レクサスRX450h“バージョンL”(4WD/CVT)/RX200t“Fスポーツ”(4WD/6AT)
すべてにおいて従来を超える 2015.11.13 試乗記 レクサスの世界戦略を支えるミドルサイズSUV「RX」がフルモデルチェンジ。「RXでありながら、RXであることを超えていく」というコンセプトのもとに開発された新型は、その目標を達成できたのか?北米で人気を博すレクサスの基幹SUV
海外では1998年にデビュー(日本では「トヨタ・ハリアー」として販売された)、日本では2009年からレクサス専用車種として販売が開始されたRX。プレミアムSUVとしては“欧米勢”とは一味違う趣の持ち主であり、特に北米ではレクサスの販売の約30%を占める重要モデルとなっている。そのRXがモデルチェンジされた。
東京モーターショーで実車を見ても、そのときは「ふーん」という感じがしないではなかった。もちろん自分の見識不足もあるわけだが、ブラックのボディーカラーもあって“塊感”こそ伝わってくるものの、旧型に対してどの程度のアドバンテージを持っているのか、“見た目”からは伝わりづらい印象を受けた。しかし今回、別のボディーカラーをまとった新しいRXを見て、そんな気分はすべて吹っ飛んだ。
レスサス車のデザインアイコンである「スピンドルグリル」は、いわゆる“切り返し”の位置が高められており、フロントマスクの上半分はボンネットとのつながりもあってシャープなクーペのようにも見える。一方、グリルの下部は面積が大きいだけでなく、より前部に張り出した複雑な形状となっており、単純な押し出しの強さだけではない造形の見事さを感じさせる。また、フロント以上にインパクトがあったのがリアクオーターウィンドウだ。後端にいくに従って絞り込みを強くすることで、重たいイメージになりがちなこの手のモデルに、鋭さとクーペのような精悍(せいかん)さをプラスしている。周辺のメッキ処理も巧みだ。
インテリアも同様だ。基本的な考えは従来から大きく変わっていないが、心地よい“包まれ感”や、それを演出するための素材のクオリティーアップはライバルの輸入車とは一線を画す。また、パッと目に飛び込んでくる12.3インチのワイドディスプレイや、フルカラーのヘッドアップディスプレイ、細かくUI(ユーザーインターフェイス)が改良されたリモートタッチなど、各部の進化は誰もが感じ取ることができる(それでも個人的にはまだ動作レスポンスなど改善の余地はあると思っているが)。
パワーユニットは2種類。すでに「NX」、最近では「IS」にも採用されている2リッター直4ターボと、「D-4S」を新搭載した3.5リッターV6+ハイブリッドだ。気になるのは大きさを増したボディーの挙動だが、ここは「うまく作ったな」という印象が強い。とにかくステアリング操作に対して正確にクルマが追従してくる。姿勢制御デバイスのおかげもあるのだろうが、ロールやピッチングといった姿勢変化も少なく、乗り心地も良好。遮音性能も含め、快適性は旧型を上回っていると言っていいだろう。NXと比べ、同等グレード比で180kg増となる2リッターターボ車も、出だしこそややゆったりしているが、中速域以上での伸び感が好ましい。
先進装備も“完璧”とは言えないまでも、現在のレクサスとしては十分以上。すでに「トヨタ・クラウン」に採用している「ITS Connect」をしっかり搭載している点など、抜かりがない。
2リッターターボ車が6段ATであることや“Fスポーツ”が4WDでしか選択できないことなど、重箱の隅をつつけばいくらでも出てくるが、それは野暮(やぼ)というものだろう。NXや「LX」とのすみ分けを明確にしているブランディングも巧みだ。ゆったりとしたシートに体を預け、自分だけの時間を楽しむ。新型RXは、旧型オーナーも「乗り換えたい」と感じさせる進化を果たしているようだ。
(文=高山正寛/写真=高橋信宏)
【スペック】
RX450h“バージョンL”(4WD/CVT)
全長×全幅×全高=4890×1895×1710mm/ホイールベース=2790mm/車重=2140kg/駆動方式=4WD/エンジン=3.5リッターV6 DOHC 24バルブ(262ps/6000rpm、34.2kgm/4600rpm)/モーター=交流同期電動機(前:167ps、34.2kgm/後ろ:68ps、14.2kgm)/トランスミッション=CVT/燃費=18.8km/リッター(JC08モード)/価格=728万5000円
RX200t“Fスポーツ”(4WD/6AT)
全長×全幅×全高=4890×1895×1710mm/ホイールベース=2790mm/車重=1980kg/駆動方式=4WD/エンジン=2リッター直4 DOHC 16バルブ ターボ(238ps/4800-5600rpm、35.7kgm/1650-4000rpm)/トランスミッション=6AT/燃費=11.2km/リッター(JC08モード)/価格=605万円
※写真はいずれもFF車のもの。
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |

高山 正寛
-
日産エクストレイルNISMOアドバンストパッケージe-4ORCE(4WD)【試乗記】 2025.12.3 「日産エクストレイル」に追加設定された「NISMO」は、専用のアイテムでコーディネートしたスポーティーな内外装と、レース由来の技術を用いて磨きをかけたホットな走りがセリングポイント。モータースポーツ直系ブランドが手がけた走りの印象を報告する。
-
アウディA6アバントe-tronパフォーマンス(RWD)【試乗記】 2025.12.2 「アウディA6アバントe-tron」は最新の電気自動車専用プラットフォームに大容量の駆動用バッテリーを搭載し、700km超の航続可能距離をうたう新時代のステーションワゴンだ。300km余りをドライブし、最新の充電設備を利用した印象をリポートする。
-
ドゥカティXディアベルV4(6MT)【レビュー】 2025.12.1 ドゥカティから新型クルーザー「XディアベルV4」が登場。スーパースポーツ由来のV4エンジンを得たボローニャの“悪魔(DIAVEL)”は、いかなるマシンに仕上がっているのか? スポーティーで優雅でフレンドリーな、多面的な魅力をリポートする。
-
ランボルギーニ・テメラリオ(4WD/8AT)【試乗記】 2025.11.29 「ランボルギーニ・テメラリオ」に試乗。建て付けとしては「ウラカン」の後継ということになるが、アクセルを踏み込んでみれば、そういう枠組みを大きく超えた存在であることが即座に分かる。ランボルギーニが切り開いた未来は、これまで誰も見たことのない世界だ。
-
アルピーヌA110アニバーサリー/A110 GTS/A110 R70【試乗記】 2025.11.27 ライトウェイトスポーツカーの金字塔である「アルピーヌA110」の生産終了が発表された。残された時間が短ければ、台数(生産枠)も少ない。記事を読み終えた方は、金策に走るなり、奥方を説き伏せるなりと、速やかに行動していただければ幸いである。
-
NEW
バランスドエンジンってなにがスゴいの? ―誤解されがちな手組み&バランスどりの本当のメリット―
2025.12.5デイリーコラムハイパフォーマンスカーやスポーティーな限定車などの資料で時折目にする、「バランスどりされたエンジン」「手組みのエンジン」という文句。しかしアナタは、その利点を理解していますか? 誤解されがちなバランスドエンジンの、本当のメリットを解説する。 -
NEW
「Modulo 無限 THANKS DAY 2025」の会場から
2025.12.4画像・写真ホンダ車用のカスタムパーツ「Modulo(モデューロ)」を手がけるホンダアクセスと、「無限」を展開するM-TECが、ホンダファン向けのイベント「Modulo 無限 THANKS DAY 2025」を開催。熱気に包まれた会場の様子を写真で紹介する。 -
NEW
「くるままていらいふ カーオーナーミーティングin芝公園」の会場より
2025.12.4画像・写真ソフト99コーポレーションが、完全招待制のオーナーミーティング「くるままていらいふ カーオーナーミーティングin芝公園」を初開催。会場には新旧50台の名車とクルマ愛にあふれたオーナーが集った。イベントの様子を写真で紹介する。 -
NEW
ホンダCR-V e:HEV RSブラックエディション/CR-V e:HEV RSブラックエディション ホンダアクセス用品装着車
2025.12.4画像・写真まもなく日本でも発売される新型「ホンダCR-V」を、早くもホンダアクセスがコーディネート。彼らの手になる「Tough Premium(タフプレミアム)」のアクセサリー装着車を、ベースとなった上級グレード「RSブラックエディション」とともに写真で紹介する。 -
NEW
ホンダCR-V e:HEV RS
2025.12.4画像・写真およそ3年ぶりに、日本でも通常販売されることとなった「ホンダCR-V」。6代目となる新型は、より上質かつ堂々としたアッパーミドルクラスのSUVに進化を遂げていた。世界累計販売1500万台を誇る超人気モデルの姿を、写真で紹介する。 -
アウディがF1マシンのカラーリングを初披露 F1参戦の狙いと戦略を探る
2025.12.4デイリーコラム「2030年のタイトル争い」を目標とするアウディが、2026年シーズンを戦うF1マシンのカラーリングを公開した。これまでに発表されたチーム体制やドライバーからその戦力を分析しつつ、あらためてアウディがF1参戦を決めた理由や背景を考えてみた。








































