トヨタ・シエンタX 7人乗り(FF/CVT)/シエンタ ハイブリッドG 6人乗り(FF/CVT)
ラテン風味の掘り出し物 2015.08.04 試乗記 “癒やし系”から“ラテン系”にイメージチェンジ? フルモデルチェンジを受けたトヨタのコンパクトミニバン「シエンタ」の魅力を、小沢コージがリポートする。ま、負けたぜ……このイケイケムード!
むぅ、何なんでしょうこの不思議な敗北感。不躾オザワ、なにげにかるーく打ちのめされた感ありますわ。ナメていた相手に予想外の逆襲にあったというか(苦笑)。そ、この2代目シエンタに。
そもそも初代シエンタは、もっとポカポカでフワフワした存在だったはず。丸目の癒やし系マスクで全長4mチョイのコンパクトサイズでありながら、大きめの両側スライドドアを持った牧歌的な3列シートミニバン。走りも特別キレはなかったし、同じく牧歌的な「ポルテ」の延長線上にあったような。振り返るとプラットフォームはフロントが「ファンカーゴ」系でリアが「カローラスパシオ」系。しっかり感はあった気もしますが、特にスポーティーではなかった。
ところが、新型はCMにハメス・ロドリゲスに滝川クリステルのイケメン美女ラテンコンビですと! イメージカラーは蛍光イエローで顔はツンととがったサカナ顔。オマケにライトからバンパーにヒゲのようなモールが加わり、パッと見、フレディ・マーキュリー顔! マスオさんがいきなりイケイケなラテンパパになってしまったようではあーりませんか。ま、負けましたよ不躾オザワも。
それでいて、中身は驚くほどマジメだから、やんなっちゃう。全長はわずかに延びているものの、今なお4.2m台というコンパクトさを維持。運転が苦手なヤングママはもちろん、孫を乗せたいおじいちゃんおばあちゃんにもウケるにちがいない。
しかも、室内はことのほか広い。身長176cmのオザワが座って1列目シートのポジションを合わせ、2列目を一番前にスライドさせる。すると2列目と3列目にオザワがほぼピッタリ座れる。特に3列目はひざ下に十分な高さがあって、窮屈な体育座りをしなくて済む。
そして、シエンタといえばやっぱり3列目のダイブイン格納だ。折りたたんだ3列目を2列目の下に入れられるって機能で、「でも実際やったら面倒くさくないか?」と思っていたら、これが全然オッケー。結果、4~5人乗りの状態でも575リッターの巨大カーゴスペースが得られる。
あとはハイブリッドとガソリン両方選べるパワートレインよね。個人的に気に入ったのは新作1.5リッターガソリンエンジンの方。アトキンソンサイクルなんだけど、トルクがエンジン回転数の低い状態からでも十分に出ている。回してもさほど気持ち良くはないけど、使いやすい。かたやハイブリッドは、ちょっとトロいけど普通に街中走ってメーター読み15km/リッター台の燃費は素晴らしい! それに、ボディーの剛性感も意外に高かった。
なにより圧倒的なのは168万円から始まるガソリン車の価格。コッチも燃費悪くなさそうだし、オザワならやっぱこっちでしょうかねぇ?
(文=小沢コージ/写真=田村 弥)
【スペック】
シエンタX 7人乗り
全長×全幅×全高=4235×1695×1675mm/ホイールベース=2750mm/車重=1320kg/駆動方式=FF/エンジン=1.5リッター直4 DOHC 16バルブ(109ps/6000rpm、13.9kgm/4400rpm)/トランスミッション=CVT/燃費=20.2km/リッター (JC08モード)/価格=181万6363円
シエンタ ハイブリッドG 6人乗り
全長×全幅×全高=4235×1695×1675mm/ホイールベース=2750mm/車重=1380kg/駆動方式=FF/エンジン=1.5リッター直4 DOHC 16バルブ(74ps/4800rpm、11.3kgm/3600-4400rpm)+交流同期電動機(61ps、17.2kgm)/トランスミッション=CVT/燃費=27.2km/リッター (JC08モード)/価格=232万9855円

小沢 コージ
神奈川県横浜市出身。某私立大学を卒業し、某自動車メーカーに就職。半年後に辞め、自動車専門誌『NAVI』の編集部員を経て、現在フリーの自動車ジャーナリストとして活躍中。ロンドン五輪で好成績をあげた「トビウオジャパン」27人が語る『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた』(集英社)に携わる。 YouTubeチャンネル『小沢コージのKozziTV』
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