーキシステム」などのスポーティーな装備が盛り込まれている。
結論
BMWは2シリーズ クーペの若さを保った。アップデート対策は慎重で、一見しただけでは、従来型との違いがほとんどわからない。直6の走りをこれからも楽しめるのはいいが、後輪駆動バージョンが廃止されたのはとても残念だ。
(Text=Katharina Berndt & Jan Götze/Photos=BMW)

AUTO BILD 編集部
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