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第261回:「Sクラス セダン」に情熱をプラス
「メルセデス・ベンツSクラス クーペ」のチーフデザイナーに聞く

2014.10.24 エディターから一言
「Sクラス クーペ」のチーフデザイナー、ロバート・レズニック氏。
「Sクラス クーペ」のチーフデザイナー、ロバート・レズニック氏。 拡大

「モダンラグジュアリー&インテリジェンス」をコンセプトに掲げる、メルセデスの新しいフラッグシップ「Sクラス クーペ」。その優雅で瀟洒(しょうしゃ)なスタイリングに込められた作り手の思いとは? チーフデザイナーのロバート・レズニック氏に聞いた。

発表会場にて。「Sクラス クーペ」の車名は18年ぶりの復活となる。
発表会場にて。「Sクラス クーペ」の車名は18年ぶりの復活となる。 拡大
「Sクラス クーペ」のリアビュー。
「Sクラス クーペ」のリアビュー。 拡大
ロバート・レズニック氏は、1971年スロベニア生まれ。独プフォルツハイム大学卒。フォルクスワーゲン、キアを経て、2009年9月にダイムラーへ。現在はメルセデス・ベンツのチーフデザイナーを務める。
ロバート・レズニック氏は、1971年スロベニア生まれ。独プフォルツハイム大学卒。フォルクスワーゲン、キアを経て、2009年9月にダイムラーへ。現在はメルセデス・ベンツのチーフデザイナーを務める。 拡大

ピュアなカタチ、完璧なバランス

――メルセデス・ベンツには、30を超える車種がラインナップされます。それぞれの個性はどのように打ち出していますか?

レズニック:2年前からメルセデス・ベンツの新しいデザインが始まりました。進歩的な「Aクラス」や「CLAクラス」。伝統的な「Eクラス」「Cクラス」そして「Sクラス」。それぞれ独自のポートフォリオを持っています。
Sクラス クーペは、伝統的ではあるけれど、セダンほど保守的ではありません。例えばリアビュー。セダンのナンバープレートはバンパー上部の真ん中にあります。一方、Sクラス クーペは、バンパーの下にナンバープレートが配されます。

――Sクラス クーペは、モデルライフの長いクルマです。デザインで注意したことは?

レズニック:プロポーションが大事です。全長5mを超えるクーペはなかなかありません。ピュアなカタチにするよう意識し、完璧なバランスを求めました。Sクラス クーペのキャビンは、ボディーの後方に置かれます。FRならではのプロポーションです。

カーデザイナーは最高の仕事

――どうしてカーデザイナーになったのですか?

レズニック:もちろん、世界で一番いい仕事だからです! 子供の頃から、いつもスケッチをしていました。風景や人物ではなく、テクニカルなものを。オートバイをスケッチして、違うエキゾーストパイプを描いてみたり……。ただ、スケッチの練習はできますが、才能は身につけられません。
飛行機のデザインも興味深いですが、クルマほどデザインの自由度はありません。モーターボートもそうです。クルマは6年ごとに新車が発表され、常に新しいことにチャレンジできます。何かを作る機会が与えられます。だから、世界で最高の仕事なのです。

――最近のメルセデスの、尻下がりのデザインは、あなたのボスの意向ですか? それともマーケティングの結果ですか?

レズニック:クルマのデザインに“偶然”というものはないのです。4年かかって、1台のクルマをデザインします。最初は20人のデザイナーがいて、競作します。何百ものデザインから、10台のクオータースケールのモデルをつくります。そのなかから4つが選ばれ、実物大のモデルが作られます。もちろん、ひとりひとりの個性が反映されています。

――ハイデッキ(トランク上面が高い)スタイルを採用したモデルもありましたか?

レズニック:そういう方向性もありました。ただ、エアロダイナミクスを考えると、リアのショルダーラインが低いほうがいい。「CLSクラス」にSクラス、そしてCクラスと、どれも低い位置にあります。CLAクラスもそうです。
ただ、空気力学だけを追究していくと、カッコ悪くなってしまうのです。

――市販車のエアロダイナミクスは、新しい段階に入っているのですか?

レズニック:2004年にCLSを開発したときに、大変低いショルダーを採用しました。そして風洞実験をしてみたら、ラッキーなことに、エアロダイナミクスが非常にいいという結果が出たのです。
スーパーコンピューターの発達が大きいと思います。従来の手法では、CLSの良好な結果を説明できなかったでしょうから。ボディーに沿ってながれる空気が、いわばエアカーテンになって、抵抗になる空気を跳ね飛ばしていたのです。

「カーデザイナーは常に新しいことにチャレンジできる。最高の仕事だ」とレズニック氏。
「カーデザイナーは常に新しいことにチャレンジできる。最高の仕事だ」とレズニック氏。 拡大
ヘッドライトには47個のスワロフスキークリスタルを配した。
ヘッドライトには47個のスワロフスキークリスタルを配した。 拡大
「リアのショルダーラインは低いほうが空力的に有利」とレズニック氏。
「リアのショルダーラインは低いほうが空力的に有利」とレズニック氏。 拡大
発表会では「Sクラス クーペ」の実車を使ってエクステリアデザインのポイントを解説した。
発表会では「Sクラス クーペ」の実車を使ってエクステリアデザインのポイントを解説した。 拡大

革新的なクルマが生まれる土壌がある

――実用性とスタイルの妥協で苦労したことは?

レズニック:アドバンストデザインの部門と違って、われわれは市場に出すクルマをデザインしています。エンジニアたちとコストの話もします。最近では、歩行者保護も意識しないといけない。
毎日が戦いです。エンジニアたちとは、「これくらい高くしないと」「でもカッコ悪いじゃない」「そうしないと機能しない」「クーペなのだから、カッコよくしないと買ってもらえない」といった具合です。
私は他の自動車メーカーでの経験もあります。その経験を踏まえて言うのですが、メルセデス・ベンツのいいところは、機能とデザインの間で矛盾が生じた場合に、エンジニアがキチンと解決しようとしてくれることです。「どうすればデザインを実現できるのか」と考えてくれる。革新的なクルマが生み出される由縁です。

――Sクラス クーペのDNAは、何だと考えていますか?

レズニック:プロポーションのよさ。速く、長距離の運転ができるグランツーリスモ性。お金で買える全ての最新技術が投入されている。究極のラグジュアリー……。
Sクラスは特別なクルマです。そしてSクラスを情熱的なカタチにしたのが、Sクラス クーペです。
Sクラス クーペには、Bピラーがありません。運転しているときに窓を下ろすと、オープンカーのような開放感を得られます。
万が一の場合を考えて必要な強度を持たせるのに、コストがかかる。工学的にも難しい。でも、メルセデス・ベンツのクーペには、それが期待されているのです。
他のメーカーにはできない。追加のお金を払ってでも乗りたい。そう思わせるのが、メルセデス・ベンツSクラス クーペなのです。

(文=青木禎之<Office Henschel>/写真=webCG)

発表会で「Sクラス クーペ」のデザインを解説するレズニック氏。
発表会で「Sクラス クーペ」のデザインを解説するレズニック氏。 拡大
「Sクラス クーペ」のサイドビュー。
「Sクラス クーペ」のサイドビュー。 拡大
「Sクラスは特別なクルマ。そのSクラスを情熱的なカタチにしたのがSクラス クーペだ」とレズニック氏。
「Sクラスは特別なクルマ。そのSクラスを情熱的なカタチにしたのがSクラス クーペだ」とレズニック氏。 拡大
 
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