第359回:ラグジュアリーでスポーティー
新型「パナメーラ」の詳細をドイツからリポート
2016.08.04
エディターから一言
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いよいよ発表された新型「ポルシェ・パナメーラ」。本国ドイツで開催されたワークショップの会場から、「ケイマンGT4」をも超える動力性能を持つというニューモデルの第一印象を報告する。
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新開発のプラットフォーム「MSB」を採用
去る6月にベルリンで発表され、7月末からは日本での予約受注も開始された新型パナメーラ。その全容をつぶさにチェックするべく、早速ドイツへと飛んだ。といっても、実は今回の対面での試乗は、残念ながらパッセンジャーシートからのみ。今後に予定されている国際試乗会を前に、その予習ともいうべきワークショップが開催されたのだ。
ポルシェ自らが「コンフォート性に富んだラグジュアリーセダンと、純血スポーツカーを融合させた」と紹介する2代目パナメーラのボディーは、フォルクスワーゲン・グループ内にあってポルシェが開発を主導した「MSB」と呼ばれるモジュラー式の新骨格。軽さと強靱(きょうじん)さの両立を目指して開発されたそれは、すでに従来型でアルミ化されていた部位に加え、ルーフパネルやリアフェンダーを含むサイドパネルまでをアルミ化した構造へと進化した。
ボディーサイズは全長が34mm、全幅が6mm、全高が5mmとわずかずつ拡大され、ホイールベースは30mm延長された。が、そうした数値以上にスリークで低く見えるのは、前輪位置がより前に移動し、フロントのオーバーハングが短縮された一方で、リアのオーバーハングは大きくなって、結果ロングノーズ感がより強調された……と、そんなプロポーションの変化の影響が大きそうだ。
従来型よりもルーフ後端の位置が20mm下方に移動し、ポルシェが“フライライン”と呼ぶ「911」に端を発するルーフの後ろ下がり形状はより鮮明に。キャビン後方が左右から強く絞られ、リアフェンダー周りが大胆なフレア形状となるので、なるほどちょっと離れた後方から眺めると、911とみまごうばかりのルックスだ。
走れば「ケイマンGT4」より速い
現時点で発表されているのは「4S」「4Sディーゼル」、そして「ターボ」という、いずれもツインターボエンジンの3グレード。すでにPHEVモデルが存在することがほのめかされているし、グレード名の付かないベース仕様もじきに追加されるに違いない。
ニュルブルクリンク旧コースのラップタイムが7分38秒(!)と、身内であるケイマンGT4(同7分40秒)すら破ってしまう速さに驚愕(きょうがく)のトップグレード、ターボが搭載するのは、4リッターの新開発V8エンジン。やはり新開発の8段DCTとの組み合わせで0-100km/h加速を3秒台で駆け抜ける一方、ポルシェ初という気筒休止機構も採用され、効率の高さがうたわれる。
4Sには同じく8段DCTとの組み合わせで、2.9リッターのV6ユニットを搭載。ターボ用とストローク値が共通のモジュラーエンジンだ。日本導入の予定はないというが、4Sディーゼル用のユニットも最新のもの。ただし、こちらは「フォルクスワーゲン・グループ内での調達の後、ポルシェが適合を図っての搭載」だという。
新骨格の採用と共に、もちろんシャシーも一新。そのハイライトのひとつは、ターボに標準装備、4Sにオプション設定された、新しいエアサスペンション。新たな3チャンバー式構造で、標準モードではタップリしたエアボリュームがもたらす豊かな乗り味を、スポーツモードではスプリングレートがぐっと高められ、パナメーラに“リアルスポーツカー”としてのフットワークをもたらすという。
リアのアクティブステアリングシステムの初設定も、大きな見どころ。前出の7分38秒というタイムは、そんな“走りの飛び道具”をフル装備したモデルがたたき出したものということだ。
まったく新しいインテリアデザインにも注目
一方、新型パナメーラのもうひとつの、文字通りの“見どころ”は、一新されたインテリアのデザインにある。「918スパイダー」用をモチーフとした3本スポークのステアリングホイールは、もはや最新のポルシェ各モデルで定番のアイテム。が、大型カラーディスプレイを中央部に配したダッシュボードや、フラットパネル式の操作系を採用したセンターコンソール、さらにバーチャル式メーターなどは、これまでのポルシェには見られなかった。これら新機軸を大量に採り入れたインテリアのデザインは、「ポルシェいちモダンな仕上がり」と評して間違いのないものだ。
ユニークなのは、メータークラスター中央の特等席に置かれたタコメーターで、その左右の空間はすべてメーターなどがバーチャル表示されるにもかかわらず、ここだけは“古典的”な機械式のアイテムをレイアウト。ダッシュボード端にレイアウトされた「回す操作」にこだわったイグニッションキーと共に、こうした部分にポルシェならではの歴史と伝統が息づいているのだ。
というわけで、こうして詳細が語られたワークショップ最後の“同乗試乗”のセッションでは、深いドリフトアングルを保ちながら、本社テストドライバー氏の絶妙なアクセルワークでサーキットのコーナーを次々と抜けていく「ターボ」が、紛れもないスポーツカーであることを身を持って体験させられることに。
確かに、世の中にはすでに“速いセダン”が数々存在する。けれども、見ても乗っても自身がピュアなスポーツカーであることを、ここまでダイレクトにアピールするラグジュアリー4ドアモデルという点では、恐らくこの新型パナメーラが現時点での最右翼に位置しているはずだ。
(文=河村康彦/写真=ポルシェ)

河村 康彦
フリーランサー。大学で機械工学を学び、自動車関連出版社に新卒で入社。老舗の自動車専門誌編集部に在籍するも約3年でフリーランスへと転身し、気がつけばそろそろ40年というキャリアを迎える。日々アップデートされる自動車技術に関して深い造詣と興味を持つ。現在の愛車は2013年式「ポルシェ・ケイマンS」と2008年式「スマート・フォーツー」。2001年から16年以上もの間、ドイツでフォルクスワーゲン・ルポGTIを所有し、欧州での取材の足として10万km以上のマイレージを刻んだ。
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