スバル・フォレスターS-Limited(4WD/CVT)/フォレスター2.0i-L EyeSight(4WD/CVT)/フォレスター2.0XT EyeSight(4WD/CVT)
走りも見た目も安全も 2015.10.22 試乗記 スバルの屋台骨を支えるミドルサイズSUV「フォレスター」がマイナーチェンジ。安全装備の強化や内外装の変更、シャシー性能の向上など、全方位的に改良されたという同車の実力を、テストコースで試した。今日のスバルを支える稼ぎ頭
スバルの2リッター級“本格SUV”がフォレスターである。現行モデルは2012年秋に登場した4代目だ。
販売の最前線で一番競合しているクルマは? とスバルの人にあらためて聞くと、「マツダCX-5」と「日産エクストレイル」を挙げ、四駆の販売比率がCX-5より高い8割に達するという点で「本命はエクストレイルでしょう」とのこと。軟弱な2WDモデルがないことがスバルSUVの矜持(きょうじ)である。
“スバリスト”のロイヤルティー(忠誠度)の高さを考えると、このクルマの最大のライバルは、同門の「インプレッサXV」ではないかと個人的には思うのだが、XVのうたい文句は「都市型SUV」である。
最近の販売台数を比べると、フォレスターが月平均約1800台、XVが約1500台。意外や本格SUVのほうがリードしている。アメリカに目を転じると、フォレスターは年間16万台も売れている。ちなみに日本国内のスバルの販売台数は、全モデル合わせても12万台(軽を除く)ほどなのだから、そうとうな稼ぎ手である。
そのわりに、日本じゃ影が薄い(?)フォレスターが、モデルチェンジからまる3年を迎えてフェイスリフトを受けた。機構的に大きな変更はなく、東京モーターショーを控えてのお色直しともいえそうだが、最新モデルの2グレードに触れてみた。
夜間の運転で役立つ新機能
ボディー外寸を変えずに、よりワイドに、よりハイトに見せるようにしたのが今回のフェイスリフトの眼目だ。
そのために、バンパーとグリル(ターボはグリルのみ)を新作し、テールランプの意匠も変更した。実物を見ると、たしかに以前よりボディーの輪郭がはっきりした印象を与える。量販グレードの「2.0i-L」以上ではヘッドランプがロー/ハイビームともにLED化されて、目もパッチリした。
安全面では、アイサイトが「ver.3」にアップデートされた。「レヴォーグ」初出の最新バージョンだが、「アドバンスドセイフティパッケージ」に新設されたADB(アダプティブドライビングビーム)はこの新型フォレスターがお初である。
夜間、30km/h以上の速度域で先行車と対向車を感知して、他車がまぶしくないようにハイビームの照射範囲を自動的にコントロールする。左右のランプ内に組み込まれたモーター駆動のシェードが、光源の遮光すべき部分だけを目隠しするのだ。街路灯のない暗い道ばかりを走るユーザーなら、ヘッドライトをAUTOモードに入れ、ハイビーム側にしておけば、あとはADBがよしなにしてくれるという。ドライバーの高齢化が進む時代、心おきなくハイビームが使えるこうした自動ライトシステムはたしかに福音かもしれない。
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |
重さや大きさのハンディは感じない
試乗したのは自然吸気(NA)の「S-Limited」とターボの「2.0XT EyeSight」の2台。だが、会場はクローズドのプルービンググラウンドで、持ち時間は各車30分。撮影主体の催しだったために、新型の真価を十分感じ取ることはできなかった。
乗り心地と操縦安定性向上のためにサスペンションの設定を最適化し、ステアリングギア比を15.5から14.0に速め、静粛性アップを狙って前後ドア/リアクオーターガラスの板厚をわずかに厚くした、といったところが、改良のチェック項目だったが、いずれも有意性のある差はわからなかった。
280psのターボには、旋回中の前後内輪に適宜、ブレーキをかけ、相対的に外側輪の駆動力を増やしてアンダーステアを減じるアクティブトルクベクタリング機構が盛り込まれたが、スバルのテストコースではないためか、ハンドリングコースでもスキール音を立ててはいけないというお達しがあり、その効果を確認することはできなかった。もしかしたら、カーブでスキール音が出なかったということが、効いている証拠かもしれないが。
この日は、同時期に発表されたXVのリニューアル版にもチョイ乗りができた。フォレスターはXVよりも全長が15cmほど大きく、同じ2リッターのNAモデル同士では車重が100kg重いのだが、乗り比べると、それをハンディには感じさせない。おしゃれでよりスポーティーなイメージのあるXVから乗り換えても、もっさりした印象はないのが、意外というか、新しい発見だった。
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |
悪路走破の頼もしい味方
フォレスターには、最廉価グレードを除くすべてに「X-MODE」ボタンが備わる。未舗装の悪路へ分け入る際、これを押しておけばヒルディセントコントロールがオンになるほか、ブレーキ、エンジン、変速機などの制御がそれ用に調うクロスカントリーモードである。
テストコースには、天を仰ぎ、地中に潜るようなアクロバチックな激坂スロープがあったので、S-Limitedで上り下りしてみた。
上りは坂の途中で停車して再発進を試みても、まったく空転せずに動きだせた。下りでは、最初の一歩からタイヤがグイッと地面をつかみ、一瞬でもズズっとずり下がることはなく、車速を4km/h以下にキープして降坂した。もちろん、ドライバーがフットブレーキを踏む必要はない。これまでいろいろなクルマのヒルディセントコントロールを試したが、坂の上からワイヤでつるされたケーブルカーみたいな安心感を与えるシステムは初めてである。
望めばそんな本格SUV走行もできるX-MODEは、都市型SUVのXVにはオプションでも付けられないフォレスター面目躍如の装備である。
(文=下野康史<かばたやすし>/写真=郡大二郎)
拡大 |
テスト車のデータ
スバル・フォレスターS-Limited
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4595×1795×1735mm
ホイールベース:2640mm
車重:1510kg
駆動方式:4WD
エンジン:2リッター水平対向4 DOHC 16バルブ
トランスミッション:CVT
最高出力:148ps(109kW)/6200rpm
最大トルク:20.0kgm(196Nm)/4200rpm
タイヤ:(前)225/55R18 98H/(後)225/55R18 98H(ブリヂストン・デューラーH/L400)
燃費:16.0km/リッター(JC08モード)
価格:289万4400円/テスト車=--円
オプション装備:--
テスト車の年式:2015年型
テスト車の走行距離:770km
テスト形態:トラックインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター
参考燃費:--km/リッター
拡大 |
スバル・フォレスター2.0i-L EyeSight
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4610×1795×1715mm
ホイールベース:2640mm
車重:1510kg
駆動方式:4WD
エンジン:2リッター水平対向4 DOHC 16バルブ
トランスミッション:CVT
最高出力:148ps(109kW)/6200rpm
最大トルク:20.0kgm(196Nm)/4200rpm
タイヤ:(前)225/60R17 99H/(後)225/60R17 99H(ヨコハマ・ジオランダーG91)
燃費:16.0km/リッター(JC08モード)
価格:268万9200円/テスト車=--円
オプション装備:--
テスト車の年式:2015年型
テスト車の走行距離:876km
テスト形態:トラックインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター
参考燃費:--km/リッター
拡大 |
スバル・フォレスター2.0XT EyeSight
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4595×1795×1715mm
ホイールベース:2640mm
車重:1610kg
駆動方式:4WD
エンジン:2リッター水平対向4 DOHC 16バルブ ターボ
トランスミッション:CVT
最高出力:280ps(206kW)/5700rpm
最大トルク:35.7kgm(350Nm)/2000-5700rpm
タイヤ:(前)225/55R18 98H/(後)225/55R18 98H(ブリヂストン・デューラーH/L400)
燃費:13.2km/リッター(JC08モード)
価格:312万8760円/テスト車=--円
オプション装備:--
テスト車の年式:2015年型
テスト車の走行距離:767km
テスト形態:トラックインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター
参考燃費:--km/リッター

下野 康史
自動車ライター。「クルマが自動運転になったらいいなあ」なんて思ったことは一度もないのに、なんでこうなるの!? と思っている自動車ライター。近著に『峠狩り』(八重洲出版)、『ポルシェよりフェラーリよりロードバイクが好き』(講談社文庫)。
-
三菱eKクロスEV P(FWD)【試乗記】 2026.10.17 三菱の軽乗用電気自動車(EV)「eKクロスEV」が、一部改良でデザインを刷新! 2022年発売の古参の一台は、台頭するライバルをどう迎え撃つのか? 最新モデルと比べても、キラリと光る魅力はあるのか? 軽EVのパイオニアが擁する一台の実力を確かめた。
-
フィアット・グランデパンダ ハイブリッド ラプリマ(FF/6AT)【試乗記】 2026.10.16 欧州を代表するコンパクトカーの一台である「フィアット・パンダ」が第4世代に進化。新たに「グランデパンダ」を名乗り、日本にやってきた。ずばり新型の見どころは車両の随所にちりばめられた初代モデルへのオマージュである。上位グレード「ラプリマ」の仕上がりをリポートする。
-
フィアット500トリノ ハイブリッド(FF/6MT)【試乗記】 2026.10.13 電気自動車からエンジン搭載車へと華麗に変身! 日本では珍しい、4代目「フィアット500」のマイルドハイブリッドモデルに試乗。1リッターの自然吸気エンジンを6段MTで駆るイタリアンコンパクトは、今のクルマが忘れてしまった楽しさに満ちていた。
-
ボルボES90ウルトラ ツインモーター パフォーマンス(4WD)【試乗記】 2026.10.12 ボルボの電気自動車(BEV)「ES90」のトップモデル「ウルトラ ツインモーター パフォーマンス」を駆り、東京から初秋の新潟へ。往復700kmを超えるロングドライブで分かった新型5ドアハッチバックモデルの実力と、BEVで気になる充電環境のリアルな今を報告する。
-
フェラーリ・プロサングエ ハンドリング スペチアーレ仕様(4WD/8AT)【海外試乗記】 2026.10.8 フェラーリの4ドア4シーターモデル「プロサングエ」に、「ハンドリング スペチアーレ」を名乗るスペシャルバージョンが登場。その走りは従来モデルからどのように変わったのか? 跳ね馬の原産国、イタリアで確かめた。
-
NEW
トヨタ・ランドクルーザー“300”GRスポーツ(4WD/10AT)【試乗記】
2026.10.19試乗記トヨタの「ランドクルーザー“300”」にハイブリッドパワートレイン搭載モデルが登場。環境負荷低減のために牙を抜かれた……どころか、電気の力を味方に、さらに力強さを増しているから面白い。愛知県のオフロードコースで乗った印象をリポートする。 -
NEW
フェラーリが「日本上陸60周年」 記念祭から“ブランドの今とこれから”を読む
2026.10.19デイリーコラム「日本上陸60周年」を祝うファン感謝イベントを開催したフェラーリ。自動車界に燦然と輝くハイブランドは、いま何を目指しどこに行こうとしているのか? 経営トップの談話を交えながら推察してみよう。 -
日産キックスX e-4ORCE(前編)
2026.10.18思考するドライバー 山野哲也の“目”レーシングドライバー山野哲也が新型「日産キックス」に試乗。デザインが新しいのはもちろんのこと、まさに下ろしたての最新のパワートレインを搭載。日産の大きな期待を背負ったコンパクトSUVである。箱根のワインディングロードでの印象を聞いた。 -
三菱eKクロスEV P(FWD)【試乗記】
2026.10.17試乗記三菱の軽乗用電気自動車(EV)「eKクロスEV」が、一部改良でデザインを刷新! 2022年発売の古参の一台は、台頭するライバルをどう迎え撃つのか? 最新モデルと比べても、キラリと光る魅力はあるのか? 軽EVのパイオニアが擁する一台の実力を確かめた。 -
写真で解説する「フィアット・グランデパンダ」
2026.10.16画像・写真ステランティスが「フィアットブランドの大きな柱のひとつとなる重要なモデル」と位置づける「グランデパンダ」が日本上陸。その具体的な見どころを、写真とともに解説する。 -
フィアット・グランデパンダ ハイブリッド ラプリマ(FF/6AT)【試乗記】
2026.10.16試乗記欧州を代表するコンパクトカーの一台である「フィアット・パンダ」が第4世代に進化。新たに「グランデパンダ」を名乗り、日本にやってきた。ずばり新型の見どころは車両の随所にちりばめられた初代モデルへのオマージュである。上位グレード「ラプリマ」の仕上がりをリポートする。



































