キャデラック・エスカレード(4WD/6AT)
豊かさの息づくクルマ 2015.03.05 試乗記 アメリカを代表するプレミアムブランド、キャデラックのラグジュアリーSUV「エスカレード」がフルモデルチェンジ。巨大なボディーに宿る、アメリカ車ならではの魅力に触れた。アメリカ文化を映す鏡
今やアメリカにおいて標準的なショーファードリブンカーといえばこのエスカレードのようなモデルである。キャデラックの場合、1996年にフルサイズサルーン「フリートウッド ブロアム」の生産を終了したことも関係しているのだろう。が、ライバルのリンカーンとて、2011年まで発売を続けていた「タウンカー」にとって代わり、ハイヤーには「ナビゲーター」がメインで使われている。
フルフレームシャシーの古典的なFRサルーンに対すれば、乗降性や居住性、走破性やセキュリティーなどの面で確かにこの車系は有利だ。日本での「アルファード」の例を挙げるまでもなく、多くの市場では礼式やしきたりみたいなものをクルマに強くは求めなくなりつつあるが、ことアメリカにおいては背高で見晴らしもよく架装も利くそれらが重用されるのだろう。考えてみれば米国大統領の乗る専用車も、車体こそキャデラックなれど車台にはGMの大型ピックアップ「コディアック/トップキック」系のそれを用いて装甲車も真っ青の仕立てとなっている。皮肉にもそれは21世紀のアメリカを象徴するような存在だ。
しきたりは問われずとも、クルマは相変わらず世を映す鏡。エスカレードはそのステータス性から、セレブリティーと呼ばれる方々のパーソナルカーとしても定着している。パパラッチ写真しかり、ミュージックPVしかり、頻繁に見かけるその姿に、アメリカの文化風俗がわかりやすく映しだされていると思うのは僕だけではないだろう。
グローバルブランドへの変革の最中にあるキャデラックにおいて、ご当地事情が最も色濃く表れているエスカレードは、フルモデルチェンジを受けて14年モデルより4代目となった。以来、本国でも引く手あまたで品薄状態が続いているというそのモデルが、満を持して日本に上陸する。
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