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第440回:小沢コージの日本カー・オブ・ザ・イヤー改革案!? 来年は韓国を加えアジアン・オブ・ザ・イヤー部門も作るべきだ〜っ!?

2011.12.07 小沢コージの勢いまかせ! 小沢 コージ
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第440回:小沢コージの日本カー・オブ・ザ・イヤー改革案!?来年は韓国を加えアジアン・オブ・ザ・イヤー部門も作るべきだ〜っ!?

日本カー・オブ・ザ・イヤーを選び終えて、選考委員のひとりである小沢コージが思ったこと。それは・・・・・・

日本の目玉は「変化球」

今年もやってきましたっ! 年男ならぬ“年グルマ”を決める「日本カー・オブ・ザ・イヤー」選考会。もはや正直、お正月・クリスマス前の恒例行事って感じで、おなじみ過ぎる気もなきにしもあらずだけど、今年は今年で、一新された東京モーターショーとの合同開催がゆえに結構面白かった。

それは、受賞者の発表が、史上初となる“お台場モーターショー”初日の12月3日に、当の会場「東京ビッグサイト」で行われたことだけが理由じゃない。今年のチャンピオン、いわゆるイヤーカーは、世界初の“超”(?)量産電気自動車(EV)とされる「日産リーフ」。厳密に言うと世界初の量産EVは、2010年4月に一般販売が始まった「三菱i-MiEV」なのだが、リーフはリーフでいきなり年間数万台レベルの生産規模を実現し、世界各地で日産EV工場が稼働するという2015年には年産25万台レベルになるともいわれている。

事業規模がデカく、日産も今まで考えていなかった自社製の急速充電器開発など新たなチャレンジもあったから、結果として得票数522票と2位の「メルセデス・ベンツCクラス」(174票)に対してジャスト3倍の票を集めたと思うんだけど、俺が気になったのは、その前段階の「10ベストカー」のラインナップ。その中身よ。

具体的には、日本車は「トヨタ・プリウスα」「日産リーフ」「ホンダ・フィットシャトル」「マツダ・デミオ スカイアクティブ」「ダイハツ・ミラ イース」とすべてエコカーばかりで、どれも“他にはない環境テクノロジー”の勝負。

プリウスαは言わずと知れた2モーター式(THSIIシステム)のハイブリッドカーで、リーフはEV、フィットシャトルは1モーター式(IMAシステム)ハイブリッド。デミオは超高圧縮比の高効率エンジン、最後のミラ イースは、技術的にはデミオに似てるが、ボディーの軽量化や効率化など、総合力でより頑張ったモノといえる。

それは、野球のピッチャーでいえば変化球勝負、いかにスゴいテクニックかを競うようなものだ。消える魔球なのか、メジャー級の2シームなのか、超スローカーブなのか……みたいな。


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今年のイヤーカーに選ばれた「日産リーフ」。
今年のイヤーカーに選ばれた「日産リーフ」。 拡大
「メルセデス・ベンツCクラス」。写真右が「ステーションワゴン」で、左が「セダン」。
「メルセデス・ベンツCクラス」。写真右が「ステーションワゴン」で、左が「セダン」。 拡大
日本カー・オブ・ザ・イヤー2011-2012の投票結果。リーフが他を圧倒。
日本カー・オブ・ザ・イヤー2011-2012の投票結果。リーフが他を圧倒。 拡大
ずらりと並んだ、今年の10ベストカー。
ずらりと並んだ、今年の10ベストカー。 拡大

気がつけばジャンルが違う!?

かたや輸入車は「フォルクスワーゲン・パサート」「メルセデス・ベンツ Cクラス」「BMW 1シリーズ」「プジョー508」「ボルボS60/V60」で、すべて小排気量の高効率ターボエンジンを搭載する。BMW 1シリーズとプジョー508については、エンジンは同じと言っていい。どれもエコカーといえばエコカーだが、それ以前に、どれも“味で勝負”の高級車。いわばストレート勝負のモデルだ。

実際、日本車と輸入車の両グループは価格帯が全く違っていて、輸入車は一番安いBMW 1シリーズでさえ300万円超えなのに、ミラ イースに至っては80万円弱と3倍以上の開きがある。唯一、リーフは電気自動車なので補助金を使ってもほぼ300万円と高価格だが、コレは特殊過ぎるカテゴリーとしよう。

要するに何が言いたいかって、現在、日本において国産車と輸入車は全く別のビジネスをしているということだ。国産車は“安い早いうまい”が勝負で、ある意味、ファストフード的であり、1杯200円台の牛丼を作るようなビジネス。かたや欧米ブランドは、あくまでもブランド勝負で、ある程度のお金持ちが相手。どちらもタフなバトルだが、これほど両者の性質がハッキリと分かれた時代もないだろう。

昔は「輸入車は価格も品質も技術も勝っていて、国産車は安さと信頼性で追いすがるしかない」とされていたこともある。
しかし、今や国産車はある種の技術力、特に低コストのエコカー作りで追い上げをみせ、勝っていると思われるところすらある。具体的にはハイブリッド技術であり、EVの技術であり、一部の燃焼効率に関する技術である。

「プジョー508」
「プジョー508」 拡大
「BMW 1シリーズ」
「BMW 1シリーズ」 拡大
「フォルクスワーゲン・パサート」
「フォルクスワーゲン・パサート」 拡大

がっぷり四つの勝負が見たい

国産車は頑張ってる。素晴らしい。でも実は、今後はより厳しい世界的バトルが待っているという現実もある。
それは、今後やって来るであろう価格と品質、さらに燃費も含めた“大衆車バトル”のことだが、既に韓国車や中国車との厳しい競争が始まっており、ヘタすると薄型ワイドテレビのビジネスみたいに、過当競争による収益悪化で体力勝負ともなりかねない。

高級車の方も世界的不況で厳しいは厳しいだろうが、世の中いつの時代もお金持ちはある程度はいるわけで、そんな客をしっかりつかみさえすれば、案外食いっぱぐれることもなさそう。
つまり、変化球投手と剛速球投手を比べるなら「やっぱり王道は後者かも」ってことだ。それに、安さと品質で戦う牛丼やハンバーガーみたいな料理をアジア諸国が担当し、ミシュランの星付きレストランや高級すし屋のような味とブランドで勝負するグルメを主にヨーロッパが担当する、というようなことを、われわれは予想し、望んていたのだろうか。

「いつかはポルシェを作りたい、メルセデス・ベンツを作りたい、シトロエンを作りたい……」ではなかったのだろうか。10ベストカーのラインナップを見ながら、ふと私はそう思ってしまったのだ。
カー・オブ・ザ・イヤーに輝く。それは悪くないことだし、誇らしいことだろう。だが、それ以前に「勝負するジャンルそのものが違ってきている」ことも忘れないでいただきたい。

知りたいのは、レクサス、インフィニティ、アキュラなどがいかに欧米ブランド勢と渡り合っているかということ。
「レクサスRX」は、「メルセデス・ベンツMクラス」に勝っているのか? 「インフィニティG」のハンドリングは、「BMW 3シリーズ」よりも優れているのか……? そういう部分だ。グルメなジャンルで頑張る日本車をもっと見たいのだ。

それと、今後は「ヒュンダイ・ソナタ」や「起亜 K5ハイブリッド」など、日本で販売されていない韓国車も交えて比べるべきではないか。つまり、アジア部門を作るべきなのだ。そうじゃないと今のジャンルだって正しく判断できないし、競争できない。日本人全体が、今いる位置を知らなきゃ、本当に「井の中の蛙(かわず)」になっちゃうよ〜ん! と思った小沢でありました。
とにかく頑張ってください。そして自動車界をタフに勝ち抜こうぜ、国産メーカーさま!

(文と写真=小沢コージ)

「マツダ・デミオ13-SKYACTIV」
「マツダ・デミオ13-SKYACTIV」 拡大
「ダイハツ・ミラ イース」。JC08モードで30.0km/リッターの燃費が話題となった。
「ダイハツ・ミラ イース」。JC08モードで30.0km/リッターの燃費が話題となった。 拡大
ホンダの「フィットシャトル」(写真右)と「フィットシャトルハイブリッド」。
ホンダの「フィットシャトル」(写真右)と「フィットシャトルハイブリッド」。 拡大
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小沢 コージ

小沢 コージ

神奈川県横浜市出身。某私立大学を卒業し、某自動車メーカーに就職。半年後に辞め、自動車専門誌『NAVI』の編集部員を経て、現在フリーの自動車ジャーナリストとして活躍中。ロンドン五輪で好成績をあげた「トビウオジャパン」27人が語る『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた』(集英社)に携わる。 YouTubeチャンネル『小沢コージのKozziTV』

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