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ボルボV40 D4インスクリプション(FF/8AT)

素材の味が濃い 2016.07.21 試乗記 森 慶太 「ボルボV40」がデザイン変更と装備の強化を中心としたマイナーチェンジを受けた。これを機に、あらためてその実力を検証。新世代プラットフォームが話題を集めるボルボだが、現行世代には現行世代のよさがあった。

今回は“スキンチェンジ”だけ

ナニナニ年モデル、という呼びかたを、いまボルボはしてないそうである。いつからそうなったのかは知らないけれど、毎年ある決まった時期に「いっせのせ」でアレもコレもドーンと新しくするのとは違ったやりかたでクルマをアップデートなりなんなりしていくのに合わせて、モデルイヤー制をやめた……ということだろうか。フツーに考えて。

V40系のマイナーチェンジ。フェイスリフト。動力関係その他、性能スペック表に数字がでるようなところに関して違いは特にない。「でも実はここのチューニングが前とは……」的なアナウンスが本国からきているかというと、それも別に、だそうで。要は、スタイリングや内装の調度の関係のものがチェンジ内容のほとんどすべてを占めている。あとは、前から選べた歩行者保護エアバッグが全車標準になったとか。あるいは、LEDヘッドライトの採用とか。

いずれにせよ、そのへんの詳細な情報をなーんにも知らない状態で今回は運転した。マイナーチェンジしたV40の最新版。乗る前にわかっていたのはそれだけ。止まりの写真の撮影現場に(別のクルマに乗って)到着して試乗車とゴタイメン。ホイールの見た目の感じからして、タイヤ内径は17インチ。グッと近寄って、レザーシート。運転席に座ってエンジンを始動して、おお、ディーゼルエンジン。

「ボルボV40」の日本発売は2013年2月。その後、新グレードの設定やディーゼルエンジンの採用など、度重なる改良を経て今日にいたっている。
「ボルボV40」の日本発売は2013年2月。その後、新グレードの設定やディーゼルエンジンの採用など、度重なる改良を経て今日にいたっている。 拡大
今回のマイナーチェンジではフロントまわりの意匠を変更。「XC90」同様に、T字形のLEDヘッドライトが採用された。フロントグリルの意匠はグレードによって異なり、その中央には新デザインのボルボのエンブレムが用いられている。
今回のマイナーチェンジではフロントまわりの意匠を変更。「XC90」同様に、T字形のLEDヘッドライトが採用された。フロントグリルの意匠はグレードによって異なり、その中央には新デザインのボルボのエンブレムが用いられている。 拡大
単眼メーターや「フローティングセンタースタック」と呼ばれるセンタークラスターの意匠が特徴的な「V40」のインテリア。インストゥルメントパネルまわりの設計については、従来モデルから大きな変更はない。
単眼メーターや「フローティングセンタースタック」と呼ばれるセンタークラスターの意匠が特徴的な「V40」のインテリア。インストゥルメントパネルまわりの設計については、従来モデルから大きな変更はない。 拡大
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思った通りに加速し、減速する

走りだした直後から、明治神宮外苑のオーバルコースを周回しながらの、「引っ張り」と「追っかけ」の撮影。両方ひっくるめて、いわゆるヘーソー(並走)の。まわりにはほかのクルマもフツーに走っていて、そのなかでナイスなスペースとナイスな背景を見つけて、あるいは探して写真に撮られる。もちろん、自分をではなくてクルマを。

オッと思ったことに、カメラカーとの位置関係の調整が非常にやりやすい。例えば先導車両の後席からフォトグラファーが「もっと近寄って」と手招きした場合でいうと、まずは速度がためらいなくスッと上がる。スッと上がって、その次は狙ったあたりでピタッと安定。「ハイそこでオッケー」のところに合わせるのがすごくカンタン。ラクチン。

アクセルペダルを踏み込んで「反応、こないなー」と思っているうちにウワアッと加速して、しょうがないので今度はブレーキペダルを……みたいなことにならない。ならなかった。スッ→ピタッ。一方その間オートマはギアホールド。トルコンのスリップ感も別になし。直結。なにをいいたいかというと、要はエンジンというかパワートレインというかのレスポンスがいい。この場合でいうと、40km/h以下での速度管理の精度が高い。やはりこれはディーゼルならではの……といっても、少なくともそんなにウソにはならないと思う。

今回は2リッターディーゼルエンジン搭載モデルの上級グレード「D4インスクリプション」に試乗した。
今回は2リッターディーゼルエンジン搭載モデルの上級グレード「D4インスクリプション」に試乗した。 拡大
「V40 D4」に搭載される2リッターディーゼルターボエンジン。190psの最高出力と40.8kgmの最大トルクを発生する。
「V40 D4」に搭載される2リッターディーゼルターボエンジン。190psの最高出力と40.8kgmの最大トルクを発生する。 拡大
テールゲートに装着された「D4 Inscriptopn」のバッジ。今回のマイナーチェンジでは、スポーティーな「R-DESIGN」以外のグレード名称も変更となり、下から「キネティック」「モメンタム」「インスクリプション」となった。
テールゲートに装着された「D4 Inscriptopn」のバッジ。今回のマイナーチェンジでは、スポーティーな「R-DESIGN」以外のグレード名称も変更となり、下から「キネティック」「モメンタム」「インスクリプション」となった。 拡大

ガッチリとしたボディー、ゴツい足まわり

そのうちもっと小さいのも出てくるのだろうけれど、現行ラインナップ中ではV40はスモーレストVOLVOで(でも車重は1.5トンあったりする)、それに対して「D4」エンジンは2リッターの190psとか。最大トルクの額面は40kgmぐらいあるはずで、だから「なにもそんなにスゴいのじゃなくても……」と思いがちだけれど、イザ乗ってみると、トゥーマッチ感は別にない。ゆっくり走っていても気持ちいい。ノロノロ度の高い交通の流れとの相性も悪くない。そして、クルマが自分のいうことをよくきいてくれるのは、どんなときでもうれしい。日常的に使う速度域でそうだと、なおいい。

でた当初からそうだったことに、全体にボルボV40、初めて乗って初めて運転して「エッ! ?」となるようなところやギョッとするようなところがないクルマ、といっていい。あるいは、取り扱うにあたって頑張って慣れなきゃいけないようなところがないクルマ。だから平和。フツー。新しさがいろんな違和感のモトになっていがちないまのクルマにおいては貴重な美点。それと、エラくガッチリした箱のなかに入っている安心感が濃い。そこに関しては、初めて乗って「うわスゲー」と思う人がいても不思議ではない。

骨格がそうであるのにくわえて、足腰もしっかりしている。ゴツい。人によっては「ここまでゴツくなくたって……」となりそうな感じが薄れたのは、ボルボがいうところのダイナミックシャシーからツーリングシャシーになったことと関係があるだろうか。あるでしょうね。なお、フツーのV40の日本仕様がツーリングシャシーになったのは2014年3月以降。今回どうこうの話ではないのだった。

「インスクリプション」には本革シートが標準装備。色はボディーカラーに応じて「チャコール」と「ブロンド」の2色が用意される。


	「インスクリプション」には本革シートが標準装備。色はボディーカラーに応じて「チャコール」と「ブロンド」の2色が用意される。
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今回新たに採用された「シティウィーブ」と呼ばれるテキスタイルシート。コンセプトカー「コンセプト・エステート」の内装をモチーフにしたという表皮の模様が特徴で、「モメンタム」に設定される。
今回新たに採用された「シティウィーブ」と呼ばれるテキスタイルシート。コンセプトカー「コンセプト・エステート」の内装をモチーフにしたという表皮の模様が特徴で、「モメンタム」に設定される。 拡大
今回から標準装備となった歩行者エアバッグ。歩行者と接触するとボンネットの後方が跳ね上がり、雨どいの切りかき部分からフロントウィンドウ方向にエアバッグがとび出し、歩行者の頭部を保護するという。
今回から標準装備となった歩行者エアバッグ。歩行者と接触するとボンネットの後方が跳ね上がり、雨どいの切りかき部分からフロントウィンドウ方向にエアバッグがとび出し、歩行者の頭部を保護するという。 拡大
「インスクリプション」のタイヤサイズは225/45R17。「Sarpas」と呼ばれる、新デザインのホイールが装着された。
「インスクリプション」のタイヤサイズは225/45R17。「Sarpas」と呼ばれる、新デザインのホイールが装着された。 拡大

現行世代には現行世代のよさがある

マイナーチェンジした最新型のD4を運転して「うわ、前のと全然違うわ!!」なところは正直、特になかった。相変わらず運転しやすくて快適。その一方、見た目のリニューアル感はハッキリあって、だから、これでいーのだ!! オリジナルの姿のよさを台無しに、みたいなことはないし。あとでボルボの人から「今度のはディーゼルのエンジン音、静かになってますよね」といわれたときは「あ、そうかも」と思ったけれど、でも、前のが特別やかましかったわけでは別に。

2016年7月時点で、日本仕様ボルボのなかでは「XC90」が最新のフルチェンジ物件である。「SPA(Scalable Product Architecture)」系の一発目。「S90/V90」がそれに続いて、その次は、まだでてないけど「XC60」。さらに「S60/V60」が……という順番のはずで、そのころには現行世代のV40(日本仕様は2013年~)が現役最古参。で、「やっぱ素材のアジが濃いわ!!」みたいなことになるのではないか。軽量化ってナンデスカ系の車体のゴツさ、ガッチリ感のありがたみが身に染みるのではないか。いまだと、そういう感慨は(少なくとも新車ボルボ枠内では)まだあまりないかもしれないけれど。

(文=森 慶太/写真=向後一宏)

ラゲッジルームまわりについては大きな変更はない。全グレードにトノカバーや可動式のフロアボードが標準装備される。
ラゲッジルームまわりについては大きな変更はない。全グレードにトノカバーや可動式のフロアボードが標準装備される。 拡大
テスト車に装備されていたオプションのパノラマガラスルーフ。「キネティック」以外のグレードで選択できる。
テスト車に装備されていたオプションのパノラマガラスルーフ。「キネティック」以外のグレードで選択できる。 拡大

ボディーカラーは全6色。テスト車には新規設定色の「デニムブルーメタリック」が採用されていた。


	ボディーカラーは全6色。テスト車には新規設定色の「デニムブルーメタリック」が採用されていた。
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テスト車のデータ

ボルボV40 D4インスクリプション

ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4370×1800×1440mm
ホイールベース:2645mm
車重:1540kg
駆動方式:FF
エンジン:2リッター直4 DOHC 16バルブ ディーゼル ターボ 
トランスミッション:8段AT
最高出力:190ps(140kW)/4250rpm
最大トルク:40.8kgm(400Nm)/1750-2500rpm
タイヤ:(前)225/45R17 91W/(後)225/45R17 91W(ミシュラン・プライマシー3)
燃費:20.0km/リッター(JC08モード)
価格:439万円/テスト車=471万5000円
オプション装備:メタリックペイント<デニムブルーメタリック>(8万3000円)/パノラマガラスルーフ(19万円)/パーク・アシスト・パイロット+パーク・アシスト・フロント(5万2000円)

テスト車の年式:2016年型
テスト開始時の走行距離:74km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(-)/高速道路(-)/山岳路(-)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター(軽油)
参考燃費:--km/リッター

ボルボV40 D4インスクリプション
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