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【スペック】全長×全幅×全高=4275×1810×1535mm/ホイールベース=2610mm/車重=1360kg/駆動方式=FF/1.6リッター直4DOHC16バルブ(156ps/6000rpm、24.5kgm/1400-3500rpm)/価格=309万円(テスト車=同じ)

シトロエンDS4シック(FF/6AT)【試乗記】

どこまでも個性的 2011.10.30 試乗記 下野 康史 シトロエンDS4シック(FF/6AT)
……309万円

2011年9月に発売された、シトロエンの新顔「DS4」。DSシリーズの第2弾は、個性的な見た目同様、乗り味もキャラが立っていた。
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デザイナー・スペシャル

「DS3」に続く新たなDSシリーズが、「DS4」である。歴史的シトロエンの名を取ったDSとは“different spirit”の略とされるが、「DS3」や「DS5」(日本未上陸)をシリーズとして見通して、ぼくは勝手に“デザイナー・スペシャル”と解釈している。つまり、「C4」をベースに、シトロエンのデザイナーがさらにいっそう腕によりをかけたのがDS4である。「ゴルフ真っ向勝負」という路線を鮮明にしたやに思える新型C4は、シトロエンにしてはわりと保守的なデザインだ。それだけに、猫背の5ドアクーペ風ボディは魅力的に見える。

スポーツモデルのくせに、というか、四駆でもないのに、C4より最低地上高を25mm上げた。全高も45mm高い。全長は55mmカットされたが、ファットなフェンダーフレアのために全幅は20mm広がって1810mmに達する。異星から来たラリーカーみたいな迫力がある。

デザイナー労組要求貫徹のシトロエンだから、リアシートや荷室の空間はC4より多少狭くなった。いちばんびっくりしたのは、後席の窓ガラスが“はめ殺し”であること。サッシュを延長してガラスの後端を延ばしたため、開けようにも開けられなくなった。このクラスでも、最近のヨーロッパはエアコン装着率が上がったのだろうか。

「C4ピカソ」や「C3」と同じく、フロントガラスが天井まで大きく伸びているのはうれしい。前席は上空まで見えて、採光は抜群だ。10月初旬、朝5時半から走り出しても、DS4の室内はすっかり夜が明けていた。晴天の昼は直射日光がキツイので、前後スライド式の大きなサンバイザーが付く。

「DS4」のコクピット。
「DS4」のコクピット。 拡大
ウィンドウの前後長がドアよりも長い! このように窓を開けるのが物理的に不可能なデザインを採り入れるあたりが、デザインにこだわるシトロエンらしいところ。
ウィンドウの前後長がドアよりも長い! このように窓を開けるのが物理的に不可能なデザインを採り入れるあたりが、デザインにこだわるシトロエンらしいところ。 拡大
「DS4」の特徴のひとつが、「パノラミックフロントウィンドウ」。「スライディングサンバイザー」を動かすことで、ガラスエリアの大きさを変化させられる。
「DS4」の特徴のひとつが、「パノラミックフロントウィンドウ」。「スライディングサンバイザー」を動かすことで、ガラスエリアの大きさを変化させられる。 拡大
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さすがの乗り心地

試乗したのは「シック」。2グレードあるうちの安いほう(309万円)である。といってもスポーティーモデルだから、C4の高いほうと同じ156psユニットが載る。エンジンはおなじみの1.6リッター4気筒ターボ。日本仕様のシトロエン/プジョーでは、今やこれがないと夜も日も明けない直噴過給ユニットである。

走り出すと、DS4シックはスポーティーモデルというよりも高級車である。アイポイントが高いために、C4より少し大きなクルマに感じる。サスペンションにスポーツ足的な硬さや荒さはなく、乗り心地はゆったりしていて快適だ。もちろん金属バネだが、上質な乗り味は「C5」のハイドロ・ニューマチックを彷彿(ほうふつ)させる。

車重は、同じエンジンの「C4エクスクルーシブ」より10kg軽い1360kg。それを引っ張る1.6リッターターボは、パワフルというほどではないにせよ、十分以上の“快速”をもたらしてくれる。回転は滑らかで、音も静かだ。

ただ、惜しいのは6段セミオートマの「EGS」である。変速マナーがフォルクスワーゲンのDSGほどパーフェクトではない。シフトアップでは微妙に息をつくし、シフトダウンでは場合によって軽くつんのめる。スロットル系は電子制御のバイワイヤーだが、アクセルペダルに不感帯があるため、なにかいつも右足に欲求不満感がつきまとう。こういうところのチューニングは“残業したもん勝ち”なのだろうなと、フランス国の労働環境に思いを馳(は)せた。


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標準装備のシートは、すいぶん立派だ。
標準装備のシートは、すいぶん立派だ。 拡大
リアシートは、6:4の分割可倒式。
リアシートは、6:4の分割可倒式。 拡大
画像をクリックすると、シートアレンジの様子が見られます。
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まさかのカックンブレーキ

最新のツインクラッチ式自動MTほど洗練されていないEGSにも、うまく使いこなすコツがある。Dレンジの完全自動変速に頼らず、常にパドルシフトで変速するのだ。そうすると、シフトスピードが速くなって、こちらの期待値に近づく。ラテンのクルマは、やはり前のめりに運転するに限る。快適に走るならこれだなと気づいてから、ぼくはずっとパドルシフトのマニュアル変速で走った。

これにて一件落着と言いたいところだが、もうひとつ気になったのはブレーキである。停止直前のサーボが強すぎて、「検定中止!」みたいなカックンブレーキになりがちだ。駐車時の速度調整で強めにペダルを踏んだりした際も、食いつくように効いてしまって具合が悪い。これは2ペダルのC4系に共通する弱点である。昔のイタフラ車のような、全体にネジがユルんだ、雰囲気で愛されるクルマならいいが、ここまでハードが立派になってくると、こうした欠点が看過できなくなる。乗り心地はいいし、高速巡航性能は高いし、ボディも楽しいし、と、美点が多いだけに残念だ。「ゴルフって、つくづく円満にできてるなあ」なんてことを言わせないでほしい。

だから、このカタチに惚(ほ)れた人には「スポーツシック」をお薦めしたい。200psまでチューンした1.6リッターターボを搭載するDS4だ。今の「ゴルフGTI」にはないマニュアルで乗れて、GTIより安い。

(文=下野康史/写真=郡大二郎)

エンジンは、2タイプの1.6リッターターボが用意される。「シック」は156psユニット+6段EGS(シングルクラッチ式2ペダルセミオートマ)、「スポーツシック」は200psユニット+6段MTとなる。
エンジンは、2タイプの1.6リッターターボが用意される。「シック」は156psユニット+6段EGS(シングルクラッチ式2ペダルセミオートマ)、「スポーツシック」は200psユニット+6段MTとなる。 拡大
6段EGSのインターフェイス。パドルによるギアチェンジも可能。
6段EGSのインターフェイス。パドルによるギアチェンジも可能。 拡大

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下野 康史

下野 康史

自動車ライター。「クルマが自動運転になったらいいなあ」なんて思ったことは一度もないのに、なんでこうなるの!? と思っている自動車ライター。近著に『峠狩り』(八重洲出版)、『ポルシェよりフェラーリよりロードバイクが好き』(講談社文庫)。

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