DS 3カブリオ シック(FF/6AT)
オープンカーをより身近に 2016.06.22 試乗記 新ブランドの旗揚げに伴いフロントマスクを一新。新たに“DS顔”となった「DS 3カブリオ」が日本に導入された。PSA自慢の1.2リッター直3ターボ+トルコン式6段ATの、オープンエアモータリングとの親和性やいかに? その走りを報告する。急ピッチだったDSブランドの旗揚げ
パリ14区、モンパルナスタワーの近くにあるカルティエ財団現代美術館を拠点に行われた国際試乗会で、当時は「シトロエンDS3」と名乗っていたこのクルマの初期型に接したのは2010年初めのこと。あれから6年後、同じクルマがこのような状況に置かれることを、誰が想像しただろうか。
6年前は、このクルマにDSの2文字が与えられたことへの賛否両論がまだ渦巻いていた。取材で“クラシックDS”に何度か触れたことがある僕も、1955年時点でのクラシックDSの革新性を2010年に展開したものであり、過去を振り返ったわけではないという説明を「アンチレトロ」というキャッチコピーともども受け入れつつ、納得しきれない気持ちだった。
ところがその後、シトロエンは「DS4」「DS5」と1年ごとにニューモデルを送り出し、いつしか従来のCラインに並ぶDSラインを構築してしまった。今のパリをクルマに投影したというDSラインは、欧州や中国で予想以上に人気を博した。そこでPSAプジョー・シトロエン(現グループPSA)はDSのブランド化を決断する。
2014年に欧州で、そして昨年は日本でも、シトロエンからの独立を発表すると、同時に「DS 4」と「DS 5」にはダブルシェブロンに代わる新たなフロントフェイスを導入。残るDS 3も今年顔つきを一新し、ブランド構築が完了した。
プラットフォームやパワートレイン、ボディー、インテリアの一部を共有し、日本では発売もDS 3と同時だった2代目「シトロエンC3」は、まだ現役を務めている。欧州のモデルチェンジサイクルは6年ぐらいだから納得できる。むしろこの間にブランド独立を果たしてしまったDSの歩みの速さに驚かされる。