三菱eKスペース カスタムT e-Assist(FF/CVT)/eKスペースG e-Assist(FF/CVT)
自己アピールを磨きましょう 2015.05.26 試乗記 三菱が軽スーパーハイトワゴン「ekスペース」に年次改良を実施。燃費の改善やカラーバリエーションの追加など、細部にわたり改良が施された同車の実力に触れるとともに、解決すべき課題を探った。存在感が示せていない
三菱自動車と日産自動車が50%ずつ出資することで誕生したNMKV(Nissan Mitsubishi Kei Vehicle)。その第2弾モデルとして、2014年2月に発表されたのが三菱ekスペースである。
“イケイケドンドン”で大幅な需要拡大が望める軽自動車マーケットであるからこそ(最近は増税の反動減が見られるが)、そこでの成長を懸け、将来を見据えた投資として設立されたNMKV。当初の話題性は十分だったが、その後、勢いのある話はそれほど聞こえてこない。それもそのはず、軽自動車の世界ではスズキ、ダイハツの2強にホンダが加わり、厳しい競争が繰り広げられているのだから、NMKVも決して楽ではない。さらに三菱にとってつらいのは、基本的に同じ商品である「日産デイズ ルークス」と比べても、認知度を含めてやや水をあけられている点だ。日産のマーケティングのうまさが差をつけた格好といえるだろう。
しかし、“規格外”(軽自動車の高さに対する概念という意味合い)の存在である「ダイハツ・ウェイク」を除けば、高さが売りの軽スーパーハイトワゴンの中で、「ホンダ N-BOX」に次ぐ1775mmという全高を持つekスペースには優位性があるはず。発売から約1年3カ月、その魅力をあらためて検証するとともに、「今後のekスペースに何が必要なのか」を考えてみた。
流行は捉えているものの
今回の年次改良の目玉は、ボディーカラーの強化である。ホンダの「N」シリーズが先鞭(せんべん)をつけたツートンカラー仕様を、三菱では「2トーンスタイル」とネーミング。ルーフとドアミラーを、ボディーと異なる色で仕上げている。
カラーの専門家でもない筆者が言うのもなんだが、そのセンスは結構いいと思う。特に標準モデルについては、「ショコラブラウンパール/ホワイトパール」はシックな雰囲気だし、「サクラピンクメタリック/ホワイトパール」も派手すぎず、それでいてどんなシーンにも似合いそうなたたずまいを持っている。一方、カスタムの方には「レッドメタリック/ブラックマイカ」「ホワイトパール/ブラックマイカ」の2パターンを設定しており、モノトーンと合わせると、カラーバリエーションはカスタムが8種類、標準モデルが9種類となる。
色の数については“提案”があるので最後に記すとして、気になるのはちょっと価格が高いこと。サクラピンクメタリックの2トーンスタイルは5万4000円と、ほぼ他社と同水準と考えていい。しかし、ショコラブラウンのそれは7万5600円、カスタムのホワイトパール/ブラックマイカにいたっては9万1800円とかなり高額だ。ただ、きちんと説明すると、カスタムのそれについてはダーククロムメッキの外装パーツをセットにした「アーバントーンスタイル」(モノトーン車で選択すると1万6200円)を含んでの価格となる。まあそれでも車両価格の5%前後をこのオプションに支払うのは、消費者にとってはハードルが高い。
もちろんホンダの例にもあるように、このカラーが売れれば量産効果による価格ダウンも期待できる。色はクルマ選びの重要なポイントゆえ、安易にツートンにしました! というのではなく、大事に育ててほしいのである。
使えば納得、気の利いた工夫が満載
前述したように、ekスペースはこのカテゴリーの中では全高が高い方だ。さらにいえば、室内高は1400mmと、よりノッポなN-BOXと同じ数値である。260mmもスライドする5:5分割の可倒式リアシート、天井に設置されたリアサーキュレーターなど、大空間のメリットをより有効活用できる仕掛けは、ライバルよりeKスペースの方が充実している。実際、リアシートのスライド量は「ダイハツ・タント」で240mm、N-BOX(改良後)で190mm、「スズキ・スペーシア」で170mm。限られた空間を有効活用することはもちろんだが、子供が座ったリアシートを最前部にスライドさせることで、前席からのコミュニケーションが図りやすくなるという恩恵もある。この辺り、eKスペースにはまだまだ十分な優位性がある。
またN-BOXにはまね(?)されてしまったが、助手席の後ろのテーブルなども使ってみればその便利さがわかるし、先述のリアサーキュレーターのおかげでエアコンの利きも早い。その実は室内の空気を循環する単なる送風装置なのだが、撮影日は最高気温30度の真夏日だったこともあり、恩恵を存分に味わえた。またこのサーキュレーター、前方(つまり前席側)には小型のポケットが付いており、ウエットティッシュなどをしまうことができる。子供がちょっと飲み物をこぼした時にサッと取り出せるなど、気が利いているのである。
ゆったりと走るのがベスト
パワーユニットについては、アイドリングストップ機構の作動速度領域を従来の9km/hから13km/hに拡大したことで(自然吸気<NA>モデルのみ)、FF車では従来モデルより0.2km/リッター燃費が改善。またターボ車にも待望のアイドリングストップ機構を搭載することで、FF車、4WD車を問わず、1.8km/リッター燃費を向上させている(いずれもJC08モード)。
実際にNA車に乗ると、アイドリングストップの作動は頻繁に行われるし、またエンジン停止時のショックも違和感のない程度におさめられている。加速についても、普段の街乗りであれば十分。もっとスピードが欲しいとアクセルを踏み込めばCVT特有のうなるような音が発生するが、この辺は使い方次第だろう。一方ターボ車では、エンジンマネジメントの制御領域の改良により、発売時に指摘を受けていたアクセルオフ時のギクシャク感が改善されている。ターボ車ならではの加速に加え、変なクセがなくなったこともあり、「高速道路もたまには乗るかも」という人にはこちらがオススメグレードとなる。
足まわりに関しては、これだけ全高や重心の高いクルマゆえ、ハイスピードでコーナーに入るとか、そういう走りはしないほうがいい(当たり前だが)。NA車のタイヤは燃費に加えて乗り心地重視で、サイドウォール部が柔らかい。一方、ターボ車はタイヤのスペックに頼っている部分があるのか、コーナリング時の姿勢はちょっと安定する反面、乗り心地はNA車よりゴツゴツする。いずれにせよ、前述したようにあくまでも普段の足としての使い方がベスト。車内の大空間に似合う、ゆったりとした走りがこのクルマには合っている。
ブランドの認知こそが最優先
こうしてあらためて乗ると、実はこのクルマ、結構よくできている。発売時には設定のなかった先進安全技術についても、簡易型とはいえ「e-Assist」を2014年12月に設定しているし、これまでに解説してきたように、普段の足としては抜群の使い勝手のよさを持っている。
でも、それほど売れていないし、話題に上がることも少ない。
俯瞰(ふかん)してみると「いいクルマだけど、よそのクルマはもっといい」のである。ちょうどこの原稿を書いている時に、スズキがスペーシアにステレオカメラ方式の先進安全技術を搭載した。ダイハツも赤外線に単眼カメラを組み合わせた新しいシステムの採用を進めており、三菱はライバルとの差をなかなか詰められないでいる。
また宣伝に予算が回せないなど、製品以外の事情もあるのだろう。燃費に関してはカタログ数値での差はそれほど気にしなくていいとは思うが、似たようなシステムを持つスズキが「エネチャージ!」といって派手にアピールしているのに対し、三菱の宣伝は正直、地味。せっかくのいい素材(クルマ)をアピールしきれていないのではないか。
では、どうするか? ハード部分はおいそれと改良というわけにもいかない。そこで提案だが、イメージを浸透させるためにも“ボディーカラーの定期的なリリース”はどうだろうか。今回のツートンカラーも含め、eKスペースの色のセンスはなかなかいい。ライバルのN-BOXのように18色(カスタムを含む)も設定する体力は今のNMKVにはないだろうが、ならば「日本の四季」に合わせて、特別なカラーを2種類ずつ、特別仕様車として出すのである。このクルマのメインターゲットは女性。「三菱のクルマってカラーセンスいいよね」「また季節が変わると新しいカラーのクルマが出るのかな」と思われればしめたものだ。ekスペースはいいクルマゆえに、正直もったいない。サントリーの緑茶「伊右衛門」だって四季に合わせて味を変えるという。三菱の開発担当者の方には話をさせていただいたが、ぜひご検討いただけると幸いである。
(文=高山正寛/写真=荒川正幸)
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テスト車のデータ
三菱eKスペース カスタムT e-Assist
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=3395×1475×1775mm
ホイールベース:2430mm
車重:960kg
駆動方式:FF
エンジン:0.66リッター直3 DOHC 12バルブ ターボ
トランスミッション:CVT
最高出力:64ps(47kW)/6000rpm
最大トルク:10.0kgm(98Nm)/3000rpm
タイヤ:(前)165/55R15 75V/(後)165/55R15 75V(ブリヂストン・エコピアEP150)
燃費:24.0km/リッター(JC08モード)
価格:175万8240円/テスト車=207万4470円
オプション装備:2トーンスタイル<レッドメタリック/ブラックマイカ>(7万2000円) ※以下、販売店オプション マルチアラウンドビューモニター(3万2400円)/ETC車載器(2万4451円)/専用ワイド2DINナビゲーション<ハイスペック>(16万6730円)/フロアマット(2万649円)
テスト車の年式:2015年型
テスト開始時の走行距離:---km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:----km
使用燃料:--リッター
参考燃費:--km/リッター
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三菱eKスペースG e-Assist
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=3395×1475×1775mm
ホイールベース:2430mm
車重:930kg
駆動方式:FF
エンジン:0.66リッター直3 DOHC 12バルブ
トランスミッション:CVT
最高出力:49ps(36kW)/6500rpm
最大トルク:6.0kgm(59Nm)/5000rpm
タイヤ:(前)155/65R14 75S/(後)155/65R14 75S(ダンロップ・エナセーブEC300)
燃費:26.2km/リッター(JC08モード)
価格:144万7200円/テスト車=171万2490円
オプション装備:2トーンスタイル<ショコラブラウンパール/ホワイトパール>(5万4000円)/運転席側ワンタッチ電動スライドドア(4万3200円) ※以下、販売店オプション ETC車載器(2万1211円)/専用ワイド2DINナビゲーション<ベーシック>(12万6230円)/フロアマット(2万649円)
テスト車の年式:2015年型
テスト開始時の走行距離:---km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:----km
使用燃料:--リッター
参考燃費:--km/リッター

高山 正寛
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