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【スペック】全長×全幅×全高=4215×1695×1715mm/ホイールベース=2740mm/車重=1400kg/駆動方式=FF/1.5リッター直4SOHC8バルブ(88ps/5400rpm、13.5kgm/4200rpm)、モーター(14ps/1500rpm、8.0kgm/1000rpm)/価格=232万6500円(テスト車=263万7300円/車体色プレミアムプラキッシュパール=3万1500円/Honda HDDインターナビ+リンクアップフリー+ETC=27万9300円)

ホンダ・フリードハイブリット ジャストセレクション 7人乗り(FF/CVT)【試乗記】

邪魔にならないミニバン 2011.11.24 試乗記 下野 康史 ホンダ・フリードハイブリット ジャストセレクション 7人乗り(FF/CVT)
……263万7300円

ホンダのコンパクトミニバン「フリード」に、ハイブリッドモデルが追加された。24.0km/リッター(10・15モード)の燃費性能を誇る、多人数向けHVの乗り味は?
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ちょうどいいホンダ

ホンダ・ミニバン初のハイブリッドが「フリード」から登場した。「フィット」ベースのコンパクトミニバン、フリードはホンダ自身も驚いているヒット作である。2008年5月の発売から3年間で27万台が売れた。ホンダ車全体のなかでも、フィットに次ぐセカンドベストセラーである。マイナーチェンジを機に、“ちょうどいい”ミニバンにもハイブリッドを載せて商品力アップというわけだ。

パワーユニットは1.5リッターのIMA。4気筒SOHCのエンジン本体は「CR-Z」や「インサイト エクスクルーシブ」に乗る4バルブではなく、2バルブユニット。1.3リッターの「インサイト」や「フィットハイブリッド」のエンジンを今回、1.5リッターに拡大したものだ。といっても、エンジンの出力は1.3リッターと変わらない。最大トルクが12.3kgmから13.5kgmに向上したのが目立つ違いである。

エンジンをアシストするIMAシステムもこれまで通りだ。現行のホンダハイブリッドは1.3リッターでも1.5リッターでも、モーターは同一スペックである。駆動用バッテリーも、形状を含めて同じものが使われている。高い汎用(はんよう)性を持つのがホンダIMAの特徴といえる。

じゃあ、そのうち「ステップワゴン」にもこのユニットが? とエンジニアに聞くと、それはないそうだ。ミニバンとなると、1.5リッターでも今のIMAではフリードが限界だそうだ。

試乗したのは7人乗りの「ジャストセレクション」。「フリードスパイクハイブリッド」にもちょっと乗った。

1.5リッターエンジンとモーターが組み合わされたハイブリッドシステム「IMA」。燃費は10・15モード燃費で24.0km/リッター、JC08モードでは21.6km/リッター。
1.5リッターエンジンとモーターが組み合わされたハイブリッドシステム「IMA」。燃費は10・15モード燃費で24.0km/リッター、JC08モードでは21.6km/リッター。
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運転席は、ハイトアジャスター付き。シートベルトの取り付け位置を変更できる「アジャスタブル シートベルトショルダー アンカー」も装備される。
運転席は、ハイトアジャスター付き。シートベルトの取り付け位置を変更できる「アジャスタブル シートベルトショルダー アンカー」も装備される。
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「フリード」は従来、5人乗り、7人乗り、8人乗りが設定されていたが、新たに6人乗り、7人乗りの2タイプとなった。
「フリード」は従来、5人乗り、7人乗り、8人乗りが設定されていたが、新たに6人乗り、7人乗りの2タイプとなった。
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トルクアップの効果てきめん

車重は1400kg。7人乗りのフリードハイブリッドは1.3リッターハイブリッドのフィットより270kg、フィットシャトルよりも200kgほど重い。ホンダ・ハイブリッド随一のヘビー級は果たしてちゃんと走るのか? というのが興味のポイントだろうが、ちゃんと走る。というか、ひとり乗車なら、十分以上に元気なホンダ車である。1.5リッター化によるトルクアップの効果てきめんだ。

エンジンは基本回りっぱなし。“電動アシストエンジン”ともいえるホンダIMAは、ふつうのエンジン車と変わらない自然さを持つのが特徴だ。さらに、モーター系統を変えずにエンジン排気量だけを大きくすれば、アシスト感を含めたモーターのプレゼンスは相対的にますます小さくなる。フリードハイブリッドもまさにそうで、アイドリングストップしなければなんらふつうのクルマと言っていい。

ニッケル水素電池は3列目シートの床下に置かれている。体重56kgの人がいつもサードシートに座っているようなものだから、重量バランスもこれまでのフリードとは違うはずだが、とくになんの違和感も覚えなかった。

「オデッセイ」よりも17cm全高の大きい背高ミニバンなのに、カーブでコロンといっちゃいそうな不安定さとは無縁なところもこれまでどおりである。ボディーが傾いても、ねばっこく路面を捉えるサスペンションの豊かな"ストローク感"は、「ルノー・カングー」をほうふつさせる。乗り心地のよさも相変わらずだ。

ハイブリッドモデルには、燃費状況によりメーター内の色が変化するコーチング機能や、エコ運転度を葉っぱの数で示すティーチング機能が備わる。
ハイブリッドモデルには、燃費状況によりメーター内の色が変化するコーチング機能や、エコ運転度を葉っぱの数で示すティーチング機能が備わる。
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荷室床下に備わるバッテリーユニット。その周辺の頑丈そうなフレームは、ボディーの剛性低下を防ぐためのもの。
荷室床下に備わるバッテリーユニット。その周辺の頑丈そうなフレームは、ボディーの剛性低下を防ぐためのもの。
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ホンダ・フリードハイブリット ジャストセレクション 7人乗り(FF/CVT)【試乗記】の画像 拡大

たいへんよくできました

駆動用バッテリーの搭載で、3列目シート下の床は65mm上がった。だが、サードシートのイスの脚をその分、短くしたので、居住性に影響はない。「トヨタ・ノア/ヴォクシー」と比べてみると、フリードのボディー外寸は38cm短く、14cm低い。それを考えれば、3列7席の広さは「たいへんよくできました」である。

フリードスパイクハイブリッドにもちょっと乗った。リアクオーターウィンドウをつぶした後席が気になったので、リアシートに座った。なんですか、この広さは。しかも、座面が前席よりも一段高く、ドライバーが"しもじも"に見える。子どもも喜びそうだ。

もうひとつ、フリードシリーズ全体にいえる美点は、ダッシュボードが低くて、見晴らしにすぐれ、運転がしやすいところだ。低められたダッシュボードは垂直の壁面を持たず、机の平面にスイッチ類が並んでいるようなレイアウトだ。これも新鮮でいい。

今回、燃費は測れなかったが、10・15モード値は24.0km/リッター。純ガソリン・フリード(17.0km/リッター)の4割増しだが、30.0km/リッターのフィットには水を空けられる。

でも、フリードというクルマ、ミニバンに食指が動いたためしがない筆者でも、乗るたびにいいなあと思う。家族4人で、帰る田舎もないから、ミニバンは本当に必要がないのだが、「フォルクスワーゲン・ゴルフ」と同じ全長のフリードは"邪魔にならないミニバン"だと思う。ハイブリッドもまったく邪魔にならないが、ただし、同じ7人乗りジャストセレクションで比べると、“ハイブリッド代”は約44万円と、それなりだ。ちなみに、118psエンジンで、車重も100kg近く軽い1.5リッター純ガソリン版のほうが、加速データはいいそうです。

(文=下野康史/写真=荒川正幸)

3列目シートの様子はご覧のとおり。
3列目シートの様子はご覧のとおり。 拡大
5人乗り仕様となる「フリードスパイクハイブリッド」。エクステリアデザインも「フリード」とは異なる。
5人乗り仕様となる「フリードスパイクハイブリッド」。エクステリアデザインも「フリード」とは異なる。
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見晴らしの良さは、「フリード」シリーズに共通する美点だ。
見晴らしの良さは、「フリード」シリーズに共通する美点だ。
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下野 康史

下野 康史

自動車ライター。「クルマが自動運転になったらいいなあ」なんて思ったことは一度もないのに、なんでこうなるの!? と思っている自動車ライター。近著に『峠狩り』(八重洲出版)、『ポルシェよりフェラーリよりロードバイクが好き』(講談社文庫)。

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