ボルボS60ポールスター(4WD/8AT)/V40 D4 R-DESIGNチューンド・バイ・ポールスター(FF/8AT)
“ヤル気”は本物 2018.01.13 試乗記 電動モデル専門ブランドへの転身を表明したポールスターにとって、最後の“純内燃機関コンプリートカー”となる「S60ポールスター」に試乗。ポールスター製パーツを装備した「V40 D4 R-DESIGN」のチューンドカーと併せ、その古き良き(?)走りをリポートする。最後の“純内燃機関”モデル
2017年秋に、突如として「この先は電動モデル専門のブランドになる」と宣言し、自動車業界を驚かせることになったボルボ傘下のブランド「ポールスター」。すでに、そこから生み出される第1号となる流麗なクーペの姿が発表され、中国にはその生産拠点が建設中というから、彼らの”ヤル気”は本物だ。
一方で現在のところ、このブランドはボルボの公式モータースポーツ・パートナーであり、既存のカタログモデルを対象としたチューニングパーツや、それをベースとしたコンプリートモデルをリリースするなど、いわばメルセデス・ベンツに対するAMGや、BMWに対するM社のような関係にある。
というわけで、ここでお届けするのはどうやらポールスター製コンプリートカーとしては最後の“純内燃機関搭載バージョン”となりそうな「S60/V60ポールスター」の2018イヤーモデルと、日本には導入されていないV40 D4 R-DESIGNをベースに、ポールスター製スペシャルパーツを装備した日本オリジナルの限定モデル「V40 D4 R-DESIGNチューンド・バイ・ポールスター」の2台である。
カーボンパーツでドレスアップ
まずは横置きされた3リッターの直6ターボエンジンを搭載する、世界限定750台のバージョンから販売がスタート。その後、心臓部を開発そのものにも当初からポールスターが深く関係した2リッター4気筒ターボエンジンへと載せ替えられて現在へと至っているのが、S60/V60ポールスターだ。
前述のように“最後のコンプリートカー”とも目されるこれらは、このほど2018イヤーモデルとしての小変更を実施。そんな最新のモデルは世界限定1500台のうち、セダンのS60が20台、ワゴンのV60が30台、日本へと割り当てられることとなった。
367psの最高出力と470Nmの最大トルクを発するエンジンのスペックには従来型から変更がないものの、一見して明らかなのはフロントスポイラーの下部やドアミラーケースなどにカーボンファイバーパーツが新採用されたこと。
S60では、やはり同素材を用いて新たに採用されたリアスポイラーエクステンションも目を引く存在。同デザイン同サイズながら、ホイールにダイヤモンドカットとグロッシーブラック仕上げが施されたこともあって、見た目の新奇性は意外にも大きい。
自分好みのセッティングに
S60を選択し、ステッチのカラーや刺しゅうによるロゴがリファインされ、アクセントとして小さなスウェーデン国旗があしらわれたドライバーズシートに腰を下ろしてのスタート。
走り始めて早々に「あれ? 何か以前よりロードノイズが静かになったかな?」と感じたのは気のせいにはあらず。ミシュランの「パイロットスーパースポーツ」という銘柄は不変でありつつも、そこにはバイブレーションを抑えることでノイズを低減させるという新技術が盛り込まれたというからだ。
シフトパドルとフロアセレクターに特定操作を行うことで選択される「スポーツ+」のモードでは、積極的に低位のギアを用いるシフトプログラムとなってなるほど本格的なスポーツドライビングには好適。一方で、もともとややリニアリティーに欠けるアクセルレスポンスがさらに過敏になってしまうのが玉にキズだ。
街乗りシーンではいささか強めの揺すられ感を伴ったフットワークは、走りのペースが高まるに従って路面からの入力とのバランスが好転するのは従来通り。ちなみに、そんなこのモデルのダンパーは、手動による減衰力可変式。今回は“ハコネの山道で乗るならばこれくらいが適切”という推奨のセッティングが施されていたが、実際に手に入れた暁には、その日の走りのシーンを想定しながら好みのセッティングを探っていく、といった楽しみもありそうだ。
これぞスポーツディーゼル
一方のV40は、アクセルレスポンスやシフトプログラムなどをスポーティーな走りに最適化させる「パフォーマンス・ソフトウエア」やシャシーセット、専用軽量ホイールと「ピレリPゼロ」タイヤから成る「パフォーマンス・タイヤ&ホイールセット」など、これまでも用品として用意されていたポールスター製パーツをほぼフル装備したと考えればよいモデル。
ただし、前述のとおりベースとされたV40 D4 R-DESIGNはこれまで日本には導入されてこなかったグレード。そんなモデル独自の内外装をディーゼルで楽しみたいという人には、その点でも見逃せない一台と言えそうだ。
ソフトウエアの変更で高められたエンジンのパフォーマンスは、最高出力が200psで最大トルクは440Nmと、オリジナルのD4グレードのそれよりも10psと40Nm増し。そんなチューニングが行われても最大トルクを発する回転域は不変で、最高出力に至っては250rpm低いポイントで発生されるというデータ。そこからも予想できた通り、街乗りシーンでも扱いにくさが皆無なのはもとより、そんな日常域でも活発な動力性能を味わわせてくれたのが大きな特徴だ。
特に、すでに1750rpmから発せられる最大トルクはすこぶる強力で、「これぞスポーツディーゼル!」と快哉(かいさい)を叫びたくなるもの。一方で、回転数が高まっても頭打ち感が気にならないのも、この“チューニングエンジン”の魅力のひとつということになる。
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軽快で自在なハンドリング
一方で、なかなか硬派なフットワークの味付けは、意見が分かれそうなポイントでもある。
ハンドリング感覚はなかなかにして軽快。実は前軸の荷重が1tに迫るというフロントヘビー傾向を意識させない、自在感の強いテイストは、前述の動力性能の高さと相まって、再び“スポーツディーゼル”らしさを演じてくれることになっている。
ただし、路面の凹凸を思った以上に細かく拾うその乗り味は、ゲストの立場からすると歓迎せざるものというのも、また正直な印象。付け加えれば、今回のテスト車の総走行距離はまだ1300kmにすぎなかった。もう少し走り込んで“アタリ”がついてくれば、そんなややネガティブな印象は多少なりとも好転することになるかもしれない。
いずれにしても、新世代の骨格を採用した新型「XC60」や「XC40」がデビュー済みという現在、今回紹介した各車がすでに”旧世代”に属するプロダクツであることは否定のしようがない事柄。
加えて、冒頭紹介のようにポールスターが“電動化宣言”を行ったことを考えれば、現状のポールスター各モデルの販売が終了するのも「時間の問題」ということになる。
とはいえ、だからこそ一見の価値アリ! と言いたくなるのもまた事実。“ジャパンオリジナル”のポールスター車であるV40の方は、限定50台と発表されている。
(文=河村康彦/写真=小林俊樹/編集=近藤 俊)
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テスト車のデータ
ボルボS60ポールスター
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4670×1865×1480mm
ホイールベース:2775mm
車重:1730kg
駆動方式:4WD
エンジン:2リッター直4 DOHC 16バルブ ターボ+スーパーチャージャー
トランスミッション:8段AT
最高出力:367ps(270kW)/6000rpm
最大トルク:470Nm(47.9kgm)/3100-5100rpm
タイヤ:(前)245/35ZR20/(後)245/35ZR20(ミシュラン・パイロットスーパースポーツ)
燃費:12.2km/リッター(JC08モード)
価格:859万円/テスト車=867万3000円
オプション装備:メタリックペイント(8万3000円)
テスト車の年式:2017年型
テスト開始時の走行距離:--km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター(ハイオクガソリン)
参考燃費:--km/リッター
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ボルボV40 D4 R-DESIGNチューンド・バイ・ポールスター
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4370×1800×1440mm
ホイールベース:2645mm
車重:1540kg
駆動方式:FF
エンジン:2リッター直4 DOHC 16バルブ ディーゼル ターボ
トランスミッション:8段AT
最高出力:190ps(140kW)/4250rpm
最大トルク:400Nm(40.8kgm)/1750-2500rpm
タイヤ:(前)235/35R19 91Y/(後)235/35R19 91Y(ピレリPゼロ)
燃費:20.0km/リッター(JC08モード)
価格:499万円/テスト車=507万3000円
オプション装備:メタリックペイント(8万3000円)
テスト車の年式:2017年型
テスト開始時の走行距離:1279km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター(軽油)
参考燃費:--km/リッター

河村 康彦
フリーランサー。大学で機械工学を学び、自動車関連出版社に新卒で入社。老舗の自動車専門誌編集部に在籍するも約3年でフリーランスへと転身し、気がつけばそろそろ40年というキャリアを迎える。日々アップデートされる自動車技術に関して深い造詣と興味を持つ。現在の愛車は2013年式「ポルシェ・ケイマンS」と2008年式「スマート・フォーツー」。2001年から16年以上もの間、ドイツでフォルクスワーゲン・ルポGTIを所有し、欧州での取材の足として10万km以上のマイレージを刻んだ。
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