第4回:「V40」で伊勢・志摩を訪ねる
心も体もよろこぶ旅 2014.09.18 最新ボルボで 爽快ドライブ! ボルボのプレミアム・スポーツコンパクト「V40」で、1000km超のロングドライブへ。観光スポットとして名高い伊勢・志摩を巡る“こだわり旅”を紹介する。楽しむため、クルマにもこだわる
自由な時間ができると、僕はたいてい気ままなひとり旅に出掛ける。しかも移動手段は必ずクルマだ。ふだん、クルマの仕事をしているのに、オフもやっぱりクルマというのは端から見ればとても不思議だろう。けれども、クルマに乗るのが好きでこの道に足を踏み入れた僕にとって、オンもオフもクルマ漬けの毎日は、願ったりかなったりなのだ。
久しぶりに取材の予定がない週末、家族はおのおの用事があるので、これ幸いとひとり旅に出掛けることにした。「さて、どこに行こうか?」と考えながら、SNSのタイムラインを眺めていたら、美しい海と島をバックに愛車を撮影した知人の投稿が目にとまる。位置情報を確認すると「伊勢志摩スカイライン」の文字。東京から片道およそ500km。ひとり旅にはちょうどいい距離だ。
伊勢は、2013年10月に伊勢神宮の「式年遷宮」が行われたこともあり、これまで以上に日本中から注目を集めている。そして、志摩にはかねてから訪ねてみたかった場所があった。こうなればもう迷っている場合ではない。早速志摩に宿を取り、旅の準備を始めることにした。
ここで重要なのは、どんなクルマで出掛けるかということだ。ドライブそのものも楽しみたい僕にとって、つまらないクルマを長時間走らせることになったら、せっかくの休みも台なしである。
単に快適なだけでなく、運転が楽しく、キャビンが上質で、好きな音楽も楽しめるクルマ……ということで僕が選んだのは、2013年に“ボルボ旋風”を巻き起こした「V40」。従来の「C30」「S40」「V50」を統合し、ボルボの新しいエントリーモデルとして登場したこのクルマは、クーペのようなスタイリッシュなエクステリアと、質感の高いインテリア、最先端の安全装備などにより、日本でも高い注目を集めている。その販売の中心となる「V40 T4 SE」が今回のパートナーだ。
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眺めて、走って、味わうドライブ
さて、旅の当日。昼過ぎに志摩に到着できるよう、早朝に東京をたつ。カーナビは、首都高速を抜け、東名、新東名、伊勢湾岸自動車道、伊勢自動車道を乗り継ぐルートを示している。同じ三重県にある鈴鹿サーキットによく足を運ぶからか、目的地までおよそ500kmという数字を見ても、それほど遠く感じないのは職業柄だろう。
幸い往路は渋滞や事故もなく、とても走りやすい交通状況だった。しかも、V40 T4 SEに標準のアダプティブクルーズコントロールのおかげで、アクセルやブレーキの操作に神経を使うことはあまりない。そのうえ、V40の走行安定性は極めて高く、フラットな乗り心地も手伝って、疲れを感じる間もなく伊勢自動車道の終点が近づいてきた。
伊勢西インターを降り、しばらく走ると左手に伊勢志摩スカイラインの入り口が見えてきた。カーナビの案内はそのまま一般道を走るという指示だが、絶景ポイントを求めて有料道路にクルマを進める。パワフルな1.6リッターターボを手に入れたV40は、クルマの動きをしっかり受け止めるサスペンションとあいまって軽快な走りが楽しめる。素直なハンドリングも、ワインディングロードを走るうえではうれしいポイントだ。
交通量の少ない伊勢志摩スカイラインを気持ちよく走っていたら、SNSで見た風景がいきなり視界に飛び込んできた。こんな眺めなら誰だって写真を撮りたくなるな……。スマホじゃもったいない。デジタル一眼を取り出してシャッターを押した。
本当は絶景をのんびり眺めていたいところだが、今日は先を急ぐことにする。実は志摩のホテルに、旧知のグルメライターに教えられた“特別なランチ”を予約していたのだ。
それが、レストラン「ラ・メール クラシック」の「伊勢海老カレー」。志摩観光ホテル クラシックにあるこのレストランは、その名のとおり、伊勢海老やアワビといった海の幸にこだわる名店。そのラ・メール クラシックの隠れた一品がこのカレーで、伊勢海老が丸ごと1尾入っているだけでなく、カレーソースにも伊勢海老の殻や頭がふんだんに使われているというのだ。
テーブルに運ばれた伊勢海老カレーはかなりの迫力! 早速サフランライスにカレーソースをかけてひとくち食べると、なんとも濃厚な伊勢海老の甘みが口の中にふわっと広がり、思わず笑みがこぼれてしまう。こんな優しく深い味わいのカレーを食べるのは初めてだ。目の前に広がる英虞(あご)湾を眺めながら、しばし伊勢海老と挌闘である。
特別な空間に癒やされる
食欲が満たされたところで、本日の宿である賢島温泉「汀渚 ばさら邸」に向かう。客室18室のこだわりの旅館である。そのつくりは日本旅館の概念にとらわれず、和と洋の美しさを追求。といっても、デザインが主張しすぎることはなく、あくまで心地よい空間をつくり上げるためのものであることがすぐにわかる。そんなこだわりの宿に、スタイリッシュなV40 T4 SEはよく似合う。クーペのようなエクステリアがエレガントさを際立たせる一方、スカンジナビアンデザインのインテリアが上質な雰囲気を演出。居心地がいいのは、この宿とよく似ている。
部屋に入ると、大きな窓越しに広がる英虞湾が目に飛び込んできた。この景色があれば、あとは何も要らない……。窓を開け、外に置かれたデッキチェアに身を委ねると、心と体から急速に力が抜けていき、まるで生まれ故郷に戻ったようなくつろぎの時が流れ始めた。少し散歩をしたら、露天風呂からの夕日を楽しもう……。そんなことを考えながら、うとうとする瞬間の心地よさは何物にも代えがたい。
至福の時を過ごした翌朝は、少し早めに宿を離れた。混み合う前にお伊勢参りに向かうためだ。この作戦は成功、V40 T4 SEを伊勢神宮・内宮(ないくう)前の駐車場にすんなりと止めることができた。コンパクトなボディーだけに、周囲の細い通りでも取り回しに優れ、狭い駐車場でも気を遣わずに止められるのがいい。
早速鳥居をくぐり、少しひんやりとした空気を浴びながら、ゆっくりと正宮へと進む。玉砂利を踏む音がなんとも小気味がいい。人影もまばらな正宮にたどり着くころにはすがすがしい気持ちに心がリセットされていた。やはり、早起きしてよかった。
近くの「おはらい町通り」や「おかげ横丁」をのぞき、「赤福」で一息ついたら東京を目指す。伊勢西インターから高速に乗り、早速アダプティブクルーズコントロールをオンに。心地よいジャズの調べに包まれながらの帰路は、爽快そのもの。残り500kmのドライブは、いつになく晴れやかな気分でステアリングを握ることになった。
(文=生方 聡/写真=田村 弥/取材協力=汀渚 ばさら邸)
今回のドライブで出会ったそのほかの風景写真はこちらから
→第5回:伊勢・志摩のドライブシーンを写真で紹介
ボルボV40 T4 SEのスペック
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4370×1800×1440mm
ホイールベース:2645mm
車重:1430kg
駆動方式:FF
エンジン:1.6リッター直4 DOHC 16バルブ ターボ
トランスミッション:6段AT
最高出力:180ps(132kW)/5700rpm
最大トルク:24.5kgm(240Nm)/1600-5000rpm
タイヤ:(前)205/50R17/(後)205/50R17
燃費:13.6km/リッター(JC08モード)
車両本体価格:338万4000円
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生方 聡
モータージャーナリスト。1964年生まれ。大学卒業後、外資系IT企業に就職したが、クルマに携わる仕事に就く夢が諦めきれず、1992年から『CAR GRAPHIC』記者として、あたらしいキャリアをスタート。現在はフリーのライターとして試乗記やレースレポートなどを寄稿。愛車は「フォルクスワーゲンID.4」。