メルセデス・ベンツV220d(FR/7AT)/V220dアバンギャルド エクストラロング(FR/7AT)
働くメルセデス 2016.02.05 試乗記 メルセデスの3列シートミニバン「Vクラス」がフルモデルチェンジ。キャビンとラゲッジルームの使い勝手や、2.1リッター直4ディーゼルエンジンがかなえる走りなど、本国から2年遅れで日本に導入された新型の実力を、さまざまな角度から確かめた。しかるべき使い方をする人に乗ってほしい
およそ2年前、2014年の4月に“原産地”のドイツで乗って以来の再会だった。メルセデス・ベンツとしては珍しく、誕生から日本導入まで2年近くかかったのは、本国でもディーゼルエンジン車のみであることが関係していたかもしれない。
Vクラスはこれで3代目になるけれど、過去2世代はわが国ではガソリン車が販売された。当時メルセデスが輸入していたディーゼル車はV型6気筒のみ。メルセデスはクリーンディーゼルそのものの導入は早かったものの、価格の安い4気筒ディーゼルの導入では、ライバルのBMWに比べて慎重だった。
この間、社内で「4気筒ディーゼルを入れなければライバルに勝てない」という決断がなされたのだろう。まずは「Eクラス」「CLSクラス」に、2.1リッターの4気筒ディーゼルターボを追加すると、続いて基本的に同じエンジンを「Cクラス」とこのVクラスにも設定したのだった。
ボディーについては、旧型から存在したスタンダードとロングの2種類にエクストラロングが加わった。ロングがリアオーバーハングを伸ばしただけなのに対し、エクストラロングではホイールベースも3200mmから3430mmに延長している。
ただし2、3列目の広さはスタンダードと共通で、むしろ3列目シート後方の荷室の奥行きが際立つ。ガラスハッチを備えたその荷室には、空間を上下2段に分けるボードも備わっており使いやすい。
一方キャビンでは、エクストラロングにオプション設定される、折り畳み式テーブルを内蔵した前後スライド可能なコンソールボックスの作りに好感を抱いた。張りが強いシートはまさにドイツ車。運転席は着座位置が高く見晴らしは最高だが、走りだすと常に後方の“長さ”を意識させられる。また、収納スペースは下方に集中して設けられており、やや使いづらい。
いずれの仕様でも2トンを優に超える重量級の車体を、2.1リッター4気筒ディーゼルターボと7段ATのコンビは過不足なく加速させる。高速道路ではまっすぐ走るし、ステアリングの反応も素直だった。車載燃費計はおおむねリッター10km以上をマークしており、V6ガソリン時代から考えると夢のような数字だ。
ただストップ&ゴーが連続する日本の道では、ドイツで乗ったときよりディーゼル特有の音が気になった。硬質な乗り心地も手伝って、働くクルマっぽい。実際、欧州では送迎用のワゴンとして重用されている。
Vクラスは、「Sクラス」に匹敵する大きさに引かれて乗るクルマではない。こういうクルマこそ、しかるべき目的を持つユーザーの手で、それっぽく使われてほしい。そういうシーンでこそ、Vクラスは最も輝くはずだ。
(文=森口将之/写真=峰 昌宏)
【スペック】
メルセデス・ベンツV220d
全長×全幅×全高=4905×1930×1880mm/ホイールベース=3200mm/車重=2370kg/駆動方式=FR/エンジン=2.1リッター直4 DOHC 16バルブ ディーゼルターボ(163ps/3800rpm、38.7kgm/1400-2400rpm)/トランスミッション=7AT/燃費=15.3km/リッター/価格=620万円
メルセデス・ベンツV220dアバンギャルド エクストラロング
全長×全幅×全高=5380×1930×1880mm/ホイールベース=3430mm/車重=2490kg/駆動方式=FR/エンジン=2.1リッター直4 DOHC 16バルブ ディーゼルターボ(163ps/3800rpm、38.7kgm/1400-2400rpm)/トランスミッション=7AT/燃費=15.3km/リッター/価格=730万円
※写真はいずれもメルセデス・ベンツV220d
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森口 将之
モータージャーナリスト&モビリティジャーナリスト。ヒストリックカーから自動運転車まで、さらにはモーターサイクルに自転車、公共交通、そして道路と、モビリティーにまつわる全般を分け隔てなく取材し、さまざまなメディアを通して発信する。グッドデザイン賞の審査委員を長年務めている関係もあり、デザインへの造詣も深い。プライベートではフランスおよびフランス車をこよなく愛しており、現在の所有車はルノーの「アヴァンタイム」と「トゥインゴ」。
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