第365回:【Movie】やっぱり「セアト」が人気!?
大矢アキオ 捨て身の路上調査員「ポルトガル・リスボン編」
2014.09.19
マッキナ あらモーダ!
■「南ヨーロッパ」とひとくくりにすべからず
路上のクルマをカウントすることによって、雑誌ではわからないリアルな自動車生態系を視覚体験していただく「大矢アキオ 捨て身の路上調査員」シリーズ。今回はポルトガルの首都リスボン編である。
まずは参考までに、ポルトガル国内におけるブランド別自動車生産台数(2013年)を見てみよう。
フォルクスワーゲン(VW)がダントツの8万5490台、VWグループでスペインを本拠とするセアトが1万7524台、プジョーが1690台、そしてシトロエンが1350台だ。
次に最新の2014年8月国内新車登録台数を見てみよう。1位はポルトガルにアッセンブリーラインがある「VWポロ」(710台)、2位は「フィアット・プント」(586台)、そして「ルノー・クリオ」が3位に続く。
ちなみに8月はレンタカー需要が大きかったという。フィアット・プントが車齢9年を迎えるのに2位に食い込んでいるのも、多分にその影響だろう。
さて、実際の路上観察である。スペインのセアトがもっと目に入るかと想像していたが、それほどでもなかった。前述の生産台数を映しだすかのように、同じVWグループでも今やVWブランドのほうが圧倒的な存在感だった。
以下はリスボン市内で午前10時台に10分間計測した結果である。
ルノー:18台
VW、メルセデス・ベンツ:各16台
オペル:13台
フォード、プジョー:各9台
セアト、シトロエン、BMW、アウディ:各8台
フィアット:7台
トヨタ:5台
ヒュンダイ、日産:各3台
キア、ホンダ、ジープ、ダチア:各2台
マツダ、三菱、レクサス、シボレー、ダッジ、スズキ、MINI:各1台
サンルーフやオープンボディー、そして退色しやすい赤いクルマがまれなのは、太陽が強い国ならでは。イタリアと共通である。
交通マナーはどうか。レストランで隣り合ったおばさんは「ポルトガルで売ってるクルマは、方向指示器がオプションなのよ」と、外国人のボクに冗談をかます。ウインカーを出さないドライバーが多いということだ。ワッハッハッ。イタリアと同じである。
いっぽうで毎回ボクが横断歩道を渡ろうとするやいなや、一台の例外もなくクルマは止まってくれた。こちらは、ボクが住む中部イタリアでは考えられぬ現象である。
ついでにいうと、地下鉄の駅や車内は、ミラノやローマのそれからすると、信じられないくらい清潔である。
「ラテン諸国」とか「南ヨーロッパ」とか、ひとくくりにするのがいかに乱暴かを、リスボンは教えてくれる。
(文と写真=大矢アキオ<Akio Lorenzo OYA>)
【Movie】リスボン空港ターミナル付近の様子
【Movie】市街地の様子
(撮影と編集=大矢アキオ<Akio Lorenzo OYA>)
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大矢 アキオ
コラムニスト/イタリア文化コメンテーター。音大でヴァイオリンを専攻、大学院で芸術学を修める。日本を代表するイタリア文化コメンテーターとしてシエナ在住。NHKのイタリア語およびフランス語テキストやデザイン誌等に執筆活動を展開。NHK『ラジオ深夜便』では、22年間にわたってリポーターを務めている。『イタリア発シアワセの秘密 ― 笑って! 愛して! トスカーナの平日』(二玄社)、『ザ・スピリット・オブ・ランボルギーニ』(光人社)、『メトロとトランでパリめぐり』(コスミック出版)など著書・訳書多数。最新刊は『シトロエン2CV、DSを手掛けた自動車デザイナー ベルトーニのデザイン活動の軌跡』(三樹書房)。