第79回:レーサーから消防飛行機に転身。悪役はあの高級SUV
『プレーンズ2/ファイアー&レスキュー』
2014.07.18
読んでますカー、観てますカー
『カーズ』から8年、今度はレースじゃない
『カーズ』が公開されたのは、2006年だった。ドイツW杯でジーコジャパンが惨敗し、中田英寿が旅人になった年である。あれから8年、日本のサッカーはなかなか結果を出せないが、映画の主人公はクルマから飛行機に替わり、シリーズ合計で4作目となった。2011年に『カーズ2』、2013年に『プレーンズ』、そして矢継ぎ早に『プレーンズ2/ファイアー&レスキュー』が公開されることになった。『プレーンズ』シリーズは3部作であり、この後完結編が作られるはずである。
『トイ・ストーリー』『バグズ・ライフ』で名をはせたジョン・ラセターが、この人間くさい機械たちを送り出した。人形や虫の擬人化なら無理はないが、自動車を主体とするアニメーションというのは冒険とも言えた。下手をすると、『きかんしゃトーマス』的な子供っぽい作りになってしまいそうだからだ。しかし、『カーズ』では見事に大人の鑑賞に堪える物語世界を作り上げていた。
『カーズ』の主人公はレースカーのライトニング・マックィーンで、自分勝手に速さだけを追求していた彼が、仲間たちとの交流の中で成長していくビルドゥングスロマンだった。『カーズ2』ではいきなりスケールが大きくなり、国際的陰謀と戦うという大スペクタクルに。行き過ぎたと思ったのか、『プレーンズ』は田舎の村で農薬散布機として暮らすダスティーが飛行機レースに挑戦する話だった。
クルマと飛行機の違いはあれど、どちらもレースがテーマになっていた。速く走ること、速く飛ぶことが、主人公の望みなのである。今回は、その意味ではこれまでの3作とはまったく別の種類の話だ。

鈴木 真人
名古屋出身。女性誌編集者、自動車雑誌『NAVI』の編集長を経て、現在はフリーライターとして活躍中。初めて買ったクルマが「アルファ・ロメオ1600ジュニア」で、以後「ホンダS600」、「ダフ44」などを乗り継ぎ、新車購入経験はなし。好きな小説家は、ドストエフスキー、埴谷雄高。好きな映画監督は、タルコフスキー、小津安二郎。
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