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第1回:どこがスゴいの? V40 D4

ニューフェイス、かつ本命 2015.07.24 徹底検証! ボルボのディーゼル ボルボがいよいよ新世代クリーンディーゼルモデルを日本市場に投入。最新鋭の「D4」ユニットの実力と、「Drive-E」と呼ばれるボルボの新しいパワートレイン戦略をリポートする。

軸足は完全にクリーンディーゼル

正直、トンでもないプランがいきなりさく裂したな……と思いましたわ。そう、ボルボの5車種同時ディーゼルモデル投入の話だ。具体的には、いま最も売れ線のコンパクトからミディアムクラスまでの5車種、つまり日本市場の「V40」「V40クロスカントリー」「S60」「V60」「XC60」に、この2015年7月から同時に新型2リッタークリーンディーゼルを搭載する。
ほかはデビューから8~9年を経た「V70」「XC70」「S80」に、日本未導入の新型「XC90」ぐらいだから、事実上の“主要ラインナップ同時ディーゼル化”と言ってもいい。

しかも、エンジンそのものもすごい。今回登場した新型ディーゼルは、ボルボの2014年モデルから明らかになった新世代パワートレイン戦略「Drive-E」の一環だ。Drive-Eとは、非常に理にかなった考えに基づくモジュラーエンジン戦略で、まずはこのダウンサイジング時代、5気筒以上のマルチシリンダーは作らないと定め、さらにガソリンエンジンとディーゼルエンジンを共通の基本構造とすることで生産、開発効率を上げ、パワーや味付けは主に過給器やモーターで行う。

つまり、「D4」と呼ばれる新世代クリーンディーゼルユニットも、既に登場している2リッター直4ガソリンターボの「T4」と特徴は同じで、4気筒でありながら6気筒並みの滑らかさを持ち、燃費効率も根本的にいいというもの。もっとも、そこは乗ってみないと分からないので、今回、不躾オザワが味見してみたってわけ。

2012年3月に世界初公開され、日本では2013年2月に発売された「ボルボV40」。これまでにも安全装備の強化やシャシーチューニングの変更といった改良が施されてきた。
2012年3月に世界初公開され、日本では2013年2月に発売された「ボルボV40」。これまでにも安全装備の強化やシャシーチューニングの変更といった改良が施されてきた。
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「V40 D4 SE」のインテリア。今回の新型車導入では、各種情報検索や天気予報、グローバルラジオなどのサービスを提供するアプリ「SENSUS CONNECT」の採用もトピックとなっている。
「V40 D4 SE」のインテリア。今回の新型車導入では、各種情報検索や天気予報、グローバルラジオなどのサービスを提供するアプリ「SENSUS CONNECT」の採用もトピックとなっている。
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内外装の仕様については、ガソリン車との大きな違いはなし。テスト車の内装色は、「ブロンド」と「チャコール」のツートンカラーとなっていた。
内外装の仕様については、ガソリン車との大きな違いはなし。テスト車の内装色は、「ブロンド」と「チャコール」のツートンカラーとなっていた。
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クリーンディーゼル車であることを示す「D4」のエンブレム。新開発のディーゼルエンジンは、他のボルボ車のパワーユニットと同じく、シュブデのエンジン工場で生産される。
クリーンディーゼル車であることを示す「D4」のエンブレム。新開発のディーゼルエンジンは、他のボルボ車のパワーユニットと同じく、シュブデのエンジン工場で生産される。
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燃調制御はハイテクの塊

さて、ボルボの新世代クリーンディーゼルであるD4。そのスペックは大したもので、ピークパワー&トルクは190ps&40.8kgm! 似たような排気量のディーゼル車同士で比べると、現在「BMW 320d」に搭載されている2リッター直4ディーゼルターボが184ps&38.7kgmだから、パワーとトルクの両方で超えている。より排気量の大きなものが相手でも、マツダの2.2リッターが175ps&42.8kgm、メルセデスの2.2リッターが177ps&40.8kgmだから、これもパワーで上回る。

この性能には、おそらく日本のデンソーが開発した「i-ART」という噴射技術が大きく貢献しているのだろう。世界最高レベルの2500バールという圧力で燃料を噴射するだけでなく、1回の燃焼に対して最多噴射回数9回という精度も誇る。実際、気筒ごとの噴射を10万分の1秒レベルで調整するっていうから、もはやその緻密さは想像を絶している。

このほかにも、D4では専用開発の低フリクション系のエンジンオイルを使ったり、アイシン・エィ・ダブリュの最新8段ATを組み合わせたりして、燃費を稼いでいるわけだ。結果、気になるJC08モード燃費はミディアムワゴンのV60で20.9km/リッター。重量、形状が違うので厳密には比べられないが、同じワゴンの「BMW 320dツーリング」の19.4km/リッターをしのいでいる。

190psの最高出力と40.8kgmの最大トルクを発生する「V40 D4 SE」。燃費は20.0km/リッターとなっている(JC08モード)。
190psの最高出力と40.8kgmの最大トルクを発生する「V40 D4 SE」。燃費は20.0km/リッターとなっている(JC08モード)。
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「D4」と呼ばれる2リッター直4直噴ディーゼルターボエンジン。過給システムには、大小2基のボルグワーナー製ターボチャージャーを採用している。
「D4」と呼ばれる2リッター直4直噴ディーゼルターボエンジン。過給システムには、大小2基のボルグワーナー製ターボチャージャーを採用している。
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トランスミッションはアイシン・エィ・ダブリュ製の8段AT。後進を除くすべてのギアでロックアップ機構を働かせるなど、燃費の改善が図られている。
トランスミッションはアイシン・エィ・ダブリュ製の8段AT。後進を除くすべてのギアでロックアップ機構を働かせるなど、燃費の改善が図られている。
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「V40 D4 SE」を運転する著者。
「V40 D4 SE」を運転する著者。
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数ある“出足自慢”の中でも……

能書きはさておき、今回は5ドアハッチバックの「V40 D4 SE」に乗ってみたのだが……もうビックリ。出足のよさがハンパない。それと回転の“伸び感”よ。最近、オザワはガソリン車はもちろん、電気自動車、BMWやマツダのクリーンディーゼルなどなど、新世代の“出足自慢”に乗りまくっていますけど、その中でもピカイチといえる。

具体的には、出足の力強さそのものはBMWのディーゼルと同程度だと思うが、V40は車重が軽い分スッと出るし、さらに回転が滑らかなのだ。圧縮比低めで爆発力抑えめのマツダ製ディーゼルほどの軽さはないし、BMWほどのカリカリ感もない。いわゆるディーゼルらしい力強さと、ディーゼルらしからぬ滑らかさのバランスで新境地に達している。

それからメーター計測での実燃費だが、これもなかなか。今回は東京、神奈川を中心に250kmちょいを走って、14.2km/リッター。後日、軽井沢の試乗会に参加したときはトータルで19.6km/リッターを記録した。十分じゃないですか!
また、このときは車重が重めの「V60 D4」にも乗ったのだが、出足は確かにV40より落ちるものの、それでも十分速いし、燃費も同様に走って17.6km/リッターと、これまた十分だった。

なによりボルボのクリーンディーゼルで感じた喜びは、その“気楽さ”だよね。例えばトヨタ流ハイブリッド、あるいはダウンサイジングガソリンターボ。どちらも燃費はいいけど、出足でガバッと踏むとやっぱりそれなりに落ちる。でも、ディーゼルは軽ーくアクセルを踏んだだけで十分速いから、まったくストレスがない。肩肘張ってエコドライブしなくてもいいのだ。

それから、日本じゃあまり試せませんが、素晴らしいのが高速性能! 「時速100km、ここからが本番です」ってな底抜けの力強さで、カッ飛び好きを燃費以上にそそる快楽がある。しかも、このあたりの性能はハイブリッドの弱いところ。新世代ディーゼルの敵じゃないでしょう。

「V40」シリーズにはモデルに応じてチューニングの異なる複数のシャシーが用意されており、「V40 D4 SE」には快適性を重視した「ツーリングシャシー」が用いられている。
「V40」シリーズにはモデルに応じてチューニングの異なる複数のシャシーが用意されており、「V40 D4 SE」には快適性を重視した「ツーリングシャシー」が用いられている。 拡大
メーターはデジタル式で、3種類のデザインの中から表示の選択が可能。クルーズコントロールの作動状況や、制限速度などといった交通標識の表示機能も備わる。
メーターはデジタル式で、3種類のデザインの中から表示の選択が可能。クルーズコントロールの作動状況や、制限速度などといった交通標識の表示機能も備わる。
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ステアリングホイールに装備されるシフトパドル。「SPORTモード」選択時に操作するとマニュアルモードに入り、「+」側のパドルを長押しすると解除される。
ステアリングホイールに装備されるシフトパドル。「SPORTモード」選択時に操作するとマニュアルモードに入り、「+」側のパドルを長押しすると解除される。
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タイヤのサイズは205/50R17。テスト車は「ピレリ・チントゥラートP7」を装着していた。
タイヤのサイズは205/50R17。テスト車は「ピレリ・チントゥラートP7」を装着していた。
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「V40 D4」には3種類の走行モードが用意されており、「ECO+モード」を選択すると、車速が7km/hを切るとエンジンを停止する停車前アイドリングストップ機能や、中・高速走行時のエンジンブレーキを抑制する「ECOコースト機能」が作動する。
「V40 D4」には3種類の走行モードが用意されており、「ECO+モード」を選択すると、車速が7km/hを切るとエンジンを停止する停車前アイドリングストップ機能や、中・高速走行時のエンジンブレーキを抑制する「ECOコースト機能」が作動する。
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売れない理由が見つからない

ってなわけで、普通に走っただけで「燃費」「加速のよさ」そして「気楽さ」で明らかにアドバンテージを感じさせるボルボの新世代ディーゼル群。さらにビックリなのが価格で、ガソリン版との差はほぼ25万円。BMWも似通った戦略をとっているが、エコカー減税の効果を加えると、実質ほぼ15万円の差になる。
これは、購入後の維持費を考えると“ないも同然”だ。燃費の差に加え、今日のガソリンと軽油の差額を勘定すれば、3~4万kmも走れば元が取れる。こうなると、特にクルマ好き、走り好きの輸入車ユーザーの気質を考えても、ディーゼルを選ばないことはほぼあり得ない。

事実、2012年に大型SUVの「X5」から日本にディーゼルを入れ始めたBMWは、現在では販売全体の3割がディーゼルで、大型SUVに限っていうと9割近くがディーゼル、セダン系でも5割がディーゼルだとか。
となると、今後売れ線コンパクト&ミディアムクラスのすべてにディーゼルを配してくるボルボでは、それ以上にディーゼル率が高まるのは必至。5割超えはもちろん、7~8割も視野に入ってくるはず。

しかも、こう言っちゃ何だが今のボルボ、一時の販売低迷は脱したとはいえ資本力ではビッグメーカーにかなわず、極端に新車種の導入スピードは上げられない。逆にこのクリーンディーゼル化は、新ガソリンエンジンの導入と同時に進められるので、効率よく既存ラインナップの商品力を高めることができる。

「プレミアムディーゼルといえばボルボ」
そう言われるのも、もうすぐかもしれませんな。

(文=小沢コージ/写真=田村 弥)

→ボルボのオフィシャルサイトはこちら

ボルボのディーゼル車が日本に導入されるのは、1980年代前半に「240」や「760」にディーゼル車が設定されて以来のことで、およそ30年ぶりの“復活”となる。
ボルボのディーゼル車が日本に導入されるのは、1980年代前半に「240」や「760」にディーゼル車が設定されて以来のことで、およそ30年ぶりの“復活”となる。
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他のボルボ車と同じく、充実した安全装備も「V40」シリーズの特徴。自動緊急ブレーキや前走車追従機能付きクルーズコントロール、車線逸脱警報などの機能が備わる。
他のボルボ車と同じく、充実した安全装備も「V40」シリーズの特徴。自動緊急ブレーキや前走車追従機能付きクルーズコントロール、車線逸脱警報などの機能が備わる。
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「V40 D4 SE」のラゲッジルーム。リアシートを分割して格納できるほか、床下にも収納スペースが設けられている。(写真をクリックすると、シートの倒れる様子が見られます)
「V40 D4 SE」のラゲッジルーム。リアシートを分割して格納できるほか、床下にも収納スペースが設けられている。(写真をクリックすると、シートの倒れる様子が見られます)
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第1回:どこがスゴいの? V40 D4の画像 拡大

テスト車のデータ

ボルボV40 D4 SE

ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4370×1800×1440mm
ホイールベース:2645mm
車重:1550kg
駆動方式:FF
エンジン:2リッター直4 DOHC 16バルブ ディーゼルターボ
トランスミッション:8段AT
最高出力:190ps(140kW)/4250rpm
最大トルク:40.8kgm(400Nm)/1750-2500rpm
タイヤ:(前)205/50R17 93W/(後)205/50R17 93W(ピレリ・チントゥラートP7)
燃費:20.0km/リッター(JC08モード)
価格:399万円/テスト車=432万5000円
オプション装備:パノラマガラスルーフ(19万円)/歩行者エアバッグ(6万2000円)/PCC(パーソナル・カー・コミュニケーター)キーレスドライブ(3万1000円)/パークアシストパイロット+パークアシストフロント(5万2000円)

テスト車の年式:2015年型
テスト開始時の走行距離:1005km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(4)/高速道路(6)/山岳路(0)
テスト距離:258.6km
使用燃料:18.7リッター
参考燃費:13.8km/リッター(満タン法)/14.2km/リッター(車載燃費計計測値)
 

ボルボV40 D4 SE
ボルボV40 D4 SE
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