日産GT-R(4WD/6AT)
「GT」のあるべき姿を目指して 2016.06.16 試乗記 2007年のデビュー以来、最大級の進化。日産が誇るハイパフォーマンスモデル「GT-R」の2017年モデルに、ベルギーのスパ・フランコルシャン・サーキットで試乗。エンジン、ボディー、サスペンションと、各所に施された改良の成果を確かめた。目指したのは空力特性と冷却効率の両立
量産車前代未聞の激速ニュルラップを引っさげての衝撃の発表から、早いもので間もなく9年。日産GT-Rはこの夏、その歴史において最も大掛かりなマイナーチェンジを施される。
まずはその外装をみるに、最も大きく変わったのはフロントバンパー形状だ。冷却系の面積拡大や形状最適化によって冷却効率を高めたぶん悪化するCd値を最小限にとどめるべく、左右端に直線的な断面形状を採用。走行風の剥離(はくり)やタービュランスを制御することにより、従来型と同等のCd値0.26をキープしている。
この辺りには2014年に登場した「GT-R NISMO」で得た知見が生かされているが、先日発表された新しいGT-R NISMOには、同じくCd値抑制とダウンフォースの増大、ホイールまわりの排熱などを考慮してカナード的な形状が与えられ、フロア下の流量コントロールと合わせてCd値をキープしたまま、より強力なダウンフォースを得ていることが興味深い。
ちなみに冷却効率の向上率は公表されていないが、エンジニアとの会話などから得られた情報としては、2~3%程度のようだ。たかが……と思われるかもしれないが、9年にわたって究極を突き詰め続けたクルマのそれとしては、間違いなく大きな数字といえる。
加えて、250km/h超レベルの超高速走行時に風圧によって若干のひずみが生じていたボンネットは、フロントのVモーショングリルのデザインと同調したブレースを設けることで3割ほど剛性を強化。ルックスの面でもメリハリ感を高めている。細かなところではCピラーのプレスラインも滑らかなものとし、微細な乱気流を抑えつつ後端への整流効果を高めたという。